
「生きてるものはいないのか」 石井岳龍監督 ○
前半は病院が併設された大学のキャンパスで都市伝説研究会のメンバーが病院地下のウィルス実験室の話をしていたり、大きな事故があって列車は止まっているという話や、カフェでは三角関係のもつれた話をしていたり、病院職員に医者が告白しようとしていたりと普通に起こり得る状態を描きつつ、でもちょっと笑えるような世界を紹介します。
後半は原因不明でなぜか次々と人が死んでいきます。ラストには一人残った若者(染谷将太)が沈む太陽を眺めている場面で終わります。その時、飛行機も鳥も地上に落ちていくのでした。
奇妙な作品ですが、観客は原因不明で次々死んでいくことをそれぞれが勝手に解釈できる奥の深い作品ともいえます。たとえば放射能に汚染されているということはこの映画のようなのかもしれません。また、死んでいるのは肉体ではなく、心が死んでいるということを表現しているとも解釈できます。そういう意味ではおもしろい作品です。
タバコはなし。無煙です。