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カエルが楽しく笑う庭

両生類を主体として彼等を取り巻く都会の自然環境と、投稿者のつれづれなる思い

<big>英国Manchesterから届いたGoblin Market</big>

2009-12-25 21:58:09 | ケルト妖精伝説物語
☆ 欲しかった本が、とうとう


Imgp2014Imgp2012147年前に発表されたGoblin Marketを初めて読んだのは、1992年 Sydney Australia の友人宅だった。

古書であったと記憶している。一種異様な挿し絵と相俟って、ものがたり詩文の魅力に強く惹きつけられた。

小学5年生の時から英語を学んだ私は、児童向けの原書をよく読む。

10年間に亘る英語圏居住生活を終えて1993年に帰国してからも、この本の事は常に私の念頭にあった。

実は帰国ご日本橋の丸善で他社の原書を見掛けたのだが、挿し絵が気に入らなくて買うのを止めたことがある。



Imgp2011Imgp2010作者はChristina Rossetti (1830-1894)ロンドン生まれ 。挿し絵画家Martin Ware (1964-) 同じくロンドン生まれ。

この本の挿し絵は素晴らしい!

「クリスマスまで開封しないように 」 あらかじめメールで達しがあって、今日包みを開けたら本が出て来た。

贈り主は、私と親子ほど年齢が離れた英国人の友人青年Thomas。

演歌よりもビートルズ。ケルト音楽を好み、妖精物語を愛する私にとって、嬉れしくて堪らない贈り物である。


妖精の青い草-後編

2007-05-20 08:42:58 | ケルト妖精伝説物語
ロビンが発した嬌声を聞きつけてアルフレッド爺さんがポーチに現れ、敷地を一渡りぐるりと見渡した。ロビンには目もくれず庭に降り立ち、青い草の前で両手を挙げて天を仰ぎ、地にひれ伏した。

その朝、いつものように大麦が主食の朝食のあと、普段は寡黙なアルフレッド爺さんがロビンに語った。

「青い草はあの時の妖精からの贈り物だ! 昔のことだが、儂が結婚するまえ過酷な飢饉が村を襲った。多くの幼い子供達や年寄りが栄養失調で死に至り、屈強な若者達さえ倒れる有様だった。幸い儂の家には大きな納屋があり、食料の蓄えがドッサリあって食べるのに不自由しなかった。

改装する前の古い納屋の壁に、それと解らないように作られた穴が一つあった。『情け深い曾爺さんが妖精の為にワザワザ拵えたものだ』ということを聞かされていた。子供が、やっと通れる大きさで儂の幼いころの秘密の出入り口だった。

その穴が飢饉のとき塞がれて、穀物入れの麻袋のホツレにも継ぎが当たっていることに気がついた。儂は家族の誰にも知らせずに元通りにした。妖精を憎んでいた婆さんの仕業に違いなかった。

それ以来、儂は家の近くで妖精の姿をちょくちょく見掛けた。妖精は信頼できる人間には姿を見せる、と聞いていたので、とても嬉しかった。或るとき袋を担いだ妖精にパッタリと出くわした。ニッコリと頬笑んで『大人になったら、必ず君に礼をする』と言った。あれから40年。あの妖精は50歳ちかくになる筈だ」

アルフレッド爺さんは青い草を苦いジュースにしたり、秋前には草全部を刈り取って陰干しにし煎じ薬にした。持病が治り、見る見るうちに元気になって、若者のように農業に励んだ。

やがて爺さんは村で一番の長寿者となり、105歳で眠るがごとく亡くなった。亡くなる前に「あの妖精は、もうじき村に帰ってくる。儂からの感謝の気持ちを伝えておくれ」とロビンに幾度なく頼んだ。

父親でもあり母親でもあった爺さんの死から10年近くたち、ロビンは羊飼いの仕事を減らてし、妻と二人の息子の家族達と何不自由無く暮らしていた。「爺さんの長生を妖精に感謝するのは、爺さんでなく僕の方だ」と考えていた。

5月半ばの或る晴れた日、15歳のとき怪我をした丘陵地帯を注意深くゆっくりと登って、遠くを見渡した。目の前に、なだらかな草原地帯が広がり、その上を柔らかそうな白い雲が浮かんでいた。気持ちは15歳の時と変わらなかったが、年齢は65歳になっていた。

加齢で視力が弱くなった目が、遥か遠くに動くものを捉えた。動くものは、こちらへ向かって来る! 
小振りの馬を並べた馬車の集団?!

「そうだ妖精の一行だ!あの時の妖精の一族が帰ってくる! 
頭を打って気を失った僕を助け家まで送りとどけてくれた妖精は、いま百歳ちかい筈だ。妖精は二百年生きると聞いているので、まだ寿命の半分。とうとう僕は外国へも行かれず平凡な人生送ってきたけれど、妖精との係わり合いは決して平凡ではないなあー。

今夜にでも、我が家にまつわる妖精との繋がりを、家族に話しておかねばなるまい」

息子夫婦と孫達の驚くであろう顔を想像して、ロビンは此の上なく幸せな気分になった。

数日後に、妖精はロビンに会いにきてくれた。両者しっかりと目と目を見つめ合い、万感の想いが二人の全身を包んだ。

ロビンはアルフレッド爺さんより10年も長く生き永らえて、115歳でこの世を去った。ロビン家の墓地の”ケルトの墓標”の基石に、妖精との係わりと妖精への感謝の碑文がケルト語で刻まれていて、今でも、はっきりと読みとることが出来るという。                                                  
                                                                                                                                             おわり                                                                                                                                             

後記:
1985年~93年にかけて、私はオーストラリアに居住を許されて住んでいました。
1986年当時に住んでいました南オーストラリア州の首都アドレイドで、スコットランド出身の魅力的な男性から、彼の故郷に伝わる古い言い伝えを聞かされました。「妖精の青い草」は彼から聞いた言い伝えを基に、此のたび私が創作しました妖精物話です。

注意:
前・後編のケルト妖精物語の99%は筆者の創作ですので、版権は筆者にあります。出版転載、複写製、転売等一切を禁じます。
(尚、いかがわしいトラックバックは全削除いたします)。http://kaeru-mt.blogzine.jp/keientaitaityou/



妖精の青い草-前編

2007-05-15 11:52:13 | ケルト妖精伝説物語
羊飼い少年のロビン(Robin)は今年15歳になった。9歳の時から、来る日も来る日も愛犬を従えて羊の群れを草原へ誘導し、夕刻に帰宅する生活を送っていた。5月の半ば、いつものように、家から歩いて2時間ほどの丘陵地帯を越えていたとき、前日の雨で濡れた岩場で足を滑らし、頭を岩場にぶつけて気を失った。割れるように痛む頭を意識した時、ケルト語の会話が遠くから聞こえて来た。「アルフレッド(Alfred)爺さん?かな」

アルフレッド爺さんは今年で65歳になる。ロビンが6歳になったばっかりの秋に、3歳の妹とロビンを残して母親が急病死した。婿養子だった父親は放心状態になり3年後に出奔し、未だに行方が知れない。そのあと二人を育てたのは、祖父であり寡夫であったアルフレッド爺さんだった。ロビンは爺さんから全てを学んだ。

ケルト語の会話は奇妙な響きを持っていた。「そうだ、妖精に違いない!」好奇心と恐怖心でロビンはジッーとしていた。しばらくすると、ロビンの口にネバネバした液体が注がれた。その苦さで噎せ返り、思わず両目を開けてしまった。

妖精はオズオズと「ロビンか?」と尋ねた。ロビンは咄嗟にケルト語で答えた。その途端に妖精の顔がパーッと明るくなり、「この少年はアルフレッド爺さんの孫だ」と他の妖精達に説明した。ロビンは、ぶつけた腰が痛くて直ぐには立ち上がれないでいた。

「この岩場は危険な場所だ。5年前に儂は娘を此の丘で亡くした。娘は岩場から転落しケガが因で亡くなった。丘の上の草原に埋葬し花を供えた。たまたま通りかかったオマエは、墓の前で十字を切り頭を垂れて呉れた。ここを通る度に野の花を供えて呉れた。嬉しかった。
儂は明日の朝早く一族を引き連れて、遠方へ移動する。妖精は一族の長に合わせて、50年ごとに居場所を変える習わし。50年たったら戻ってくる予定だが、、。

オマエは運が良い。儂は娘の墓参りに来て、倒れているオマエを発見した。娘の墓に欠かさず花を供えて呉れた褒美に、オマエの望みを一つだけ叶えて進ぜよう。何が望みか?」

急な申し出にロビンは面食らって、しどろもどろに答えた。「僕は外国へ行きたい。海の向こうの国々を観たい。でも家にはお金の蓄えが無いし、アルフレッド爺さんには持病があり、最近は弱っているので僕が面倒を看なければならなし、、、」と正直に答えた。

「オマエは娘の墓で、青い草を見たことがあるだろう。あれは”妖精の薬草”なのだ。そして、あの草の根の下には両腕に抱え切れない程の金貨が埋まっているのだよ。明日の朝早く、オマエの家の庭を見渡すが良い。そして”一本の青い草”を探せ」と言い残し、ロビンを家まで送って呉れた。

不思議な事に、羊達も犬達も家に戻っていた。ロビンは「夢を見たのかな?」と首を捻った。爺さんには何も話さなかった。
「僕が外国は行ってしまったら爺さんは困るし、妹も悲しむに違いない」ロビンは複雑な心境だった。
其の夜はまんじりともせず、なかなか寝付かれなかった。

夜空が白むと、ロビンは期待と不安で胸を高鳴らせ、第一番に家を取り巻く庭をぐるりと見渡した。
その時のロビンの驚きの声は、村中に響き渡るような声だった。

庭中の至る所に、見事な”妖精の青い草”が、処狭しと生えていたから、、、。      つづく