Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

最大の「消える高齢者」予備軍は団塊世代

2010-10-04 16:03:43 | その他
夏以降、全国で「消えた高齢者問題」が話題となっている。
その背景には、よく言われるように、核家族化や都市化といった社会の変化があるのは
間違いないが、実は雇用問題も無関係ではない気がしている。

というのも、たとえば大手企業などを定年退職した後で、燃え尽きちゃった人の話をしばしば
聞くからだ。
僕の知っている人でも、海外支社長まで勤めたのに、朝から酒浸りになっちゃった人もいる。
その時は単に「やること無いんだろう」くらいにしか思わなかったが、考えてみれば、
仕事以外にやることないという人生も凄い。
そういう人の存在が、どうしても消えた高齢者と被って見えてしまう。

そういう意味で、
文藝春秋10月号『「消えた高齢者」無縁社会の泥沼』(上原善広)
とても興味深い事実を示唆してくれている。
もともと消えた高齢者問題のルポなのだが、“団塊”という言葉が一つのキーワードに
なっている。横浜市の民生委員の言葉は予想外だった。
「団塊世代というのは地域活動に参加しない。これはどういうことなんだか、
他の地域でも そうらしい」


家族がばらばらになったり所在不明になっちゃう老人もいるけれども、世代として異質
なのは、むしろその下の団塊だということだ。

ちなみに、この民生委員の黒田氏は78歳。自身の活動についてもこう懸念している。
「問題は継いでくれる世代があまりに少ないということ。60歳前後の
団塊世代が入らないから、このままでは70代からいきなり30代に
依頼しなければいけないかもしれない。60歳くらいの人は
サラリーマン育ちが多いでしょう。だからプライドが高いんだ」


彼らが異質なのは、日本史上で初めて、地域や家族という共同体から、終身雇用という名の
会社ムラに軸足を移したからだ。定年後の彼らの活躍に期待しているNPO等も多いが、
会社ムラで滅私奉公してきた人間に、いきなり地域ムラに参加しろというのは、意外と
ハードルが高いのかもしれない。

さて、最近の若者は組織に馴染まないとか転勤したがらないといった指摘が割と目立つが、
個人的にはそれでいいと思う。終身雇用なんてあるように見えても存在しない、あるいは
全然割に合わないシロモノになり果てているわけで、組織と一心同体化する必要などなくて
まあ日銭を稼ぐ手段程度に考えておけばよい。
それが世界標準の労働というものだ。

もし本気で仕事に一身を捧げたいと願うのであれば、与えられる仕事に満足するよう
言い聞かせるのではなく、それに値する仕事を自分で探すことだ。

ちなみに、地域も家庭もかえりみず、会社に滅私奉公した末に待っているものはなにか。
同記事には、東京郊外のニュータウンを中心に活動する「事件現場清掃会社」高江洲代表の
コメントも掲載されている。
「孤独死するのは55~65歳くらいの、団塊とその少し後ぐらいの世代が目立ちますね」
家族という地盤があればまだいいが、それすらなかった企業戦士の行く末は哀れなものだ。

個人的には、20代の多様化には期待している。恐らく、団塊ジュニアもある程度は多様化
しているように思う。僕の同期でも「家庭なんて放置して、何が何でも会社一筋」
というのは皆無で、サラリーマンやってる奴はみんなボチボチ派ばかりだ。
良い意味でも悪い意味でも、会社というムラも希薄化しつつある気がする。