Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

前進がいいけど、漸進でもかまわない

2009-11-12 10:57:23 | その他
いよいよ民主党の目玉の一つである事業仕分けが始まった。
国の事業の一つ一つについて、議員や識者が「存続」「地方移管」「廃止」等の
どれにあたるかを判定し、なんとその場で決定&通告するというもの。
さらにはメディアに開放してあるので、官僚側もうかつなことも言えない。
個人的には、新政権の政策の中で最大の目玉だと思っていたものだ。

実際、仕分け人達と官僚のやり取りは実に爽快!
官僚諸兄はバツが悪そうにモニョモニョ言うのだが、対照的に「廃止を提言します!」
「予算半減の上、存続とします!」とばっさり返すレンホウ先生。
このスピードですよ若者が欲しかったのは。

ただ、報道を見ていて、同時に一抹の不安もよぎった。
何をどう仕分けするのかという基準は、いったい何なのか。そういうビジョンの
ようなものがよく分からない。いや、そもそも、誰がそれを決めているのか。

報道されたように、同じ官僚である財務省の人間が仕分け側に寄り添うように座って
いて、適時アドバイスを与えている。以前も書いたように、民主党は財務省とタッグ
を組み、彼らの力を利用するつもりだ。今回のように、財務側は主要会議にスタッフを
送り込み、表裏一体となってサポートしているわけだ。

各省庁と予算折衝を行なってきた財務と組めば、他省庁は隠せるものも隠せない。
そういう意味で、財務と組むのは最短ルートかもしれない。
ただ、「何を仕分け対象として議場に引っ張り出すか」というのは、事前に財務と
政権が決めている。ついでに言うと、結果を受けて予算見直しで対応するのも
財務省である。
要するに、離陸から着陸まで(いや、途中の機内サービスもひっくるめて)
全部「財務航空」のお世話になっているのではないか、という点が引っかかるのだ。
となると、“最短ルート”は実は最短ではないかもしれない。

ここまですんなりと進んでいることからも、財務省が主導して事業の仕分けを
行なっている可能性が高い。そう考えると、会議のオープン化というのは良く言えば
情報公開だが、悪く言えばアリバイ作りみたいなものだろう。
何かあっても「だって、有権者だって見てるじゃない」的な。

とはいえ、個人的にはそれで構わないと思っている。
農水、厚労省あたりはげっそりするまで絞ってくれるだろう。
それが100点満点のうちの20点だとしても、
とりあえず0点の自民党からは前進したわけだ。

残る課題(官僚全体の人事制度改革、財務省自身の“仕分け”)は、次の政権が
選挙の争点として掲げていくのだろう。それこそが二大政党制の良いところだ。

というわけで、民主党の選択的官僚依存をさかんに突いているみんなの党は、
一歩先を睨んでいるといえる。野党のクセに内部抗争の話題しか出ない
空気みたいな存在感の自民党はもうダメだろう。