Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

週刊東洋経済 11/7

2009-11-03 11:13:00 | work
今週号の東洋経済の特集『崩れない既得権』において、
湯浅誠氏と対談しているのでご報告。
初めて読む人には新鮮かもしれないが、ほぼ大方の予想通りの展開だろう。

ただ、スタンスの違う理由がはっきりと分かった。突き詰めれば、
法人というものの認識の差だ。彼はそれが明確に存在するとし、法人に社会保障の
負担義務を強化すべきだとする。僕は当然、その逆だ。
すべての違いは、ここから発する。

もともと法人の本質とは何か、法人税の根拠はあるのかといった点について議論は
あるが、それとはまったく別個に、法人の負担を引き下げ、消費税にシフトすると
いう流れが世界的になりつつある。ドイツも参戦したEU内法人税引き下げ競争
などが記憶に新しい。

「そんなことして株主以外はみな貧しくなるだけだ」というような人は、
台湾や香港、韓国を見るといい。みな20%前後の税率を国策として設定し、日本
から職を奪うことで発展してきた国だ。そんな中で法人負担を引き上げても、
感謝するのは(日本以外の)アジアの人々だけだろう。

ついでにいえば、仮に本気で企業の負担を増やそうとすれば、彼が仲間と考えて
いる連合は反対に回るだろう。当たり前の話だが、トヨタにせよ日立にせよ、
終身雇用という閉じた箱の中で負担を増やすということは、中にいる組合員にも
ずしりと負担がのしかかってくるわけだ。
小泉政権の医療制度改革において、前期高齢者医療制度の創設に労使一丸となって
反対したのが良い例だ。日本型雇用において、労使の間の線引きなど存在しない。

僕の知人に、
「民主党に盛大にばらまいてもらって、とっととインフレにして、
溜め込んだ高齢者に吐き出させろ」
という人がいる。
その方が日本の将来のためだし、リセットの際に成り上がるチャンスがあるという
考えだ。明らかに湯浅氏とは真逆の価値観に違いないものの、結果的に両者が
同じ道を歩んでいるのは、なんとも皮肉な話である。