Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

長妻大臣の抱える時限爆弾

2009-11-09 12:07:15 | 世代間問題
最近、周囲で「民主党の大臣で誰が一番大変か」という話題になることが多い。
大変なのは全大臣がそうだろう。自民党なんて、大臣業務を一種のルーチンワーク化
していたから、誰がやっても従来並にはこなせたわけだ(何一つ変えられないけど)。
それを民主党という学生ベンチャーみたいな組織がやってきてゼロリセットする
わけだから、党内も霞が関も大騒ぎらしい。
友人の官僚曰く「霞が関は学級崩壊状態」と言っていた。※1

さて、一番大変な大臣だが、個人的には長妻さんだと思う。
前原さんも忙しそうではあるが、そうはいっても落としどころは見えてきている。
長妻さんの場合は、答えの無い問題がいくつも並んでいる。
それはいつか爆発する時限爆弾のようなものだ。

たとえば、彼らが廃止を掲げてきた後期高齢者医療制度がそうだ。
以前の制度に戻せば、保険料格差が最大5倍にもなっていた地方の国保は破綻する
しかない。逆に「新たな制度」を作るといっても、
(「高齢者の負担は増やしません」と宣言してしまった以上)現役世代の負担を
引き上げて国保に流すしかないわけで、それが消費税にせよ保険料にせよ、そこで
爆弾は爆発するだろう。

そして、もっともタイムリミットの迫る爆弾は雇用だ。
ご存知の通り、民主党は「ゆき過ぎた規制緩和で格差拡大、だから我々は規制します」
を旗印に政権を獲得してしまった。
よく見てみると、この旗印は必ずしも支持されているわけではないのだが、それでも
マニフェストとして掲げてしまった以上は今後も拘束されるだろう。
ただ、規制で職は増やせない。
さらには、労働市場の流動化という成長戦略が無い以上、いくら訓練費用を計上した
ところで新たな雇用も増えないから、椅子から落ちた人間は永遠に底辺をさ迷う
しかない。

今のところ、農業や介護といった吸収余地のある業種へ将棋の駒みたいに移そうと
しているようだが、そんな計画経済みたいな雇用政策が上手くいくわけがない。
良くて現状維持、むしろ日本全体の地盤沈下によって雇用情勢はさらに悪化するだろう。

その事実がはっきりした時。「小泉改革で格差拡大!」という
妙な人たちの妙な期待を一心に背負ってスタートした連立政権は、
大爆発するはずだ。
※2

でも、個人的にはそれで良いのではないかと思う。
社民党まで参加した保革連立政権で、雇用問題がまったくお手上げでしたとなれば、
有権者もいい加減、現実を直視するだろう。
少なくとも雇用政策においては、僕は民主党にはそれ以上の期待はしていない。


※1 官僚に任せてしまえばルーチン化できるが、さすがにそこは譲らないだろう

※2 既に局地的には時限爆弾は爆発している。
   「これが新政権なら政権交代は失敗だった」