Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

良いバラマキ悪いバラマキ

2009-07-12 09:35:18 | 世代間問題
政府の緊急雇用対策の一環として、雇用調整助成金のばらまきがある。
一見すると、労働者よりの政策に見えるが、世代というフィルターを通してみると
話は別だ。
半年程度、予算の続く限りばらまいた後に、果たして何かが生まれるのだろうか?

たとえば、スエズ運河がテロリストにジャックされてプチ石油ショックになりました、
というような状況ならわかる。
たぶん事件は一ヶ月くらいで解決し、需要も生産量も回復するだろうから。
でも、現実にはどうだろう。
日本の以前の生産量に戻すために、アメリカ人はまた借金で
家を買って、その家の値上がり分を担保に金を借りて
輸入してくれるだろうか。

ありえない話だろう。

ならば、取りうる道は、もっともっと高い付加価値の製品を開発して競争力を
高めるか、それとも内需を含めた新たな産業にシフトしていくかしかない。
大手製造業で言えば将来性の無い事業を畳んで有望な事業に集中する荒療治が
必要だろう。
産業自体が斜陽化しているものなら、そこからニーズの高い医療や介護に、人もお金も
移すべきだ。

そう考えると、助成金だして今の職場で雇い続けさせることにどれくらいの意味が
あるのか、非常に疑問である。
正直にいうと、緊急の大手術が必要な時に、モルヒネで誤魔化しているようなものでは
ないのか。
さらにいえば、大幅に増額された助成金も、結局負担するのは
我々ではないのか。


週刊東洋経済(7/11月号)特集「麻生バブルの罠」でも、
この問題は取り上げられている。
助成金などしょせんカンフル剤でしかなく、いつかは息切れするはずだと。
さらに本特集では、補正予算で組まれたもう一つの雇用対策である
「緊急人材育成・就職支援基金」についても、具体的な効果について
疑問を呈している。

要するに、総額だけ政治的に決めた“ハコ物”方式ではないのかと。

まったく同感だ。
雇用調整助成金のようなものではなく、再就職支援や緊急のセーフティネット的な
ものにお金を使えというのは、僕自身、以前のサンプロでも言ったとおり。
ただし、それには人材市場の流動化という大前提がある。
そこを無視していくら研修に金をかけても、椅子取りゲームも始まっていないのに
椅子の座り方を教えるようなもので、政策としての費用対効果は非常に限定的だろう。

特集中、元産業再生機構COOの冨山和彦氏の意見は鋭い。
「ホンネでは非正規社員に押し付ける仕組みじゃあもたないことは
わかっていますよね、早くホンネの議論をしましょう」

ホンネの議論とはなんだろう。
残念ながら、Webの一部以外で、ホンネが語られる機会はまだない。