日銀失墜、円暴落の危機(幻冬舎 藤巻健史、2015年1月、当時で本体1100円)
ちかごろ著者の主張通り円安とインフレになったので10年近く前にブックオフで買ったこの本を読む気になった。この人の本は、いままで数冊読んだがみな同じ中身であることに驚く。(表紙は違うのだが)この本はブックオフで110円で買った。今回も多分同じだろうと思ったが、果たして同じである。ブックオフでは、普通まず400円くらいの値段にしておいて売れないとみると100円の値札がそのうえから貼られるのであるが、これは400円を経ないでいきなり100円の値札である。ブックオフは本の値決めがなかなかしっかりしている。
まず前半は、いかに日銀が危ないかを述べる。 難しい専門用語を並べ立てて読者を煙に巻く。それからインフレの恐怖を諸外国の実例を持ち出して読者を脅す。さらに預金封鎖と財産税の恐怖を過去の(こちらは日本の)歴史を持ち出して脅す。著者は国会議員である。こんなこと書いていていいのかと思ってしまう。書いてる暇があれば対策をたてるのが先じゃないのか。
さて、読者がとるべき対策が後半である。前半とは打って変わってこちらはよくわかる。ドルを買えと主張する。もし10年前に著者の言うようにドルに替えておけば、金利も高いから結構利益が出たであろう。惜しいことをした。しかし、著者の主張によれば財産税の恐怖があるのであるから、せっかくの利益が税金になってしまうような気がする。そうすると、ドルを買うより美味しいものにして自分のお腹に入れてしまうのが一番いいんじゃないかとこの本に嫌味を言いたくなってくる。おなかに入ったものに対しては税金がかからない。
藤巻さんの本を近頃本屋で見ないけど折角予言通りインフレがおこり円安になったのであるから、藤巻さんには信用が出た。是非次の対策本を書いていただきたい。(もっと素人向けの言葉を使ってであるが)
それから、わたしの見落としかもしれないが、藤巻さんの本が文庫本になっているのを見たことがない。折角予言通りになりつつあるのであるから、文庫本に入れてはいかがか。
それとも1100円の値段にするのであるからもっと企画段階で練らないといけない本である。練っていないから恥ずかしくて文庫本に入れられないのか。