なぜ入社してすぐやめる人が増えるのか
テレビで上のテーマの放送があり、「今の若者は自分の個性を大切にするように教育されているから、自分を活かせないと看ると会社を辞めるに躊躇しない。」が原因であるとしていた。異議ありである。自分の個性を大切にするように教育するのは、戦後すぐの教育からである。しかし、その世代の人が躊躇なく会社を辞めることはなかった。(いないわけではなかったが、やめる人は十分の準備をして大抵は自営業に近い仕事を選んだ。)いったんやめた人を再び雇う人材の市場はなかった。それが今は転職のコマーシャルはテレビの中に電車のなかの宣伝に満ち溢れている。今は転職してもいいとの風潮が世を覆っているのである。昔の世代は自分を活かせないと感じながら勤めたのである。昔は苦界に身を沈めると自嘲しながら勤める人が多くいた。どちらがいいとか望ましいとかは別である。
昔の人が辞めなかったのはそれだけではない、会社は様々な楽しみや利得を社員に提供したのである。社員は夜遅くまで働いたあと縄のれんの向こう側で、上司の悪口や会社の方針を諫める会話を楽しめたのである。または、社内人事の噂話に興じることができたのである。人は週刊誌ネタが大好きである。それも自分のごく近くにいる人のネタが大好きである。ここに眼をつけてこういう社員管理の仕方を思いついた人が昔いたのである。外に出られなくして仲間内で楽しめるゲームをする。そうして50歳55歳くらいまで引っ張るのである。
ここで女性が社会進出した。女性はこの会社に遊んでもらう人生を「その手は喰わない。」と拒否したのである。会社は社員管理の大事な手法を失ってしまった。会社は社員を愛すること赤子の如くし、(いざとなれば)社員を棄てること糞土の如くするものである。その愛するところが(女性社員が見破ってしまったので)なくなったのである。糞土のように社員をリストラするところだけが残っているのである。
私の見るところ、若い人が陸続として会社を辞めるのは、転職市場ができたことと会社が社員を愛さなくなった(または愛しているふりさえもしなくなった)ためであろう。個性を大切にするように教育されているからではない。
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