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映画 ジョーカー② 変なところだけどここに感激した

2024-09-22 23:46:44 | 日記

映画 ジョーカー② 変なところだけどここに感激した

 印象に残る映画であった。はじめそれはアメリカ文化の行き詰まりを写したところだと考えていた。アメリカの行く末を予言しているのか、ならば今後の参考にしないといけない。映画産業はアメリカの基幹産業である、そこがこのように言うのである。しかし 別のところにも見どころがありそうに思って長いことと考えていた。

 見どころは主役ジョーカーの全身を使った演技ではないか。顔に絵を描いているから表情の演技は大きくはない。セリフに特に凄く考えさせられるというものもない。全身を用いた姿勢の演技が凄い。おそらく歌舞伎でも京劇でもオペラでもバレーでも舞台芸術は、表情ではなく全身で何かを表現するものなんだろう。観客はその表現力に感激するものと思う。

 ところが映画ではアップの場面が多用されるので、ついつい観客は表情による演技に気持ちが向いてしまう。それはそれでいいが、映画でも姿勢による演技ができるし、また観客がその表現力に感激するところがあっていい。私はジョーカーの体による表現力の凄さに感激したのだと思う。

 そういえば、いい映画は脇役に舞台芸術の俳優を使って観客を酔わせる工夫がある。ロメオとジュリエットでは僧侶の役、チャンイーモウ監督の紅夢では、提灯を懸けて回る仕事をする役のヒトがそれぞれオペラ京劇の役者さんだろうと思うが、身のこなしが見事である。主役は「華」が必要なので舞台芸術の俳優さんを使わないようだけど、レッドサンではアランドロンと共演した三船敏郎が、身のこなしでは明らかにアランドロンに勝っていた。

 観客はそんな映画を見て何の得があるのか。ヒトとヒトとのコミュニケーションは、コトバや表情だけではない、全身で伝えるものであると学習するのである。われわれはあまりにも言葉に頼りすぎていることを、藁の底から理解できるのである。さすがに 明日から全身で表すよき表現者になろうとは思わないが、他のヒトを理解するのにその全身を見ようという気にはなる。それとともに歌舞伎やバレーお能や京劇も見行こうという気にもなる。いずれも音楽を聴くことが目的みたいになっているけど、決してそれだけではない。役者さんの体の姿勢から我々は何かが学べるはずである。



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