前日からずっと絶え間なく食べ続けとうとう胃がきりきりと痛み出す。
眠い、だるい、体がどうにも起きない。
400kmの時の体験では日が昇っただけで元気になった。
そういうものか思えばそうでもなさそうだ。
いよいよ疲れはピーク。
あとトイレ…
男性なら茂みに隠れればいいのかもしれないがこっちはそうはいかん!
PC3からPC4の間には全くトレイがない…
50kmなら我慢しろ!
ま、他人にならそう言うかもしれないが…
しぬ…
トイレ…
トイレを探して爆走と行きたいけど、
気を抜ける下りに慣れが眠けに襲われる。
相変わらず続く山道のアップダウン。
途中で小さな公衆トイレ発見。
あ~!
トレイあった~!!
行き過ぎた~!
戻る~!
逆行しているとき、
上から確かにタイムマシーンさんとひなともさんだったでしょ?
ひなともさんの言い方をまねれば…
バビューーーーーン!
…と抜いていった…
ついでに次の坂をその勢いで駆け上っていった。
タイムマシーンさん、ひなともさんを見た最後の姿だった。
後は走れど走れどPCに見えないので、かなり焦った。
なんだかんだゆーてもひなともさん、はよなりはったなー!
とうとう抜かれたなー
という会話をしていたので、DNFと聞いて何かトラブルかと思った。
で、トイレをのぞくとあまりなにおいと人の気配がしたのでパス
ぐぐぐぐぐっぐるじぃ…
がんばれ!PCまであと少し!
自分を励ましやっとPC4へ!
トレイに駆け込む。
また朝飯食べて仕切り直す。
何とか体調が戻って欲しい…。
PC4には7時頃。
すっかり明るくなってるのに、だるくて眠くってたまらない。
ここらあたりの記憶があまり無い。
眠気のピークがここらへんにあったかもしれない。
ただ…
タイムアウトの噂を確かにここのコンビニで小耳に挟んだ。
次のPCからずっとまた厳しいアップダウンが続く。
そこでタイムアウトが多発する。
と言うような話が聞こえてきた…。
そろそろ、ぼ~~~~っと走っている訳にはいかないなぁ…。
PC3のコンビニを出てまたしばらくまたアップダウンはサニーロード。
おいちゃんさんからのコメントで9頃には向かい風が吹くという。
このコンビニをすぎたあたりから、早くも向かい風が吹き始めた。
あぁ…先はまだ長いのに…ずっと風が吹くのか…
思えば昨日はええちょーしやったわ…
先のコンビニではヒロさんが眠気覚ましのドリンク剤を飲んだせいか、
坂を快調に飛ばして行く…
うぅ…登りは無理やて…
すぐこれですわ…
なんというかブレーキがきかんというのかペースが落とせんというか。
で…あるときぱたりと足が止まるヒロさんの癖。
こっちはなー!
毛虫やどー
調子に乗ったヒロさんは前をがんがん抜いて走る。
イマイチ体調が戻らないワタシはよれよれになってついて行く。
20kmほどアップダウンを耐えると松坂の町へ出る。
走り易い平坦な広い車道にやっと出てホッとする。
そうするとだんだん足が回り始める。
10時頃になると体調はすっかり戻り。
いつものように快調に走れるようになる。
車道では何人かのブルベの人に追いつく。
スタートの時、ドイツ人が写真を撮っているのをにっこり笑って無理矢理入ってやった
日本語の全く解らないらしいドイツ人に「おはよ~!」と声を掛けて抜いていく。
抜くと猛烈な勢いで追いかけてくる。
こっちも必死で逃げる。
とうとうドイツ人ちぎった~!
…と思ったらヒロさんの足が止まる。
例のドイツ人の着てるジャージはアメリカの3桁は当たり前!と言われるほど走る方々のジャージだよ。ってどなたからか聞いた。どおりで…
休憩しようとヒロさんが言う。
せっかく足が回り出したのに、休憩したくないないねんけど…
しょうがな~い、少しだけと休憩やるか。
ドイツ人手を振って過ぎていく。
ヒロさんドリンク剤で再び復活、関のPC5へすっ飛ばしてやっと到着する。
関ではたくさんの人がいらした。
ここからがまた厳しいらしい…。
ドイツ人がレスキューシートにくるまって駐車場で倒れていた。
ワタシも靴を脱いで休憩。
ヒロさんも倒れてしまった。
10人くらいは居ただろうか、みんなかなり疲れた様子で、ゆっくりしている。
ワタシはすっかり調子が戻り疲れは全く感じなくなった。
ヒロさんが倒れているので、仕方なくでっかいプリンパフェを時間掛けて補給する。
30分も休憩しただろうか?
今度は針の最後のPCに向かって走り出す。
次のPCまで90kmほどかな…。
少し眠ったらしいヒロさんが快調に走り出す。
元々坂に強いのに休憩後は拍車がかかる。
「休憩は短めにしよう」と言ってるワタシの状態は元気だと思ってるらしい。
休憩した後は足も心臓も回らなくなるのがワタシ。
ヒロさん坂を駆け上がる。
休憩するとどっと疲れがでて体が重くなるとまた足が回らなくなった。
心拍も上げられない、重い体になって登りで苦しむ。
簡単な登りもかなり苦しくてつい下を向く。
坂の上の交差点の状況が見えなくて、ヒロさんのサインを見落とす。
たまたま通りがかった人とぶつかりそうになって反対車線の歩道に逃げる。
これじゃあかん
休憩すると頭も体も足が回らなくなる。
いつも一緒に走っていても、体は全く違うのだ。
600kmにもなると一人で走っている人が多いのはそういう訳だったのか。
この距離を他人と一緒に走り続けるのは無理がある。
いつも一緒に走っている夫婦でも体や足は全く別物だった。
しばらく山を走ると、だんだんワタシの足が回るようになって、体が軽くなって楽しく走れるようになってくる。やっと景色を眺める余裕も出てくる。
と、ヒロさんが疲れて休憩するのだ。
…最悪のコンビネーション。
とうとうコンビニで「頼むからそろそろ行こう!」
「これ以上休憩するとワタシが保たん!なるべく休憩しないで走って!」
と訴えると、ヒロさんにはそれは無理なのだそうだ。
じゃ!登りペースを落としてよ!とだんだん険悪な仲間割れムードで針に向かう山に入る。
噂通り採石場の山道でかなりの距離のダートがあった。
道を選んでも、砂利にずるずる滑り込む。
ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃこわいよ~!
それでも誰かがぬいてったよ~!
あんな道をちゃんと走れるなんてすごい。
二人で走るにはどう走れば一番良いのだろうか。
休憩しないのか、ペースを落とすのか、ハイペースで休憩多く走るのか。
夫婦で楽しく一緒に走れるのかと思えば、だんだんそうでは無くなるらしい。
…ブルベって難しい。
休憩しないで、緩いペースで登ればいつまでも足は回りそうだけど…。
そう思った頃、またぱたりとヒロさんの足が止まる。
もう休憩するところはない。
む~っ!どないすんねん。
ほっていったろか。
あるいは、
ほっていかれたろか~っ!
また道の端で少し休む。
ドイツ人がまた通りがかる。
「キューケイ?キューケイ?」と心配そうに声を掛けてくれる。
おぉ~!日本語おぼえてはるわ~
もう残り100kmくらいだろう。
思ったより距離が進まなくなった。