試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ103-212+モハ102-367[ラシ335F-1] 車体改修 (側板湾曲対策施工:塗装変更車) ※TOMIX製High-Grade製品

2018-07-20 21:36:43 | 国鉄/JR103系
再開。

TOMIX製103系High-Grade製品ではクハ103形の運転台側TNカプラーSP白濁対策を進めている。
途中から嵌合精度の甘いC4系ブレーキ制御装置部品固定化も加わり入場期間が伸びる傾向にあった。
初期形冷房改造車組込編成は側面窓セル嵌合に影響を及ぼす車体断面の塗装補修まで工程に組まれる。


JR103系ラシ335F (1988/12)。
ラシ335F-1:Tc461-M212-M'367-T342-M47-M'47-T144-M215-M'370-Tc726。
※TOMIX製High-Grade製品。

この工程を維持している限りTOMIX製103系High-Grade製品の全編成改修は遠退くばかりだった。
止むを得ず車体塗装補修を分離し運転台側TNカプラーSP白濁対策,C4系ブレーキ制御装置部品固定化と区分している。
それに伴い初期形冷房改造車(塗装変更車)組込編成の入場は先送りし順次整備を行ってきた。
国鉄仕様は行先表示変更予定編成を除き対策を終えた。
実車の配置都合から初期形冷房改造車はJR仕様に数多く在籍する。
塗装変更車の修繕に着手すべくラシ335F-1(MM'47)を入場させた。


入工中のモハ103-212(ラシ335F-1:塗装変更車)。

ラシ335F-1の入場抜擢は単純に初期形冷房改造車組成数が多かったためである。
10両編成中7両が塗装変更車で占められており塗装補修に多くの時間を割かれる。
最多はラシ332F-1(Tc743)の8両だが既に出場済だった。
後期竣工車に該当するラシ335F-1ではあるが7両とも塗装状態に然程変わりはない。
仕上げを端折った車体断面が今日まで影響を及ぼしている。
側面窓セルの嵌合が甘く側扉戸当たりゴムモールド付近は張り出しが見られる程だった。


窓セルが撤去されたモハ103-212。

既に出場した塗装変更車の補修では側板塗装剥離まで生じさせた。
爪楊枝による車体断面の補正は強引過ぎだったらしい。
余計な工程の発生を防ぐため一部方式を変更する。
入場第一陣は7両で最も状態の芳しくないモハ103-212+モハ102-367とした。
このユニットは朱色1号車両が種車で柚肌には至っていないものの厚塗りと薄塗りが混在している。
特にモハ102-367はこの差が激しい。
そこでモハ103-212を先発させ新たな車体断面補修方式を試行する。


モールド断面の黄色5号塗料を剥離した妻面窓セル(1エンド側)。

ところがモハ103-212は床板の取り外しから難航した。
塗料が完全に乾燥する前に組立を行った模様で台枠の一部が車体裾内側に融着していた。
側板車体裾は塗装被膜が薄くニードルは使用できない。
ドライバーをクロスで包み少しずつ車体から浮かせている。
床板がこの始末であれば当然側面窓セルも取り外しが行い難い。
上作用式の側面窓セルに構わず車体との間にニードルを立て何とか撤去を終えた。
車体断面の塗料は窓セルモールドにも付着していた。
外観からは伺えない箇所であり全て爪楊枝で削ぎ落とす。
付着部は側扉窓及び戸袋窓周辺が主で剥離後にHゴム支持印刷を中心とした塗料滓の清掃を行った。


車体断面を均し終えたモハ103-212。

モハ103-212の窓枠車体断面は塗料残滓が少なかった。
塗装変更時は側面窓セルの嵌合を頭に入れ車体断面への吹き付けを抑えていた。
しかし仕上げは行われておらず黄色5号で覆われた箇所と朱色1号のまま残る部位が各所で見られる。
側板の黄色5号を守るため先ず極細綿棒を回転させながら車体断面に当て粉状の塗料を取り除いた。
その後クロスで包んだ爪楊枝で軽く擦る。
最後にもう一度極細綿棒を用い均しを行った。
補修を終えたところ側扉窓,戸袋窓断面は朱色1号の面積が増えた。
しかし側板の黄色5号は残っており新方式は成功したと思えた。


固定方法を変更したC4A形ブレーキ制御装置。

C4A形ブレーキ制御装置部品は何の抵抗も無く傾斜してしまう。
従来は一旦撤去し取付脚へタミヤセメントを塗布していた。
施工後の安定度に問題は無い。
しかし編成単位で10機のC4系ブレーキ制御装置部品を都度取り外すのは効率が悪かった。
そのため流し込み接着剤を直接投入する方向へ切り替えている。
メーカー塗装車で纏まった編成は先行措置を施した。
現在に至るまで脱落は生じていない。
但し投入角度を誤ると台枠裏面が溶け出してしまうため使用量と共に気を配っている。


全面清掃が施されたTNカプラーSP(2エンド側)。

連結面側TNカプラーSPの白濁対策も一部変更した。
フレームだけクリーナーでの清掃を行ってきたが連結器部品もその対象へ格上げしている。
手元が狂い連結器部品にクリーナーを付着させた事がきっかけであり施工予定ではなかった。
ただ一度清掃を施せば約1年間は効果が持続する。
序での作業と言え両連結面側TNカプラーSPも完全に黒色成形を取り戻した。




モハ103-212(ラシ335F-1:車体断面塗装補修施工)。

新車体断面塗装補修の第一号車となったモハ103-212は入場前と余り雰囲気が変わらないように見える。
しかしHゴム支持印刷に付着していた黄色5号塗料が取り除かれ側扉窓及び戸袋窓の輪郭がはっきりした。
側面窓セルの嵌合もメーカー塗装車同様に上作用式で着脱できる。
ある程度の手応えを得て本題のモハ102-367を入場させた。


入工中のモハ102-367(ラシ335F-1:塗装変更車)。

モハ103-212とは異なり台枠の融着は見られなかった。
塗装状態の悪いモハ102-367は窓セル撤去から難航が始まる。
同時竣工車ながら塗装技量が不安定だったため幕板から下方向に向け被膜が厚くなる。
窓枠車体断面は既に厚塗りだった。
しかも側面窓セルがしっかりと組み込まれておらず湾曲している。
窮屈な嵌合により側扉戸当たりゴムモールドの張り出しはモハ103-212より酷かった。


技量不足を露呈する側板(2エンド側)。

側面窓セルは車体内側に融着してしまいニードルでの撤去が行えなかった。
八方塞がりになりかけたがゴム被膜を持つ工具の端部を外側から押し込む方法を採り入れた。
僅かに側面窓セルが動くだけで軋み音を発する。
折損を防ぎつつ車体内側にニードルを挿せる空間を設けた。
側板の歪みが示すように側面窓セルは車体に対し窮屈だった。
撤去は一窓毎に進めている。


塗料残滓が目立つ車体断面(1-3位側)。

やっとの思いで取り外した窓セルは全箇所の断面清掃を施した。
黄色5号塗料は漏れなく付着しており削ぎ落としに苦戦している。
幸いHゴム支持印刷には影響が見られず措置は不要だった。
続いて車体断面の塗装補修に着手する。
モハ103-212では殆ど見られなかった塗料残滓が各所に存在した。
新方式での車体断面補修を施す前に庇形の黄色5号塗料を車体内側へ折り込む。
これにより側板の塗料剥離を防ぐ手段とした。
その後新方式で全窓枠の修正を行っている。


車体断面を平滑化したモハ102-367。

仕上げに用いた極細綿棒は黄色5号に染まる程だった。
都合4段階の対策を経ながらもまだ塗料が残っていた事になる。
更に平滑化を進めるには塗装被膜厚が一定ではないため朱色1号を露出させる確率が高まると思えた。
よって現状で作業を打ち切り組立に戻る。
モハ103-212は製品状態に近い窓セル嵌合精度に至った。
しかし状態の悪かったモハ102-367は妻面窓セルの装着から躓いた。
嵌合方式が側面窓セルと異なるためか上手く窓枠に入らない。
天井に妻面窓セルを押えつけ下作用式にて嵌め込んでいる。


張り出しが治まった側扉周り。

側面窓セルの取付はましだった。
但し入場前に生じていた側扉戸当たりゴムモールド付近の張り出しが再発した。
これ以上側扉窓車体断面には手が出せない。
結局初期補修施工車と同様に車体と側面窓セルを挟み付け強引に押し戻すしかなかった。
何れの側扉も微妙な手応えと共に沈み込む感覚が掴める。
余り採用したくない方法だがどうにか側板を垂直へ戻した。
再入場時は塗装変更車全てで慎重に側面窓セルを取り外しており大きな問題にはならないと思う。


整備を終えたモハ102-367用床板一式。

残る工程は床板関連だけとなる。
TNカプラーSPは回着当時を思い起こさせる黒色を取り戻した。
撤去や分解は伴っておらず簡易式清掃に変わりはない。
そのためフレーム天面は未措置で今後の推移が気になる。
内部も極細綿棒が届く範囲内だけに留めており分解白濁対策施工品とは持続期間が異なるかもしれない。
最後にC4A形ブレーキ制御装置部品を溶着した。


[モハ102-367]:2-4位側(埃除去)。

竣工直前に2-4位側の車両番号標記への埃混入が判明した。
組標記のグリーンマックス製インレタを用いたため剥離しての再転写は見附を悪くするだけである。
埃は[モハ102-367]に入り込んでいた。
そこで[モハ102-367]を押え埃を引き抜く作戦に出る。
残念ながらこの作戦失敗に終わり[モハ102-367]は下辺が引き裂かれてしまった。
まだ誤魔化せる範囲にあると考え爪楊枝で修正を施している。
一応型崩れは最小限に止まり再転写を回避出来た。




モハ102-367(ラシ335F-1:車体断面塗装補修施工)。

庇状に突き出ていた塗料が消え去りモハ102-367の側面見附はモハ103-212と同等に仕上がった。
側板の朱色1号露出を防げたため部分修正も必要無かった。
完全ではないが新車体断面塗装補修方式も通用すると思える。
他5両の塗装変更車も同一方式を踏襲する方向である。
無難にモハ103-212+モハ102-367の竣工に至りラシ335F-1の入場第一陣抜擢は当たってくれた。


モハ102-367+サハ103-342 (ラシ335F-1:塗装変更車+メーカー塗装車)。

モハ102-367はサハ103-342(量産冷房車)と連なる。
塗装変更車は仕上がりの拙さこそ否めない。
しかし側面窓セルの嵌合に限り同一になった。
Hゴム支持印刷の輪郭も浮き上がり多少格差を埋められたと思う。
なおメーカー塗装車のサハ103-342はTNカプラーSPの簡易清掃とC4B形ブレーキ制御装置部品固定だけ施している。

ラシ335F-1の塗装変更車はモハ102-367に近い塗装状態を持つ車両が大半である。
モハ103-212は弾み車の役割を果たしたと言えよう。
この調子でラシ335F-1の再出場を迎えられるのが理想的である。