白毛馬のG1勝利は史上初

春競馬の総決算、宝塚記念は最ウチ枠を引いた名手岡部鞍上のダイリセキ(703)がファストタテヤマ・ステイゴールド等の追撃をしのぎきり、史上初となる白毛馬によるG1制覇を成し遂げた。(宝塚記念全着順)

その手綱さばきで幾多のビッグレースを制覇してきた名手岡部にとっても、初めての体験だったろう。そもそも岡部騎手がG1で最低人気の馬に騎乗すること自体滅多に無い。それがまさか勝ってしまうとは。岡部騎手の単勝万馬券での勝利はG1はもちろん、全重賞まで含めても初めて。しかもそれが史上初となる白毛馬のG1勝利となるとは。

レースはサイレンススズカが単騎逃げを打つかと思われたが、2番人気アーマーピアシング(701)が外から並びかけ、1・2番人気同士が後続を大きく離して先手を争うハイペースな展開。人気どころでは5番人気ラスカルスズカが中団外目、4番人気タップダンスシチーは外ワクがたたって中団よりやや後方で追走に手間取る。6番人気ファストタテヤマは中団ラチ沿い、3番人気ステイゴールドは後方から2頭目でレースを進める。

逃げるサイレンススズカ、アーマーピアシングはハイペースが祟り、4角で早くも後続に捕まり、直線最初に抜出してきたのが、最ウチ枠を利して中団ラチ沿いをピッタリ回ってきた白毛のダイリセキ(703)だった。続いて同馬の全妹にあたるコクヨウセキ(711)が伸びてくるがその差は中々詰まらない。ゴール前100ｍで後方からファストタテヤマ、ステイゴールドが追い込んで来るが、ファストタテヤマがクビ差までせまったところがゴールだった。

ダイリセキ(703)を管理する秋野調教師は「正直一旦先頭に立っただけで満足していたよ。後続も迫ってきていたしまさか粘ってしまうとはねぇ。」と驚きを隠さなかった。調教師本人でさえ半信半疑の同馬の快走だが、鞍上の岡部は前走の手綱を取った際に今回の好走の予感はあったと言う。「前走の目黒記念は3歳時のエーデルワイスSから2年ぶりに乗ったワケだけど、素直で乗りやすい気性は変わってなかったね。前回は道悪だったので案外だったけど、3歳のプリンシパルSの時に道悪は良くないと思っていたからね。切れるスピードは無いけど、直線競り合うとしぶといのは3歳時から知っていたから。最ウチ枠だし最短距離をピッタリ回って最後に競り合う展開になればと思っていたけど、その通りになったね。」と、会心の騎乗にご満悦の様子だった。