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ISO内部監査員勉強会:2回目:ケーススタディ

2010-07-01 20:40:45 | ISO

以前の「ISO内部監査員勉強会」で紹介していましたとおり、今日はその研修2回目。ケーススタディでした。

ええと、ケーススタディの前に前回の補足、ということで、「5S3定」の話がありました。製造業であればやってないところはないくらいかもしれません。ISOには含まれませんが、より業務改善を追及する場合には重要となります。

「5S3定」について詳しく説明しているサイトはほかにもありますのでそちらに譲りますが、今日は3定「(1)定位(場所表示)、(2)定着(品目表示)、(3)定量(量表示)」のうち、「定量」の例として「補充点発注方式」の説明がありました。

たとえばねじであれば、ある機器を1台作るのに5本使い、1日100台作るとしたらねじは1日に500本必要です。で、ねじを発注してから届くまで4日かかる、とした場合、在庫としては最低でも4日分となります。なので、500×4で2000本は必要です。2000本になった時点で発注をかければいいのです。また、この場合には、2000本の在庫のある状態で発注した2000本が届く、というケースがあるため、在庫量としては最大でも4000個の在庫となるはずです。(許容在庫量) 

では、余剰在庫を作らないためには・・・5S が必要になります。たとえばねじ100個ごとに箱を積んでおいて、20箱(2000本)のところに「差立て版」を用意し、このかんばんが現れたら発注、とルールを決めておけば問題はないはずです。まあ、これだと後入れ先出しになるので、状況によっては古いものを先に使うために箱のいれかえが必要かもしれませんが。

あと、別の話題としてはトヨタ生産方式の「水すまし」という用語がでてきました。用語については http://homepage2.nifty.com/J-walker/starthp/TPS/TPS.htm などで紹介されています。
なるほど、必要な種類の部品を必要な数だけ集め運ぶための専属の人をつけます、というのも5S3定のための1つの方法なのですね。

で、本題。ケーススタディです。外部のISOコンサルタントの先生が作成した10数個のケーススタディをもとに、それについて担当を割り当て(1人2つ平均)、そのケーススタディに対して、
「ISOのこの項目だとこのように決められている。現場ではこうだった。だから不適合(指摘事項)、あるいはこうしたほうがいい(推奨事項)」ということを各人の意見で発表します。

ちなみに、ケースを考える際、http://orange.zero.jp/zaw13753.wing/iso/iso9000/ISO9000_02.htmlが参考になりました。やっぱりISOの文書自体はけっこう頭にはいりにくいですし、具体性はないですからね。このサイトでは「具体的にどんなところが指摘されるか」というのが事例として書いてあったり、たとえば供給元の評価をする際も、具体的にどういう項目が考えられるか、も載っていてわかりやすかったです。

で、実際にやってみると、けっこうISO規格書を細かくみて発表したつもりでも、他の人から「まだあるよ」とコメントがはいります。やっぱりそれがグループディスカッションのいいところですね。

ぢろーらもが担当したうちの1つは測定機器に関するものでした。測定機器ということで、ISO9001の7.6についてはけっこう見ていたのですが「これって6.3の”インフラストラクチャー”の部分で規定されてるから、もう1つ指摘事項が増えるでしょ?」なんてコメントをいただきました。なるほど・・・それは確かにそうだな・・・。

もちろん、ISOを導入して業務効率が低下した、では意味がないので、実際に業務などに支障がないどうでもいいことについて、重箱の隅をつつくようなことは誰もしませんでした。そのへんはきちんと心得ているようです。

こんな感じで各ケースについて話を進めていきました。割と活発に意見を出しあえたように思います。社内での勉強会なので発表者自身も「こういうのがわからない。解釈に困る。どの規定にあてはめていいかわからない」というのもざっくばらんに言って構わないので、

このときに出た質問で「指摘事項と推奨事項ってどうわけるの?」というのがありました。こちらは

  • 指摘・・・明らかにISOの規定からはずれいてる(決めるべきことは決められていない。文書化されるべきものがされていない、など)
  • 推奨・・・規定はあり、表面上はOKだけど、なんかおかしいと思われるもの

というような説明がありました。

ケーススタディの個々の内容を掲載してしまうのは著作物なので問題があるため、以下はその際に出たいくつかの話題を紹介します。

・教育については

 1:各部門において必要な力量を明確にする
 2:各人の力量評価
 3:必要な力量を向上させる計画
 4:実施し、その記録を残す
 5:効果を確認

 が必要となりますが、なかなかそれが実践できている組織はないようです。「忙しくてそんな暇はない」と目の前のことを見てしまいがちですが、長期的にみると企業の衰退につながります。このため、ISOでも教育訓練については非常に重要とされ、外部監査でもよく指摘されます。

・在庫管理の方法の1つに「所番地管理」があります。部品の場所について丁目、番、号で管理する方法です。ファイル棚の例ではありますが、http://www.sg-loy.com/case-office/file-address/ にも紹介されていました。

まあ、在庫管理が成功している例としてはアマゾンさんがあげられます。テレビなどでも何度か紹介されていますが、商品を全く分類せず、置き場所をシステムで完全管理しています。これによって短納期を実現しています。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20090023,00.htm

・環境を考慮した商品を作る、ということでは「RoHS対応」があげられます。RoHS対応にひっかからないように、たとえば「鉛を使っていない部品」などをどう見極めているかですが、実際には通常はコードで判定しているようです。化学物質を測定する機器なども存在しますが、これは1台で2000万円くらいする代物だそうです。費用対効果を考えると、大企業でないとこのレベルの装置を買うのはきびしいですよね。

・ノギスやマイクロメータの校正に関しては、外部機関に校正を依頼するとけっこう費用はかかります。たとえば30台測定機器があるときに、それを全部外部機関に見てもらうのは経済的ではありません。この場合、「1台のみを外部に校正に出し、その機器で対象物を測定してその値を基準値とする。そして、残りの29台については同じ対象物を測ったときに許容範囲内の誤差におさまるかことを確認する」ということを、「これがうちの校正方法。この方法で測定の正当性を確保する。」と社内で規定すればよいようです。そうすれば経費の節減になります。まあ、オシロスコープのようにそれだと無理があるものはあるので、あくまで測定機器の種類によりけりにはなります。

・内部監査員に関しては、社内で「どうしたら内部監査員として認めるか?」というのを決めればいいようです。これは会社によってまちまちで「外部機関で所定の研修を受けた人のみを内部監査員として認める」という場合も、「外部機関で所定の研修を受けた人から講習を受ければ、内部監査員として認める」というのもどちらもありです。外部機関で行なえばいろいろなことを漏れなくやってくれそうですが、より会社の実務に近い研修を提供できる、という意味では内部監査員からの講習のほうがいいかもしれませんね。

さて、2回の研修が終わりました。また講習を受ける機会もあるかもしれませんが、本番の監査でまずは副監査員としてはいって実践積んでいく、というのが重要なようです。その際にはまず以下を心がけようかと思います。

  • まず、監査をすることになった部署(被監査部門)の業務内容が多少なりともわからないと話にならないので、先にある程度業務の概要をおさえておく。また、前任の監査員がどのようなことを指摘したか、などの記録もみておく。(外部機関の監査でも、監査対象の会社のホームページはくまなくみるようです。あと、監査記録についても見られます。「前回も指摘されたり観察事項になっているのにまだなおってない、あるいはいったんは改善したがもとに戻っていた」では、当然指摘対象となります)
  • ISOの文書を全文暗記は到底無理があるので、「どこにどんなことが書かれているか」だけでも見ておく
  • 監査についてはやはり経験と勘が必要だが、監査中に「なんかおかしい」と感じたことについてはISOの文書から、そのことを規定している箇所を探し、それと見比べて判定する(どうしても主観からはいるのがやりやすいのですが、大事なのはそれをISO規格を使って客観へとおとしこむ、ということです)

内部監査は半年に一回なのでまだ先ですが、そのときに少しでも業務改善について貢献できればと思います。


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