井上靖の「氷壁」を再読し、その作品の題材としてもとらえられている松濤明氏の遭難時の
克明なメモが当時話題となった北鎌尾根のアタックについて、確認する意味で新田次郎
「 風雪の北鎌尾根・雷鳴 」を読み返して見ました。
いやー、この人の作品は幅が広い 。
実はこの本は13篇から成る短編集で、山での遭難やアクシデント、登山者の心理等を
描いた秀作でした。(前回、読んだ時は気が付かなかった事がいっぱいでした。)
風雪の北鎌尾根 松涛明がパ-トナーと冬の北鎌尾根踏破を試みて遭難し、その様
子が克明なメモとして残されたため「風雪のビバーク」として発表され話題になったが、
それをもとに新田氏が書き上げた壮烈な遭難事案
霧の中 ・ 雷鳴 2編とも山行を経験することになった女性の、微妙な心理状態をこの
作家には意外と思われる繊細なタッチで表現している
吉田の馬六 富士吉田口の強力で超人的な力持ち馬六の、間の抜けたエピソードを
をまじえながら、ある種の純粋さを暖かい目で表現している
風が死んだ山 北アルプス双六池付近に野営する5人グループの テントで夜間人の
足音がして、キャンパスバケツの水を飲む音がして溜息が聞こえた。 表に飛び出して
見たが誰もいなっかった。 ミステリーとしても十分楽しめる山岳短編小説
昔撮った北アルプスの雪山をイメージで載せてみました。
新田次郎の本は何冊か読んだことがあり(八甲田山…以外あまり覚えていない)、この
本も再読ですが、改めてその多面的な感覚に感心し、、興味を惹かれました。
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