文芸春秋九月特別賞に掲載された
芥川賞受賞作 鹿島田真希 冥土めぐりを読んだ。
過去の虚栄から抜けきれない母と弟、それらから理不尽で不条理な強要をされながらも、
それを受け入れる主人公と脳の病から四肢が不自由な夫、
二人は東京から新幹線でほど近い海辺の観光地に出かける。主人公はかって繁栄してい
た高級リゾートホテルの衰退を目の当たりにする。
主人公奈津子のこの受動的生き方は、キリスト正教の信者である作者の宗教観から来
るものの様な気がする。
受身の生き方が出来ない小生にとって、まったく異なる生き方をする人々の内面まで掘り
下げて描かれたこの小説は、えっ、そんなこともあるのかと言う驚きと衝撃を受けた。
今度は、直木賞 辻村深月 「鍵のない夢を見る」も面白そうですね。
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