フランス大統領選挙の第1回投票が終わりました。
BBCの記事からです。
ポール・カービー、BBCニュース、
パリフランス大統領選の1回目の投票が10日あり、現職のエマニュエル・マクロン大統領が首位に立った。2位には極右のマリーヌ・ル・ペン氏がつけ、両者は24日、この顔合わせとしては前回に続いて2度目となる決選投票に臨む。開票率97%時点の得票率は、マクロン氏が27.35%、ル・ペン氏は23.97%、ジャン=リュック・メランション氏は21.7%となっている。候補者12人のうち、10%を超えたのはこの3人だけだった。多くの有権者は、他の9人について決選投票に進む望みはないと判断し、「戦略的投票」(または「有益な」投票)という考え方を取り入れたとみられる。マクロン氏は歓喜の声を上げる支持者らを前に、「間違ってはいけない、まだ何も決まっていない」と強調した。マクロン氏は明確な差をつけて1回目投票に勝利したが、世論調査では、決選投票は接戦になると予測されている。ル・ペン氏は、マクロン氏に投票しなかった有権者らに対し、「フランスの秩序を回復する」ために自分を支援するよう呼びかけた。
■極左のキングメーカー
極左のベテラン候補メランション氏は、5年前より得票を伸ばした。その結果、決選投票を左右する「キングメーカー」という、似つかわしくない役割を担っている。「マリーヌ・ル・ペンに1票たりとも投じてはならない」と、メランション氏は支持者らに警告した。ただ、他の候補者らと異なり、マクロン氏を支持もしなかった。メランション氏に投票した人は、全投票者の5分の1以上を占める。決選投票の行方を決める立場だが、単純に棄権する可能性もある。今回の大統領選は、フランスを動かしてきた歴史ある2政党、共和党と社会党にとって散々な結果となった。どちらも候補が泡沫のような負け方を喫した。パリ市長で社会党のアンヌ・イダルゴ氏は得票率が2%に届かなかった。
(過去の大統領選挙における共和党系候補の得票率です)
右派・共和党のヴァレリー・ぺクレス氏も5%を下回った。候補者の得票率が5%に届かなかった政党は、国庫から選挙費用として80万ユーロ(約1億円)しか受け取れない。共和党はそれよりかなり多い額を自前で負担することになる。
■決選投票に向けてスタート
これから票の争奪戦が本格化する。ル・ペン氏は、自らよりも強硬な国家主義者のエリック・ゼムール氏を支持した人たちの票を期待できる。同氏は7%を得票し4位に入った。国家主義者ニコラ・デュポン=エニャン氏もル・ペン氏を支持している。これらの候補者の票を合わせると、得票率はすでに33%に上る。一方、マクロン氏の陣営は、いくつかの大規模集会と大々的なテレビ出演を予定している。左派候補たちの多くに加え、ぺクレス氏もマクロン氏を支持している。ただ、社会党候補として過去に1度だけ大統領選に出たセゴレーヌ・ロワイヤル氏は、マクロン氏について、今回は勝利を「つかむ」必要があると述べた。仏世論調査会社IFOPは、マクロン氏が51%、ル・ペン氏が49%を獲得すると予測している。同社のフランソワ・ダビ氏は、これまでにない接戦だとしている。仏テレビ局BFMTVの世論調査はマクロン氏52%、ル・ペン氏48%と予測。仏調査会社イプソスの世論調査は、両者の差がさらに広がるとしている。
■マクロン氏の演説
マクロン氏は支持者らを前に、ほっとした表情を見せた。そして、決選投票に向けて、これまでより選挙活動に力を入れると支持者らに約束した。ロシアがウクライナで起こした戦争に多大な関心を払ってきたマクロン氏は、つい8日前に選挙活動を始めたばかりだった。「あらゆる形で極右がこの国の多くを代表している現状では、物事がうまく行っているとは思えない」とマクロン氏は演説。ル・ペン氏に投票した人たちについては、「今後数日のうちに、私たちのプロジェクトがその人たちの不安とこの時代の課題にしっかり答えるものだと納得させたい」と述べた。
■ル・ペン氏は選択迫る
これに対しル・ペン氏は、「偉大な転換」の時を迎えていると主張。4月24日に2つの正反対の考え方に関して、根本的な選択をすることになるとし、「分断と無秩序か、社会正義が保証されたフランス国民の団結かだ」と述べた。ル・ペン氏は、ヨーロッパの多くの人が直面している生活の苦しさを中心に、選挙戦を繰り広げてきた。減税と30歳未満の所得税の免除を約束している。ナショナリズムは前面に出していないが、移民規制、欧州連合(EU)の抜本改革、イスラム教徒による公共の場でのヒジャブ着用について、国民投票を実施したいとしている。今回の大統領選は、投票の2週間ほど前になってやっと関心が高まった。新型コロナウイルスの流行と、ロシアによる戦争のためだった。投票率は、春の日差しのおかげもあって懸念されていたほど低くならず、75%ほどだった。
■ル・ペン氏とロシアの関係
マクロン氏の演説からは、彼が今後、ル・ペン氏とロシアの関係の濃さを批判することが明らかだ。ル・ペン氏はロシアのウラジーミル・プーチン大統領を非難しているが、前回大統領選の前にはプーチン氏を訪ねており、彼女の政党もロシアから融資を受けていた。仏調査会社エラベの世論調査では、若い世代の有権者の4人に1人がマクロン氏を支持した。一方で、18~24歳の3人に1人以上がメランション氏を選んだ。ル・ペン氏は35~64歳の有権者で最も支持が多かった。マクロン氏は65歳以上の人々の支持を得た。(英語記事 Macron and Le Pen to fight for French presidency)
(決選投票では、基本的にはマクロンさん優位だと思いますが、争点が中道VS極右ではなく、富裕層VS貧困層や、既存勢力VS新興勢力のような見立てになってしまえば、ルペンさんの勝利もなきにしもあらず、という感じです)