ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

アルルのゴッホ(オルセー美術館展にて)

2006-11-30 22:23:59 | フランス物語
今回のオルセー美術館展では、ゴッホの作品は2作紹介されている。
ともに舞台はアルルである。
寝室とダンスホールをモチーフとしている。
寝室は、色は多様だが、構図は落ち着いている。
一方ダンスホールの作品では、うねるような人々が印象的だ。

ここアルルで、ゴッホは画家たちのユートピアを夢見た。
今回の展覧会には無いが「黄色い家」でそのユートピアの場所を描いている。
背景には陸橋の上を通る汽車。
以前見たNHKのゴッホ特集で、なかにし礼さんが、この列車にはひょっとしてゴーガンが乗っているのを夢見て描いているのではないか、と言っておられた。そう思うととても切なくなるとも言っておられた。
確かにユートピアを夢見たゴッホの気持ち、そしてその悲劇の結末を知るものにとっては胸が締め付けられるようになる。

アルルを訪れた時、ゴッホが描いた陸橋の下をくぐり、広場を通り旧市街に入った。
帰りはその広場から、駅方面を見つめ、そこにあった粗末なカフェに入ろうかなと思っていた。
その時は「黄色い家」は、もともとそのカフェの前にあったなんて知る由もなかった。
結局、カフェには入らず、駅前で買ったジュースとパンで昼食を済まし、アヴィニオンに戻る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランスにおけるポイズンピルの一例

2006-11-23 00:39:51 | ヨーロッパあれこれ
再びラジオフランス語講座の「ルモンドに挑戦」より。
いわゆる、「ポイズンピル」について触れていた。
これは一般的にある企業に対し敵対的な買収者が現れた時に、買収者以外の保有株数を増やす事によって、買収者の議決権比率を下げるという特定の買収防衛策、とのことらしい。(テキストから引用)
よくホリエモンの時に聞いた言葉だ。
これのフランス版についての記事を載せていたが、そこでは上記のような厳密な意味ではなく、フランスの法律を盾にした買収防衛策のことだった。
企業自身が抵抗するのではなく、フランス政府が、右派も左派も一緒になって、アメリカの企業の買収に抵抗しようとしているのが興味深い。
いかにもアングロサクソン的な侵略に対抗する、フランスのよく言えばプライドを持った力強さ、悪く言えば保護主義的な感じだ。
個人的にはフランスに頑張ってほしいのだが、一方その根本が大国主義の空虚なエゴイズムのみだと残念な気もする。
弱肉強食の世界秩序の広がりを上手く制御しながら、ヨーロッパの価値観の良質的な部分(カジノ資本主義的なものではなく、環境等人間の生活に密着した経済)を広めてほしいものだと想う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボジョレーワインの思い出

2006-11-16 22:55:48 | フランス物語
今年もやってきた、ボジョレー・ヌーヴォの解禁の日。
少し昔、一度だけボジョレーワインのPRの仕事に関わったのを思い出す。
その時は「ヌーヴォ」ではなく、ボジョレー地域のワインが、いわゆる一般のワインとしても十分値する事をPRする狙いがあったようだ。
ボジョレーのいろんなヴィラージュのワインを試飲できたり、ソムリエによるボジョレーワインについての解説を聞きながらの試飲会があったりした。
そんなこんなで、結構好評だった。
また、ワイン騎士団の授与式などもあった。
地元でフランスにゆかりのある人をワイン騎士団として任命するのである。
中世フランスのコスチュームをまとった人などもいて華やかだった。

今日のニュースでは、フランスのワインの消費が減っている事が報じられていた。
「ワインは考えなければ飲めない」なーんて言っていたフランス人男性がいたが、確かにそうかもしれない。
ビールなどは何も考えずにごくごく飲める。
フランスでさえも、ワインをじっくり飲めない人が増えているのかと思うと、いかにも現代のアメリカ中心のグローバリズムの影響かなとも思い、何となく寂しくなる。
ワインをじっくり飲める心のゆとりを取り戻したいものである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランスの観光地ベストテン(NHKラジオフランス語講座より)

2006-11-11 23:01:17 | フランス物語
愛聴している「NHKラジオフランス語講座」の応用編が再び「ル・モンドに挑戦」になったのは嬉しかった。
世間では、フランスといえば、いわゆる「おフランス」的な物が幅をきかせている。
別にそれが嫌いではないのだが、なんとなく他の国と比べて偏重しているのは否めない。
硬派なフランスびいき(ほんまかいな)としては、講座で新聞記事を取り上げ、さまざまなフランスの社会問題を取り上げてくれるのは、ありがたく、なおかつ心強い。
そして井上先生の歯切れのよい解説がここちよい。
井上・ガイヤールコンビで、今後もたびたび続く事を期待しています。

さて、今回の話題は、観光についてだった。
硬派な中、一番軟派なネタが気になるところが自分らしい。

先週と今週の講座の中で、フランスの観光地のベストテンが出ていた。
興味深いのでそれを転載する。
①パリのノートル・ダム
②サクレ・クール寺院
③エッフェル塔
④ルーブル美術館
⑤ポンピドゥーセンター
⑥モンサンミッシェル
⑦ベルサイユ宮殿
⑧ラ・ヴィレット
⑨オルセー美術館
⑩ランスの大聖堂
だった。
この中で、ポンビトゥーセンターと、ラ・ヴィレットは意外な気がした。
多分、訪問者数で割り出しているようなので、どうしてもパリ中心になってしまうのだと思う。
パリ周辺以外では、モンサンミッシェルとランスの大聖堂だけだった。
モンサンミッシェルは当然だと思う一方、ランスは少し意外に感じた。
しかしよく考えるとパリからランス行きの、バスの観光ツアーがあった。
ランスはシャンパンでも有名であり、そのカーヴ見学とセットで日帰りツアーが組める事から、10位に食い込んだんだと思う。
同じパリからのバスツアーということでは、ロアールのどこかの城も入ってよさそうなものだが、場所が分散しているため、どうしても数字の伸びが鈍くなったしまうのだろうか。

ポンピドゥセンターの5位についてあえてコメントすると、そこはフランスには珍しく、受付のお姉さんがきれいで愛想がよかった印象がある。
その営業努力が認められているのだろうか。

結局、軟派なコメントで終わってしまった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エッフェル塔物語(LA TOUR EIFFEL Cent ans de sollicitude)

2006-11-04 23:12:51 | パリの思い出
エッフェル塔物語
フレデリック・サイツ著
松本栄寿・小浜清子訳
玉川大学出版部
2002年8月5日 第1刷

今やパリの象徴とも言えるエッフェル塔
しかし建設前、そして万国博覧会後の建設後でも反対の声があった。
それに対する、賛成派はどう動いたか。
また塔の権利や実用性など。
そのような塔の100年の歴史を、スキャンダラス的なことは抜きに、真面目に追いかけている。
技術者(塔の名前の由来も技術者の名前から来る)、役人、政治家などの名前、そして公文書がよく出てくる。
かといって読みにくいことは無い。図表などもあり楽しめる。
さらに最近の、ライトアップの技術者に対するインタビューもある。
最近、歴史的建造物が、洋の東西を問わずよくライトアップされているが、エッフェル塔の場合は少し特殊である。
というのも、鉄骨を組み合わせたようになっており、普通に外側から光を浴びせ掛けただけでは、上手くいかない。
従って、内部から光をあて、上手く光が浮かび上がるように工夫されている。
昼も夜も美しく、そして時には頼もしく見えたエッフェル塔には、このような歴史と工夫があったんだなあと感心した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする