2013年1月16日(水)
■新宿末廣亭
■正月二之席
■Report
新年の「「笑い初め」ということで、今日は有給休暇を1日いただいて、新宿末廣亭の正月二之席へ。寄席では1月20日まで正月興行ということで、噺家の皆さんの顔見世興行なのです。
都内の定席のスケジュールをにらめっこして念願の「落語協会会長」である柳家小三治師匠がトリをつとめるのがここ新宿末廣亭と池袋演芸場の二席あり、この日の末廣亭をチョイス。
以前夏に同じように小三治師匠が出演の池袋演芸場に向かったところ朝11時には既にずらぁ~っと列ができていて、泣く泣く諦めたことがあったので、今日は朝10時30分に末廣亭に到着熱心なお客3人と8人の団体客だけでヨッシャァって感じでした。(11時過ぎにはやはりずらぁっと列を成していました)
開場時刻になり切符を買い、すばやく最前列を確保。最前列で観るのは初めてでしたが、噺家さんとの距離が2~3mの至近距離で生声で聴けて迫力がありましたねぇ。
正月興行はいつも観ていると普段よりたくさんの噺家さんが普段より短い持ち時間で、どちらかというとネタを省略するか、またはマクラだけで終わることが多いヨウに思うのですが、この日は昼夜ともに私が贔屓にしている噺家さんはしっかりとネタをやりきってくれたように思う。初めて聴くねたも結構たくさんあってかなり勉強になりました。やはりトリに会長の小三治師匠が控えていることが影響しているのでしょうかねぇ。
大好きな艶っぽい三遊亭小円歌ねぇさんをかぶりつきで観ることもでき大満足な一日でした。
「笑う門には福来る」今年もいい年でありますように!
■Set-List
昼の部(12:00~16:30)
(前座)落語:三遊亭ございます
1-01.落語:三遊亭美るく ♪初天神
1-02.紙切:林家二楽
1-03.落語:三遊亭歌奴
1-04.落語:三遊亭多歌介 ♪看板のピン
1-05.落語:春風亭勢朝
1-06.漫才:ロケット団
1-07.落語:三遊亭若円歌
1-08.落語:柳家花禄
1-09.落語:林家しん平
1-10.漫才:笑組
1-11.落語:林家正蔵
1-12.落語:柳亭市馬 ♪七福神(かつぎや)」
1-13.落語:三遊亭円丈 ♪金明竹
1-14.奇術:アサダ二世
1-15.落語:金原亭伯楽 ♪みそ豆
1-16.落語:鈴々舎馬風
-お仲入り-
1-17.落語:三遊亭歌司
1-18.漫才:にゃん子・金魚
1-19.落語:柳家小さん ♪長短
1-20.落語:川柳川柳
1-21.落語:桂文楽
1-22.三味線漫談:三遊亭小円歌
1-23.落語:三遊亭円歌 ♪中沢家の人々
夜の部(17:00~21:00)
(前座)林家けい木
2-01.落語:三遊亭時松
2-02.奇術:美智・美登
2-03.落語:柳家はん治 ♪粗忽長屋
2-04.落語:初音家左橋 ♪替わり目
2-05.落語:入船亭扇遊 ♪口入屋
2-06.物まね:江戸家小猫
2-07.落語:柳家喬太郎 ♪夫婦に乾杯
2-08.落語:五街道雲助 ♪夕立勘五郎
2-09.落語:柳家権太楼 ♪代書屋
2-10.漫才:昭和のいる・こいる
2-11.落語:柳家小満ん ♪馬のす(うまのす)
2-12.落語:三遊亭金馬 ♪ねぎまの殿様
-お仲入り-
2-13.太神楽:太神楽社中/寿獅子
2-14.落語:柳家小袁治 ♪肥甕(こえがめ)
2-15.落語:春風亭一朝 ♪蛙茶番(かわずちゃばん)
2-16.落語:柳家さん喬 ♪そば清
2-17.奇術:ダーク広和
2-18.落語:柳家小三治 ♪宿屋の富
♪代書屋
http://www.youtube.com/watch?v=Dcc-7-PcG7A
♪宿屋の富
馬喰町には当時80余の旅籠が有り、江戸で泊まると言えばここ、馬喰町だった。亀戸の五百羅漢や高輪の泉岳寺に参拝するのにも都合のいい場所であった。
田舎から出てきた、みすぼらしい風体の宿泊客が20日近く安宿に逗留していた。旅籠賃は勿論茶代も置かなかった。それを心配した女将さんが旅籠賃の催促を亭主に頼んだ。
2階に上がって、宿帳をお願いと切り出して、未だ内金ももらっていないと言う。身なりを見て催促しているなと思い、発つ時まとめて払おうと思っていたし、ワシは金がないんじゃない、払うから幾らになるんだ。
金には困っていないんだ。何か良い金ずるでもあるのかと聞かれ、大名は貧乏だからワシの所に金を借りに来る。10万両20万両と端した金を借りに来る。期限が来ると利息だと言って余分なお金を置いていく。それが増えて増えて、蔵が幾つも一杯になってしまう。だから、返さないように願い歩いている。店は人が多すぎるので150人ばかり辞めさせたが、あとどの位人が居るのか分からない。離れに行くのも7日も歩いたが着かず、諦めて帰ってきた。そんなご主人が何でこんな汚い旅籠に逗留されるのか聞かれたら、いつもは大旅籠に泊まって下にも置かない。で、自由が利かないので番頭に聞いたら、汚い身なりで、茶代も宿賃も置かなければ、誰もかまわないと言ったから、この汚い旅籠に泊まった。
昔は大きな旅籠をやっていましたが、落ちぶれてこのざまです。内職に富くじを売っています、どうぞ千両富札一つ買ってください。当たれば千両渡せばいいのか、くれるんじゃイヤだ。そのような欲のない方はえてして当たるものです、当たったら半分くれますか。いいとも、と言う事でなけなしの1分(1/4両)という大金で買わされてしまった。
行くところもない男はこの富札を持って、椙森(すぎのもり)神社に行くと、境内では抽選も終わっていた。当たりくじの番号を確かめていくと、50両は当たっていないな~、今は3両さえ有れば帰れるのにな~100両、500両も当たっていなかった。最後の千両富は”鶴の千三百五十八番”、手持ちの札も鶴の千三百五十八番、すこ~しだけ違っているな。いや待てよ、と震える手で札と番号を一字ずつ確認すると「あた、、、当たってる!」。体は震えるし、気分が悪くなって、やっと帰り着くと部屋まで上がれず下に床を取ってもらい、寝込んでしまった。
「当たった。当たった」と亭主が震えて帰ってきた。万が一、当たったら半分もらえるという宿屋の主人は女房に話をすると同じようにクラクラッとなったが、喜んで祝いの膳を用意するという。「貴方、下駄を履いたまま上がってきたの」、「道理で痛いと思った」。お客は1階で寝てると分かり、みんな聞かれてしまって恥ずかしい。
「旦那さん。先ほどの千両富当たりましたよ」、「え、それで気分が悪いのか」、「お約束の件ですが」、「何か約束したか」、「半分いただけると」、「あ~イイよ。5両でも3両でも」、「いえいえ、半分の500両なんですが」、「分かった、分かった」。
「旦那さん。起きて召し上がりものをいただけば気分も晴れるでしょう」
と、布団をはいだら旦那も下駄を履いて寝ていた。
★新宿末廣亭
東京都新宿区新宿3-6-12
http://www.suehirotei.com/