社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

10月2日(火)

2012年10月08日 00時35分47秒 | 2012年

  7時起床。身支度を整え、7時半過ぎに家を出る。京浜東北線に乗って大森へ。新橋まで座れなかったが、思ったほどの混雑ではなかった。

大森駅前。

  駅の近くの「エクセシオールカフェ」に入り、クロックムッシュのモーニングセットを注文。ハムをチーズがたっぷりのったパンで挟んだもので、ちょっと食べづらいが美味しかった。

  09:25発のバスに乗り、訪問先を目指す。おしゃべりしていたので気付かなかったのだが、道が混雑していてかなりバスが遅れ、結局集合時間の10時に間に合わなかった。事務局から指示されていたバスであり、全メンバーの半数以上が乗っていたこともあって、結局開始時間が20分近く遅れることとなった。

  午前中は、他の班のヒアリング。予想以上に先方が丁寧な回答をして下さったし、所々で脇道に逸れる話も面白く、所定の1時間半があっという間に過ぎていった。やはり、現場の生の声というのは貴重だし、非常に興味深い。

  昼食は、先方が用意してくださったお弁当。俗にいう「工場弁当」というやつだ。この工業団地の周辺には食事を取れる所が一切ないので、こういうお弁当が重宝する。野菜がほとんどないお弁当だったが、おかずの種類が多いし、美味しかった。

  昼食後、せっかくなので建物の外に出てみる。この工業団地は羽田空港のすぐ近くにあり、川(というか海)を挟んですぐ向こうに空港が見える。飛行機も近くを飛んでいくが、音はほとんど気にならない。飛行機ファンにとってはたまらない場所なのではないだろうか。

  午後からは、団地内の企業を見学させて頂く。外部に公開できない情報もあるため、ここに載せられる写真はごく一部だが、それでも迫力は十分伝わると思う。

  1社目は、鋳造業(鋳物製造)の企業。わざわざ私たちの訪問のタイミングに合わせて湯入れ(溶かした金属を型に入れる作業)をして下さり、目の前でその様子を見ることが出来た。火花を浴びながら見た湯入れの光景は、まさに圧巻の一言。講師のコンサルタントさんも、30年近く製造業の支援をしてきたが、湯入れを見たのは初めてだとおっしゃっていた。そんな貴重な体験をさせて頂いて、本当に感謝である。また、ここでは鋳物に関する基本的な知識を非常にわかりやすく教えて頂いた。普段、近隣の小学校の社会科見学等も受け入れていらっしゃるとのことで、本当にわかりやすかった。

数社で共有している炉から湯(金属を溶かしたもの)を釜に移す。


豪快に火花が飛び散る。


湯を入れたお釜を移動して。


型に流し込む。あとは冷えるのを待って、諸々の行程を経て完成。


工場内全景。


鋳物の原料やその性質の違いをわかりやすく教えて頂いた。


出来た鋳物には、小さな金属の玉を吹き付けてバリ取りをする。

  2社目は、金属の溶接と研磨を行っている企業。主に食品業界や医薬品業界で使用する機材を扱っているため、衛生面を始めとする安全性にはかなり気を遣っているとのことだった。また、この企業は若い従業員が多く、教育制度はどのようになっているか伺ったところ、1対1の師弟性をとっているとのこと。同じ作業でも人によってやり方が異なるため、複数の人から教わると返って混乱してしまうらしい。このような1年や2年で習得できる技能ではない仕事においては、今でも師匠から弟子への伝承が行われているようだ。

パイプの内部の研磨作業。

  3社目は、軸受を中心とする金属製品を製造している企業。ここでも、タイミング良く製造過程の溶かした金属を流し込む場面を見せて頂くことが出来た。この企業は俗にいう一品物を受注生産で製造することが多いため、製品をひとつ作るのにかなりの時間が掛かるが、その分高い技術力を生かして他では作ることの出来ない製品を作っている。廉価な大量生産志向ではどう考えても海外製品に適わない昨今の製造業の置かれている状況を考えると、この企業の経営戦略はこれからの日本の製造業のあるべき姿を映し出しているように思える。

型に金属(確か錫)を流し込んでいく。


中には何も入っていないように見えるが、実際には金属が液状化して入っている。


使う金属ごとに、釜も使い分ける。


最近何かと話題のレアメタルも原料のひとつ。


金属加工もやっているとのこと。

  研修終了後、品川へ移動して、同期たちと飲み会。もつ鍋や焼き鳥を食べながら、にぎやかに過ごす。仕事に関する熱い話から最低レベルの下ネタまで、とにかく話題は多岐に及んだ。

  23時前に帰宅。 今日改めて感じたのは、製造業の素晴らしさである。主観で言わせてもらえば、やはり日本を支えているのは製造業、ものづくりだと思う。暴論かもしれないが、やっぱりモノを作っていない企業は、どうあがいても作っている企業に及ばない。これまで様々な業種業界に触れてきたが、製造業の魅力はダントツ飛び抜けている。もちろん、他の業界でも魅力的な企業はたくさんありますけどね。