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いけふくろう通信(発行人=ムッシュ)

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「消費税率大幅アップの議論に一言!」(いけふくろう通信第440号)

2007-10-18 22:48:58 | 政治・経済・法律・社会
さて、今日は「消費税」に関する話題をひとつ提供します。
まぁ、今朝の新聞各紙をご覧いただいた方はご存じと思いますが、
念のため、記事を二つ紹介します。

内閣府は17日の経済財政諮問会議で、
現在の医療・介護給付の水準を維持するためには
2025年度に約14兆~31兆円分の増税が必要となり、
消費税でまかなうなら11~17%まで税率を引き上げる必要がある、
との試算を公表した。
町村官房長官や与謝野馨・自民党税制調査会小委員長も
消費税率見直しに意欲を示しており、
政権として、社会保障の維持とセットの形で、
この問題に取り組む姿勢が鮮明になった。
(asahi.com・2007年10月18日より引用)

この問題に関して、
与謝野馨氏は同日、毎日新聞のインタビューに応え、
消費税率引き上げについて
「1%ずつ上げて選挙に負けていたらしょうがない。
選挙で負けるんだったら、ドーンと上げなくてはいけない」と述べ、
2~3%程度を念頭に置く考えを示した。
(毎日新聞・2007年10月18日)

この記事を見て、私は愕然としてしまいました。

こんなに大切な話が今まで隠されて、一気に明るみになり、
国民を落ち込ませたり、怒らせる、この構図が今の日本なのでしょうか。

常日頃から、国民軽視の国家だとつくづく感じてはいたが、
ここまでくると憤りを感じる。

今回の記事を見て、いずれは、
全く国民を無視して、上だけで議論を進め、方針が出たら、
「はい、こうなりましたので、国民の皆さんはしたがってください」
といった乱暴な国家になっていくのでは、と危惧したのは、私だけだろうか。

おまけに、
与謝野馨氏の「1%ずつ上げて選挙に負けていたらしょうがない。
選挙で負けるんだったら、ドーンと上げなくてはいけない」との発言。

選挙の勝ち負けより、国民の幸福こそが代議士の使命ではないですか。
この投げやり的な発言をみて、本当にガッカリしてしまった。

これが一代議士の発言ですか?こんな人に国を任せてよいのでしょうか。

おまけに、経済界も頼りない。
日程的に厳しかったのかもしれないが、
日本商工会議所の山口信夫会頭は18日、会頭として最後の会見を行い、
その際、消費税率のアップに対して、
「もっと行政経費を切り詰められないのか。
安易に増税に頼る考え方はすべきでない」と述べ、
消費税上げには一層の歳出削減が前提だとの考えを強調した。
(時事通信社・2007年10月18日)
らしいが、もう少し、前からというか、常に議論を展開しないのだろうか。

私は不安で不安で仕方がない。

政府、国会、財界には、期待できないとしても、マスコミにだけは
かすかな望みを託したい。

マスコミは、もっと精力的に取材をして、国のやろうとしていることを
徹底的に調べ、ニュースとして国民に知らせていく必要が、当然あるはず。

そんなマスコミは、今は……。もうなくなってしまったのだろうか…。
いや、僅かな望みなのかもしれないが、期待したい。

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~ムッシュ・いけふくろう~

「日本郵政株式会社が発足!」(いけふくろう通信第418号)

2007-10-06 00:07:02 | 政治・経済・法律・社会
つい先日(2007年10月1日)、約130年もの間、国営事業として行われてきた
郵政事業がついに幕を閉じ、新しく日本郵政株式会社の傘下に4つの会社が
ぶら下がる形で、郵政民営化が実現しました。

その4つの会社は、郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、
株式会社かんぽ生命保険というわけで、その構造は明瞭です。

でも実際に、店舗に行ってみると、ひとつのスペースに郵便、ゆうちょ、かんぽの
3つの会社が入り込んでいるため、とっても複雑そうにみえるのは、私だけでしょうか。







確かに、さまざまなサービスを一カ所でできるという意味では、
ちょっと違うのかもしれませんが、従来の銀行がやっとのことで
投資信託を販売できるようになったことから考えると、
たいへん画期的で素晴らしいといえますが、実際に働く人たちは
たいへんでしょうね。

ちなみに、私の知り合いでも関係者が5~6人はいますが、
みんな仕事が忙しくて、たいへんそうです。

ところで、この郵政民営化、本当に良かったのですかね。
まぁ、正直、最終的な結論は10年後の状況を見ないと判断できない
と思いますが、はっきりいって、思いっきり民業を圧迫していますよね。

だって、ゆうちょ銀行の総資産は約226兆円。
それに対して、不良債権処理やリストラや店舗の統廃合や合併を繰り返して、
やっとのことでメガバンク化した業界トップの三菱UFJフィナンシャル・グループ
ですら、約187兆円なんですから、これまでの銀行側にしてみれば、
いろいろと気に入らないんでしょうね。

といっても、私はメガバンクについても、「金融機関はそう簡単には潰せないから
という名目で巨額の国費が投じられた時点で、そもそも気に入らないのですが…。」

ちなみに、新聞記事をみてみると、全国地方銀行協会の小川是会長が
ゆうちょ銀の規模について、「どう考えても大きい金融機関。銀行業界全体として
バランスがとれるサイズまで落とし、各種の規制に従って業務を行ってほしい」
と語ったらしいのです。

ほんとうですよね。国の後ろ盾のもとに全国を行脚してきた大きな郵政省が、
地道に地元をあまねく歩いてきた地銀に「これからは私も普通の銀行です、
みなさん、いっしょに頑張りましょう。ついては、いろいろと私たちと提携
してくださいね。」っていわれても、なんだかすぐには提案を飲み込めませんよね。
なんだか、提案をのんだら、飲み込まれてしまうですもの。

それから、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は「完全民営化・グループからの分離」が、
最終方針としているらしいのですが、果たして実現できるのでしょうか…。
そうなったと同時に、外資に買収されちゃったりして…。

なんていう、まったく見通しが立たないような印象を持ってしまうのは私だけ?

お偉いであろう政治家さんの考えてってものは本当によく分かりません。
本当に、民営化をしてしまって、良かったのでしょうか。

~ムッシュ・いけふくろう~

「新司法試験制度への批判的検討」(いけふくろう通信第411号)

2007-09-29 00:06:57 | 政治・経済・法律・社会
先日の木曜日(2007/9/13)、新司法試験の第2回目の試験結果が発表された。

最終合格率は、40.2パーセント。
既修者の合格率は、46.0パーセントで、未修者の合格率は、32.3パーセント。

法科大学院制度は、法学部で学んだ人に限らず、他の分野、
特に理科系からの司法試験挑戦も可能としたもの。

そして、今回初めて法科大学院での3年間の勉強を修了した法律未修者が
受験をしたことになり、新司法試験制度の真価が問われることとなった。

しかし、現実は、法律を学んだことがない人にとっては、かなり厳しい結果で、
法科大学院制度そのものの意義が改めて問われる結果となった。

初めて、未修者が受験をした今回、既修者と未修者の合格率の差は
10パーセントも開く結果となってしまった。

この結果に、新たに法科大学院を目指そうとする人は、出てくるのか。
そして、すでに学んでいる未修者は、落ち着かないのではなかろうか。

3回しか受験ができない新司法試験制度からすると、
合格率が32.3パーセントでは、仮にある法律未修者が3回受験をしたとしても、
場合によっては、最終的に新司法試験に合格できない可能性もでてきてしまう
ことになる。

当初、法科大学院制度は、これまで学部教育では、4年間も通わなければならず、
ダブルスクール(大学のほかに受験予備校)にも通わなければならない
という弊害をなくすこと、法律を学んだことのない違う分野の専門分野の人も
法曹になれる開かれた素晴らしい制度、旧司法試験よりも合格率が高い
(具体的には、70パーセント程度)制度、
大学院修了時には「法務博士」の学位も得られる制度として、賞賛されていた。

しかし、全体の合格率(40.3パーセント)という、今回の現実に、
法科大学院の設置をむやみに認めた文部科学省の責任を強く問いたい。

そもそも70校近くも認めて、その入学定員と想定していた新司法試験の
合格者数を見比べれば、明らかに合格率70パーセントは難しいことは、
文科省は、容易に想像できたはず。

さらに、新司法試験制度では、法科大学院修了後5年間のうちに3回、
新司法試験を受験しても、合格できなかった場合は、
次年度以降の新司法試験の受験が認められないという
人の一生を左右するたいへん厳しい制度である。

それを地域間の格差をなくすという趣旨だったのだろうか、
設置認可をどんどん認めてしまった文科省の責任はとても重い。

「法務博士」をもっていても、新司法試験に合格できなかった人、
一部ではそういう人を受験回数が3回に限られていることから
「三振博士」と呼ぼうとしているらしいが、今後、必ず生まれてくる
彼らの将来、具体的には「法務博士」の資質を生かした民間や公共機関
への就職問題を、政府は具体的に検討しているのだろうか。

各法科大学院の修了までの学費は、少なくても300万円、
多いところでは700万円弱、確かに公的または大学内での奨学金制度がある
とはいえ、3回目でダメだったらすっぱり諦めなさいでは、
あまりにも人を馬鹿にした話ではないか。

必ずや今後10年以内に、確実に法科大学院の統合・廃止を進め、
定員を減らした上での新司法試験制度による合格率の保証(医師国家試験程度の
合格率を目指すこと)と、法務博士者の就職問題、
また、収入が少なく、入学することができない人のために法科大学院にも
通わなくても試験が受けられる別ルートの検討が早急に望まれる。

~ムッシュ・いけふくろう~

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「平成19年度・新司法試験合格者データ分析」(いけふくろう通信第410号)

2007-09-29 00:06:38 | 政治・経済・法律・社会
第2回・新司法試験合格者に関するデータを以下の通り、データ化しました。
現法科大学院生、法科大学院受験生で興味のある方は、ご覧いただきたい。

<合格率順 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2007_percentage.pdf

最終合格率は、40.2%。前回実施の48.3%より8.1%もダウン。
受験生がいた67校のうち、最終合格率よりも割合が高かったのは、19校という厳しい現実。
ただ、千葉大学は法学部未設置大学でありながら、最終合格率が64.5%(1位)と大健闘。
そのほか、琉球大学、岡山大学の健闘がうかがえる。


<合格者数 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2007_pass_member.pdf

順当な結果ではあったが、一部の法科大学院は今後の改善が望まれるだろう。


<既修者・未修者別 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2007_kishu_mishu.pdf

未修者をどれだけ合格させるかが、各法科大学院の実力の見どころ。
その観点からすると、千葉大学の88.9%、一橋大学の73.9%が光る。
また、未修者のみの受験となった琉球大学の43.8%(16名中7名合格)は素晴らしい結果といえる。
なお、未修者の合格率が5割を超えたのは5校であった。


<累計合格率 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2006-2007_percentage.pdf

初年度の合格率が良かった一橋大学がずば抜けている。
なお、2年続けて、合格率上位10校に入った法科大学院は、6校(一橋、京都、慶應、東京、神戸、早稲田)であった。


<累計合格者数 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2006-2007_pass_member.pdf

やはり規模の大きな法科大学院が多くの合格者を輩出していることが明確である。
しかし、合格者数が多くても合格率の良くない法科大学院もある点は、当該法科大学院の課題である。


<合格者数上位15校 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2007_15_percentage.pdf

1851名の合格者数のうち、上位8校で52%、上位15校で68%の合格者数を占めている。
やはり東大の占有率はあいかわらず高い。


<地域別合格者数 分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2007_local_bunseki.pdf

各地域ごとで、上位校とそのほかの法科大学院との差が著しいことが分かる。


<地域別合格者数 グラフによる分析>
http://sekisemi-alumni.visithp.jp/documents/2007/2007_shihou_shiken_result_2007_local_graph.pdf

定員の多い関東が圧倒的である。なお、今回は、北海道・東北地域が一番の合格率であった。

~ムッシュ・いけふくろう~

「『学士力 大学卒業に厳格な認定試験も』について」(いけふくろう通信第400号)

2007-09-10 21:26:39 | 政治・経済・法律・社会
2007年9月10日の読売新聞夕刊1面・14面によれば、
「中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の大学分科会小委員会は10日、
大学卒業までに学生が最低限身に着けなければならない能力を
「学士力(仮称)」と定義し、国として具体的に示す素案をまとめた」とのこと。

表向きには、大学全入時代に突入した現在、大学を卒業した際に、
得ることのできる「学士号」の質を維持するため、と書いてある。

ところが実際のところはどうであろう。
記事を読み進めていくと、中教審が今後、示していくであろう指針を
「各大学」に対し、「卒業認定試験の実施など、厳格なチェックを求める」
とのこと、そうすることで、安易な卒業を認めない方向性らしい。

しかし、大学といえば、かつては最高学府といわれ、今でも当然、
大学の自治が認められているはず。
そこに、中教審(文科省)が表向きには指針を示すことで、卒業生の質、
ひいては大学の質を維持するのだから、いいことではないかというのだろうが、
実際には、文科省の指導の下、各大学に対して、厳しい審査をすることで、
大学の自治を一定程度奪い、大学を文科省の方針にあうように強制していく
のではないだろうか。

というと、またまた、おかしなことを言ってと、いわれてしまうかもしれないが、
、その問題となっている「学士力」の中身はといえば、
具体的には「知識」、「創造的思考力」のみならず、
「技能」、「態度」といった、およそ大学における教育とは関係もなさそうな
項目が入っているのだ。

おまけに「知識」についても「専攻分野の基本的な知識の習得」以外に、
「社会情勢や歴史とも関連づけて学ぶ」ことを求めている。

これはおそらく、大学で学んできたさまざまな見解を認めず、
ある一定の見解にもっていこうとするのではないだろうか。
その一定の見解は、ずばり「政府の見解」だろう。
まぁ、ある程度、私立大学であれば、自由は効いて、そんなに
無理なことはしないと思うが……。

ところが「態度」の項目はまったくもって、不可解である。
具体的には、「他者と協力して行動したり、目標実現のために方向性を示せる
チームワーク、リーダーシップ」、「自分の良心や社会のルールに従って、
行動できる倫理観」などがあるらしい。

チームワーク、リーダーシップ、倫理観をいったい、大学はどういった尺度で
判定をするのだろうか。それも文科省がある一定の指針を示すのだろうか。
特に倫理観というものは、人によってまちまちなはずで、
「これが絶対正しい」というものはないはず。
それを問い、卒業の認定の一材料に使うなど、もってのほかではないか。

おそらく表向きにはいわないのだろうが、ある一定の学生像=国民像を
もった学生の排出を目的としているのではなかろうか。
それも、政府の見解を大いに尊重した健全な学生を社会に排出し、
その健全な卒業生が社会に参画させ、政府に対して、文句の一つもいわない、
いやいうことさえ感じることのできない国民を創出させようとしている
のではなかろうか。

と書いていけば、いつから「いけふくろう通信」も怪しい方向へ傾いているんだ、
とのご指摘があるかもしれないが、そう思うのであれば、仕方がない。

小泉政権以降の我が国の流れをちょっとでいいから、
皮肉っぽく眺めていけば、正常な感覚をお持ちの当通信の読者諸氏は
ちょっとでもそのおかしさを感じることができるはずだ。

まぁ、あまりこちらの見解を強要するつもりは全くないので、
こういった記事を見たときは、パスして、それ以外の記事をご覧いただければよい。

それから、読売新聞に一言。
ウェブサイトでは、記事のタイトル自体が変わっており、
「問われる「学士力」、楽じゃないぞ!大学全入時代」として、
オブラートに包み、ウェブをよく見る若者に対しては、
「のんきな学生生活はダメだよ、しっかりと勉強しなさい」程度の
ことしか、感じさせず、詳しく記事内容を読まそうとする気概が感じられない。
記事をスルーさせようとする意図があるのではなかろうか。
まったくもって発行部数1200万部を誇る読売新聞らしからぬ情けなさ。

読売新聞社といえば、政府に迎合する傾向の新聞とは言いつつも、
そこまでやってしまっては、マスコミとしての尊厳も失いかねない。

社会はほんとうにどんな方向に進んでしまうのか。心配で気が気でない。
だからこそ、当通信も今後は、こういう記事も配信していくつもりである。


<創刊400号を迎えて>
2005年8月23日に創刊した当通信も本号をもって、いよいよ400号を迎えました。
なんともう2年も経ってしまったんですね。我ながらよく頑張って、継続しているものです。
この間、社会は大きく変革し、私もいくつもの変化がありました。

当初は、グルメ志向・邦画志向のブログをめざしていましたが、
その方向性は多岐に渡り、今では、社会的な問題についても、
少しは論評することにもなりました。

今後は、社会問題にも触れながら、世の中を当通信なりに見ていくつもりです。
もちろん、グルメネタ、邦画ネタも欠かすことのできない大切な分野ですので、
こちらも続けていきます。

今後も、当通信への忌憚なきご意見とご要望をよろしくお願いいたします。

~「いけふくろう通信」編集長 ムッシュ・いけふくろう~