ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

初出勤!

2007年06月04日 | インターン@インド ハイデラバード

 

 昨晩は10:00には気絶したように眠ってしまったためか、今朝は7:00に実に爽快な目覚め。いよいよ今日からインドのマイクロ・ファイナンスのBasixでのインターンが始まります。

 朝食はゲストハウスの管理人ラマナさんの奥さんラマさんがつくってくれた“ミセリー”という料理。パスタに似た食感で、コショウで味付けがしてありますがそれほど辛くなく、中々おいしい!

     

 Basixのビジネスアワーは9:30からということで、9:00少し前、ラマナさんとともにゲストハウスを後にし、彼のスクーターの後ろに乗っかっていざ出勤!

 そしてここから何とも衝撃的な30分がスタートしました。

 大通りに出た瞬間圧倒されました。これは何と表現したらいいのか・・・

 朝のラッシュ、混雑といった表現では全く足りません。

   喧噪、混沌、雑踏、熱気・・・

 こんな表現をすべて掛け合わせた上で、二乗したような空間が延々と続いています。

 溢れんばかりの、いや、正確に言うと人が本当に“あふれちゃってる”バス、けたたましいクラクションを鳴らし続ける自動車、3人乗り、さらには4人乗りで駆け抜けるオートバイ、縦横無尽に走り回るオートリキシャーと自転車、その間を縫って悠々と大通りを横切る人々、自分の5倍もあろうかという荷物を乗せた荷車をヨロヨロと引っ張る老人、果物を大量に載せた荷車を鼻息荒くひっぱるウシ、人と荷物を載せて首を振りながら歩くラクダ?!

 しかも、東京の環状7号や8号くらいの広い通りにも関わらず信号がない!たまにあっても正にあるだけ。赤信号でもみんな全く止まる気配を見せません。さらによく見るとサイドミラーがついていない車がなんと多いことか!

 それだけではありません。

 更なる興奮は交差点で待っていました。信号がないため、縦、横、斜めからおよそ考えつく限りあらゆる乗り物に乗った人々がクラクションと叫び声をあげながら、乗り物の波をかき分け交差点に突入してきます。。。

 耳が痛くなるようなクラクションと舞い上がる砂埃、そして激しい排気ガスに包まれたそんな空間を、僕を乗せた小さなスクーターが飲まれて行ったのです。

 こんな痛快でエキサイティングなアトラクションは初めてです!2000年の夏に上海に行った時にもChaoticな交通に圧倒されたけれど、このスゴサとは比べ物にならない!

・・・と最初は目を皿のようにして、開いた口をふさがずにただただ圧倒されていたのですが、そのうち目が痛くなってきた。

  息も苦しくなってきた。。。。

 30分後、ようやく到着したBasixの建物の地下にある駐車場に到着。ラマナさんが「どうだった?快適だったか?」と元気よく尋ねてくるので、

 「いやーこんなエキサイティングな通勤は生れてはじめてです。東京の朝のラッシュも中々スゴイですが、ここには足元も及びません。」

と答えると、ラマナさんはニヤリと首をかしげながら、「夕方の混雑はこれの数倍すごいぜ。」と一言。

 これの数倍って、一体どんな世界のなのだろう。。。。

 Basix本部のオフィスはこの建物の3階。同じ建物にはIndian Unit TrustというMutual FundとIndian Insurance Corporationが入っているようです。

     

 エレベーターを使って3階にあがるとBasix Groupを構成する持ち株会社の看板とBASIXの経営理念、そして例のLivelihood Triadが目に飛び込んできます。

     

 オフィスに到着すると、有り難いことに個別ブースを与えられ、その後ラマナさんに伴われて本店内を案内してもらいました。Basixの従業員数は約1,600名ですがその殆どが郊外の農村地帯にある支店に散っていて、本店で働いているのは約50名程度のようです。

 こちらがBasixのオフィス。

   

 日本のいわゆる「大部屋オフィス」と違って、各自が個別ブースを持つ外資系風です。既に殆どの人が出勤していて頻繁に鳴りひびく電話の対応をしたりミーティングルームでディスカッションをしたりと忙しそう。また女性従業員が半分近くを占めているのも印象的です。一応トイレもチェックしてみましたが予想通り「インド式ウォッシュレット」。もはや無駄な期待はせず一日も早く慣れたほうがよさそうです。

 一通りオフィスを見終わった後は、Basix Groupの人事担当責任者でありインターンの受け入れ担当責任者でもあるサタヤさん(Mr. Sattaiah)に自己紹介。その後、サタヤさんからBasixの業務概要について説明を受けます。僕が年次報告やウェブサイトを読んで持っていた疑問点について、Sattaiahさんは一つ一つ丁寧に、時にグラフや数式を使って2時間近くにわたって教えてくださいました。

 自分の個別ブースに戻ると、隣に座っていた僕と同じ年くらいのインド人ディーパック(Deepak)が笑顔で話しかけてきました。彼は現在Indian Institute of ManagementでMBAを専攻していると言います。そして、僕と同じくちょうど大学院一年目を終えた夏を利用してBasixで二か月のインターンをしているとのこと。ただ、残念なことにインドではたいてい夏休みは最も気温が上昇する4月から5月の二ヶ月間であり、彼は明日でプロジェクトを終了し、カルカッタに戻ってしまうとのことでした。

 共有する時間は短いですが、同じインターン仲間ということで早速昼飯に繰り出しました。2人で入ったレストランでメニューを見るも何が何やら分らないので、とりあえず彼が頼んだものと同じものを注文するとまたまた珍しい食事が登場です。

    

 これはDosaと言って、言うならば野菜や肉の入ったクレープのようなもの。それにインドのカレーをつけながら食べるというもので結構いけます。

 ちなみに、Basixでは受け入れたインターン生と協議のうえ一人一人に対して個別のプロジェクトを課し、インターンは受け入れ期間内を利用して各種の文献や従業員へのインタビュー、あるいは農村地帯への出張を通じて研究を進め、最終的にGroupの経営陣へのプレゼンテーションとレポートの提出が求められます。

 ディーパックのプロジェクトは最近インドの特に農村部で急増している自殺の現状と原因を調べ、Basixが提供可能な商品案を提示するというプロジェクト。自殺について調べていた彼は、先進国でトップ、世界10位の「自殺大国」である日本のことも知っていて、

 「日本は豊かな国なのに、自殺が非常に多いのを知って驚いたよ。ついこの前も農業大臣が自殺したろ?あと、ハラキリって日本語なのかい?」

と色々と興味深々な様子。

 昼食後、再びサタヤさんとミーティングをし、非営利法人の財務面、人事面のマネジメントという僕の問題意識を伝えると、彼はBasix Groupの頭脳の役割を果たしているとも言えるグループ傘下のIGS(Indian Grameen Services)のマネージングディレクターであるドクター サンカルダッタ(Dr. Sankar Datta)を紹介してくれました。

 ドクター サンカルダッタとの1時間ほどのディスカッションを経て、早速僕のプロジェクトが決定。ドサッと渡された関連の書類を読んでいるとあっという間に時間が過ぎていきます。ちなみに、僕のプロジェクトの概要はまた追って記事にます。

 午後6時過ぎ。

 ラマナさんに促されBasixを後にし、再びバイクの後ろに乗っかってゲストハウスを目指します。朝の驚異的なシーンが蘇りますが、夕方のラッシュのインパクトはその数倍。。。。もう文章にできません。。。

 家にたどり着いたころにはヘロヘロになって、また夕食を食べた瞬間バタリと気絶してしまいました。

 来る前から予想はしていましたが、やはりスゴイです。インド。想像を超えてます。

 でも何とか頑張ります。


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