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「そろそろ出番ですのでBoard Meeting Roomまで来て下さい。」
予定時刻をかなり遅れた午後4:30、ようやくかかった呼びこみの声に従って僕はデスクを後にしました。右手にはラップトップ、左手にはパワーポイント40枚のプレゼン資料と僕の提案の肝にあたる4枚のエクセルシートを持って。
扉を開けるとグループCEOのRamana氏以下、20名近いBasixの経営陣、各部署のマネージャー陣が勢ぞろいしています。もちろん、これまで真剣に議論を戦わせてきた財務部長のモハンの姿も。
そう、Basixでのインターンも今日が最終日。これまで6週間にわたり取り組んできたプロジェクトのプレゼンテーションの日がついにやってきたのです。
Basixグループの一翼を担う非営利法人Indian Grameen Services(IGS)の取締役Dr. Sankar Datta(サンカー・ダッタ)がおもむろに切り出しました。
「みなさん、ご存じの通りIGSはBasixの商品・人材開発、経営戦略の策定を担うグループの頭脳にあたる役割を果たしているが、その予算・プロジェクトマネジメントは継続的な改革の必要性に晒されている。今日は、ハーバードからインターンに来てくれている彼からその点につき、これまで6週間の分析と調査を踏まえて、新たな提案をしてもらうことになっている。では、よろしく頼む。」
簡単な自己紹介で始めたプレゼンテーションは30分程度で終わりました。果たしてプレゼンテーションは、僕の6週間のプロジェクトは成功に終わったと言えるのでしょうか。
「成功」の尺度を「経営陣が提案内容を真剣に受け止め、実際に経営に取り込むべく具体的なアクションを起こすかどうか」という点におくのだとすれば、プロジェクトは成功だったといえると思います。
というのも、プレゼン終了後、Dr. サンカーダッタをはじめ、多くの経営陣から次々と質問やコメントが出ただけでなく、そのまま僕の提案内容を実現に移すべきか、それが本当に可能か、というディスカッションになだれ込み、賛成派と慎重派(Dr. ダッタは当初慎重派でした)に分かれ議論が延々1時間以上も行われたからです。その内容はここには到底書けないディープな部分にまで及びました。
ディスカッションの結果、僕の4つの提案のうち、2つは来月より実行(僕が作成したテンプレートをそのまま使用)、1つは対象プロジェクトを絞って試行的に実行、そして1つは現時点では実現困難という結論に至りました。
結局1時間半以上にわたったプレゼンを終えた僕を、拍手で送り出してくれたBasixの経営陣のみなさん。この6週間、仕事以外に時間を使えたのは、結局第一週目の日曜日のハイデラバード市内観光のみ、あとは土日も含めプロジェクトに時間を費やしてきましたが、その甲斐があったというものです。
こうした6週間のBasixのインターンもいよいよ幕が下りようとしています。ところが、デスクに戻り“離陸体制”を整えるべく身辺整理を始めたところに、財務部長のモハンがいつもの通りせわしい足取りでやってきました。
「今から提案内容を実行に移すためのミーティングを財務グループでやるからちょっと来てくれ。」
…
ほっと一息つこうと思ったら、そのままさらに2時間ほどミーティングルームに監禁されることに。本当にモハンとは最初から最後の最後まで真剣勝負が続きます…
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ハイデラバードを拠点に、6つの都市と5つの村を、時には夜行バスに揺られ、時には二等列車にもまれ、また時にはバイクで風に吹かれながら駆け回った6週間。
Basixの経営陣から現場で活躍するField Executive、農家の方々、竹を編む夫婦、園芸植物を育てるおじさんなどなど、数えきれない刺激と出会い、そして発見に満ちた6週間は、単なる観光では決して味わうことの出来ないものであったことは間違えありません。そしてまた、この経験を「有意義だった」という平凡な言葉で表現することも適当ではありません。何故ならそれは、僕の人生の糧となるものであり、僕の職業観、人生観に静かに、しかし深く刻み込まれ、それらに新しい形を与えるものなのだから。
もう一つ、Basixのオフィスを去ろうとしている僕の心に満ち満ちているもの。それは出会った全ての人々への「感謝」の二文字です。
日曜出勤を続ける僕のためにオフィスを開けてくれ、コーヒーを持ってくれた警備員さん、
「出張に間に合わないから大至急!」という無理なお願いを毎回聞いてくれた洗濯屋の兄ちゃん、
調子の悪くなったパソコンの面倒を見てくれたIT担当の方々、
毎朝デスクの周りを掃除してくれた女性、
小腹を満たす食事をすぐに出してくれた露店のオヤジさんやレストランの従業員の方々・・・
一人ひとりに「明日でインドを去ります。今まで本当に有り難う」と挨拶をしてまわります。
そしてプロジェクトを進める上で本当にお世話になった財務部長のモハンと、インターンの申し込み時から最後まで、常に配慮の行き届いたケアをしてくれた人事担当責任者のサタヤさん、そして、ゲストハウスの管理人として公私にわたり初日から最終日まで面倒を見てくれたラマナさんと奥さんのラマさんには、日本で調達した絵葉書にメッセージを書いて贈りました。
特に最後にテルグ語で書いた「ありがとう」の一言が印象的だったのか、普段クールなモハンも、しみじみと手紙を読み返していたのが心に残ります。
幸い、プロジェクトは成功に終わりました。しかしそれは、Basixの皆さんとお客さんが、多忙な中常に真剣に僕と向き合ってくれ、様々な話を聞かせてくれ、資料と時間を惜しむことなく僕と共有してくれたからに他なりません。そういう意味では、僕が限られた時間と能力の中で、しかし全力で取り組んだプロジェクトがBasixの経営に少しでも貢献し、それを通じてインドの人々の生活水準の向上に資するものであったなら、こんなに嬉しいことはありません。
こんな抱えきれない思いを胸に抱いて、明日の朝、僕は次なる目的地、ケニアに向けて発ちます。
20代最後の熱い夏は、まだ折り返し地点を過ぎたばかりです。
それにしても素晴らしい経験をされています。
私は国内の公共政策大学院を検討しており、修学中の夏休みはのんびりイギリスで過ごそうかと思っておりました。
しかし、このインドでの経験を読ませていただき、「夏はインターンシップだ!」と決意しました。
まぁ、もし大学院へ行けたらの話ですけど。(^^;;
(PS)
拙ブログに貴ブログへのリンクを貼らせていただきましたので報告します。
http://blogs.yahoo.co.jp/kinkin_kankon/13097108.html
22時間往復の甲斐(?)がありましたネ
私は国内の公共政策大学院を目指しています。
修学中の夏休みはイギリスでのんびり過ごそうなどと考えていましたが、ikeikeさんのインドでの体験を読ませていただき、「夏休みはインターンシップだ!」と決意するにいたりました。
(PS)
拙ブログに貴ブログへのリンクを貼らせていただきましたので、ご報告いたします。
http://blogs.yahoo.co.jp/kinkin_kankon/13097108.html
kinkinさんのインターン日記も楽しみにしています。頑張ってください!
やりましたね!
いろんな環境が整ってない中、それだけのものをdeliverするのはきっと並大抵でない努力と忍耐とcreativityを要したことと思います。
さすがですね。
ケニアでも引き続きがんばってくださいね。
僕ももうすぐモザンビーク。
1ヶ月という短い期間でどこまでやれるかですが、ikeikeさんの活躍に負けないようにがんばろうと思います。
こ
お互い成長してケンブリッヂで再会できるのを楽しみにしています。