ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

夜汽車、そして・・・

2007年06月18日 | インターン@インド ハイデラバード

 

 昨夜10:30、僕を乗せた夜汽車はゆっくりとハイデラバード駅(通称Manpally(マンパリー))を後にしました。Basixの同僚と3人で向かった先は、Nanded(ナンデッド)というハイデラバードから北へ約280キロのところにある地方都市。到着は朝の7:00と9時間の列車の旅。300キロ弱の距離を9時間とは、なんともノンビリとしたペースですが、インドでは最速のデリー-ムンバイ間を結ぶ列車でも時速140キロしかでないとのこと。しかし、道路が未整備、航空運賃は庶民には手の届かない料金であるインドで、列車は長距離を移動する人々にとって最も一般的な足だそうです。

 インドの列車の車両はAC(エアコン)付一等車(通称CCクラス(AC Chair Car)、一等車(First Class)、二等車(Second Class)といった感じで、いくつかの種類に分かれていますが、僕たちが乗ったのは一等席。

   

 個室に分かれていて、中はご覧の通り二段ベッドのような形でベッド兼用の座席が向かい合っています。冷房は効いていませんが、扇風機がすごい勢いで回っていて、毛布を持っていなかった僕は寒さに震えながらつかの間の仮眠をとることに。

 しばしば鳴り響くけたたましい列車のサイレンに何度も起されながら夜汽車に揺られること9時間。僕たちを乗せた列車は朝日に照らされたNanded駅のホームに入っていきました。

    

 Nanded。

 ハイデラバードが位置するAndhra Pradesh(アーンドラ・プラデーシュ)州の北側に隣接するMaharashtra(マハラシュトラ)州(州都ムンバイ(旧称ボンベイ))の一地方都市。インドの地方行政区分は州(State)-地方(Region)-地区(District)という階層構造をとっていますが、今回訪れたNandedは、マハラシュトラ州にある4つの地方(Region)の一つであるMarathwada(マハラスワダ)地方に属する8つの地区(District)の一つになります。

 こちらはNandedの駅前の様子。ハイデラバードでは黄色のオートリキシャー(自動三輪)ですが、ここでは黒。ちなみに、デリーは緑のオートリキシャーがメインだそうです。

   

 Nanded駅からまずはホテルにチェックイン。荷物を置いて一息ついたあとは、Basix現地スタッフの用意してくれたジープで市内のNanded Science College(ナンデッド科学大学)に向かいます。今日はここでBasixの採用試験が行われるのです。

   

 大学の門をくぐると既に受験者の長蛇の列。Basixが出した新聞広告を見て出願してきた今日の受験者数は200名を超えているとのことです。職種は、マイクロファイナンスや農業コンサルティングを担うBasixの実働部隊と言えるField Executive候補の採用枠と、Back Officeの会計・財務・経理担当者の採用枠の二種類に分かれています。採用プロセスは、

① 英語・数学・一般知識(会計担当はこれに加えて簿記・会計)の科目で構成される選択式の筆記試験

② Field Visitとそれに関するレポート

③ 複数回の面接

の三段階に分かれているとのこと。やはり採用の段階から現場重視の姿勢がうかがえます。ただ、採用にあたって特段学歴などの資格要件は設けられていないようで、受験者の履歴書を見ると、高校卒業したての18歳から、すでに様々な職種経験があり、修士号も取っている30代までと実に様々。また女性の受験者も三分の一近く見受けられました。

 なお、Basixは以下のような組織構造を取っています。

  

 今回僕が訪問しているNandedのオフィスがUnit Officeといって、そのトップ、つまり支店長にあたるのがUnit Head。その下に複数名のField Executiveが配置され、それぞれ3~4名の実働部隊、即ちLivelihood Service Advisorを監督しています。

  Basixの提供するLivelihood Promotion Triadの担い手であるLivelihood Service Advisor達は農村に住みこみ一人平均300世帯の農家を担当するそうです。そして貸出先である農家への技術支援やコンサルティングサービスを提供しつつ、支払期日に元本と金利を回収する役割を担っています。もちろん、新規顧客の獲得も彼らの役目です。

 彼らは配属前に、Basix Groupの一翼を担うNPO、Indian Grameen Servicesが手がけるLivelihood Promotion Schoolという大学校で、農業や疫学など、農家の生活向上に必要な専門知識に磨きをかけた上で、実際に各支店に配属されるのだそうです。

 そして、今日の採用プロセスで200名以上の出願者の中から見事合格した数名の新入社員は、Livelihood Service Advisorの見習いとして、あるいはUnit Officeの財務・会計担当者として今後活躍していくことになります。

 こんな風にして今日はBasixの採用プロセス全般を実際に作業の手伝いをしながら拝見させてもらう機会となりました。明日は、Basixの提供する事業の中核であるマイクロファンナンス、そしてInstitutional Development Service(組織化サービス)に焦点を当てて見ていくことになります。 


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