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遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

こってりを単品で

2018-01-07 23:08:53 | BIONEWS
穏やかな天気でした。低気圧通過前日ですね。
低気圧が猛烈に発達「12日ごろにかけて暴風雪に警戒を」気象庁
昼までゴロゴロしていて、昼食は金石まで足を伸ばしてラーメン食ってきました(上の写真)。なぜか無性に食いたくなったのですよ。なぜか・・・。
昨日、四十万の方に行ったらなくなってて、帰宅後調べたら金石にあるとのこと。全く正反対の方向です。まあ、金石は金沢の漁港でもありますからラーメン店のあるべき土地としては正解でしょう。美味しいラーメンって、漁港や魚市場とセットだと思ってます、勝手に。長浜とか、久留米とか、尾道とか、富山とか、和歌山とか、徳島とか・・・沼津とか釜石もラーメン美味いらしいね。知らんけど。
金石の店はパチンコ屋さんの中にあるので、駐車場は広くて便利です。しかし、店内はタバコ臭い。まあ、客層からしてしょうがないやね。30年前、O大院生時代に仲間と京都まで車で食べにいった時の味と変わらないと思うけど、スープの薫りは洗練されてきてる。今では、天一でラーメン食ってきた後にそれとはばれないだろう。チェーン展開の成功はここら辺がポイントなのかな。

あんまりこれといったニュースがないので、Natureのネタをば・・・3つ引用していますがネタは一つです
老化関連の再プログラム化が、がんの幹細胞性を促進する (NATURE)
Escape from senescence boosts tumour growth (NATURE)
Senescence-associated reprogramming promotes cancer stemness (NATURE)
ちょっと前提を説明せねばなりますまい。
ここで老化(senescence)というのは、細胞の老化であって個体レベルの老化のことではありません。細胞はそれぞれ無限に分裂できるわけではなく、限界があります。細胞老化はその分裂限界に至る前に予防的に分裂を停止した状態です。限界に至るまで分裂すると破滅的だ。そうやってがん化をふせいでる。
それと、「がんの幹細胞性」のことですが、抗がん剤等による化学療法でがんが消失したりしても、後で再発することがあるでしょ。そして、そうやって再発したがん細胞には使った抗がん剤は効かなくなってる。この再発したがん細胞はどこからきたのか、抗がん剤は活発に分裂している細胞をターゲットにしている。どうもそう活発には分裂せずにがん細胞を生み出す幹細胞的な存在が腫瘍のなかにいるということになった。これが「がん幹細胞」。
この論文は「がん幹細胞」が腫瘍組織のなかでどうやって生じるのかを解き明かす大きなヒントを与えてくれている。ミソは抗がん剤にさらされて細胞分裂に対するストレス状態に入ると、正常細胞は自動的に老化ステージに入って増殖をやめる。しかし、がん細胞はそれができなくて死ぬ。途中を省略してゆうと、それでも腫瘍組織のなかで老化できたやつがいて、それは増殖をやめながら抗がん剤の攻撃を免れて、しかもエピジェネティックなアレンジが変わって・・・・ところが、がん細胞ってそんなに老化状態で大人しくできないわけでして、その老化状態を突破するのがいると、そいつは抗がん剤耐性をもった状態で再増殖してくる。
科学を生業にしている人々には、「老化」といっても厳密な条件が課せられています。だから、上のストーリーで論文を書くにしても、細胞老化の状態であることをいくつもの実験で証明して話を進めています。ここが素人についていけないところですが、素人さんはそういうとこは別にいいからだいたいのストーリーを理解してくだされば御の字であります。問題は言葉遊びをしたがる人が、いい加減な解釈を科学用語にくっつけて素人さんたちを惑わすとこにあります。抗がん剤で若返りができるとかいう話ではないですよ、断じて。

本日のお酒:KIRIN 一番搾り 岡山づくり + 満寿泉 吟醸 + どぶろく
コメント
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