遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

きりぎりす

2010-05-11 23:12:39 | 読書
太宰治です。小学校か中学校か忘れましたが、教科書に載ってた『走れメロス』以来の太宰です。研究所引っ越しの時に出てきた文庫本の一つです。自分では買わんよ。
短編集なんですが、最初の半ページ、いや、最初の1行目で太宰文学の世界に引き込まれてしまいます。さすが天才。とにかく、引き込まれてしまったら読み切るまで離脱できません。短編で本当に良かった。本を読む時は布団の中なんですが、困るんですよ。途中で止められないのです。太宰を読んでしまうと途中で眠ってしまうわけにいかないのです。このままこの世界にどっぷりでは危険だと思えるくらい深い。梶井基次郎の時にも感じましたが、天才の文章ってのは危険ですな。
好きな作品ではありませんが、『風の便り』の中で気に入った文が2つあります。そこだけ引用しておきます。これくらいは前向きの気持ちができて良い文と思います。

○生きているのと同じ速度で、あせらず怠らず、絶えず仕事をすすめていなければならぬ。

○天才とは、いつでも自身を駄目だと思っている人たちである。



それから、今日のウォールストリートジャーナルでFRB議長バーナンキ氏がサウスカロライナ大学の卒業式で行った『幸福論』について素晴らしい内容の講演を紹介しています。経済学はそもそも、人間の幸福をいかに向上させるかに関する学問なのですね。彼の講演の中でも一番気に入ったところを抜き出しておきます。

人生では没頭できるものを探そう:幸福な人々は友人、家族と時間を過ごし、社会・地域との関係を大切にする。われわれは社会的な生き物である。幸福のもう一つのファクターはそれほど明確ではないが、「フロー(flow)」という概念だ。仕事、勉強、趣味などあまりに没頭している時に時間の経過を忘れることがないだろうか。これがフローと呼ばれている。この感覚を持ったことがなければ、仕事であれ趣味であれ、何か新しい活動を見つけるべきだ。幸福とは、自分の環境に完全に適用してしまう人間の習性に抵抗することにより、高めることが可能となる。一つの現実的な提案は、あなたが感謝する経験や出来事などをリストアップする日記をつづることだ。

本日のお酒:立山 本醸造
コメント (2)
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