「ヤバイ、オシッコが真っ赤に!」のその3「検査結果」
■検査結果■
それから4、5日して病院から電話がかかってきた。
病院:「もしもし、○○さんのお宅でしょうか?」
私:「はい、そうです。」
病院:「○○さんはいらっしゃいますか?」
私:「はい、私ですが…」
病院:「あっ、こちら△△病院です。お世話になります。それで、今回の血液検査なのですが、追加検査が発生したのでご連絡を差し上げた次第です。」
私:「追加検査ですか…。それって、あまり良いことではないということですよね!?」
病院:「ええと、私は会計を担当しているもので、検査内容に関してはよくわからないのですが…」
私:「あっ、すみません。とりあえず了解しました。」
本来の検査項目では足りなく追加分が発生したということは、だれが考えてもよい知らせではないことが分かる。「もしかしたら宣告されてしまうのか」という一抹の不安を覚えるようになった。
実は、根拠はほとんどないのだが、「自分はガンにはならないだろう」という楽観的な感覚が私にはある。
それは父方も母方も両親とも長命だからである。その他の親族も、ガンで亡くなったものがいないわけではないが、長命な人が多いという漠然とした感覚を持っている。
実際にはどこのだれがい何歳で亡くなって、その原因が何だったのであるという記録を付けているわけではないので、まったく漠然とした感覚に過ぎないのである。それに、実際の医師が出ているあるテレビ番組で「ガンは遺伝しません。家系的にガンで亡くなる人が少ないのは、ガンにかかりにくい生活をしているから」というようなことを言っていたので、それが本当だとしたら「親族にガンが原因で亡くなった人が少ないから安心」というのは全く根拠がないものになってしまうし、私の親族がみんな「ガンにかかりにくい生活をしている」というのも考えにくい。
だから、今回、病院から電話をもらって追加検査のことを聞いた時には、その検査内容がどのようなものか全く分からないにしても、漠然とした楽観的な感覚を覆されたような気がした。
そして次の診察の予約日に、再び先生の前に置かれた座面が丸いイスに腰を下ろした。
先生:「前回の血液検査の結果ですが…」
私:「はい」
先生:「追加検査を含めて結論から言いますと…」
私:「はい(ドキ、ドキ、ドキ…)」
先生:「全く問題はありません。どの数値を見ても正常の範囲内です。」
私:「あっ、そうですか…」
「何となく大丈夫だろう」という漠然とした感覚と「もしかしたら…」という不安が交叉した日々を送っていたので、一安心である。
先生:「あれ以来、尿の方はどうですか?」
私:「あの1回だけで、それ以降は正常です。運動の方もあまり無理していませんので…」
先生:「そうですか。それで、薬の方は大丈夫でしたか?」
薬の話が出るとは思っていなかった。「医師が、自分の処方した薬を実際に患者が購入したかどうかなんて把握しているのだろうか?」と少し不安になる小心者の私であったが、「実は、あの日ちょっとお金が…」と正直者にはなれずに
私:「あっ、はい。特に問題はありませんでした。」
「そうですか。それでは、また不安になる症状が出るようであれば受診してください。」という先生の言葉にお礼を言い、病院を後にした次第である。
結局、あの血尿は、担当してくれた先生の方からの説明は全くなかったのだが、ネットでいろいろと調べてみると、実際には血尿、つまり赤血球が尿に漏れ出たものではなく、筋肉中に存在するミオグロビンという赤い色素タンパク質が尿の方に出てしまったのが原因のようである。筋肉が赤く見えるのはこのミオグロビンによるもの。
このミオグロビンは酸素を貯蔵する働きがあり、必要に応じて放出している。あの時は、一次的に激しい有酸素運動をしたので、血液中の赤血球が運搬している酸素だけでは足りなく、筋組織を破壊してミオグロビンを大量に血中に放出して酸素不足を補おうと働いたようである。
その大量に放出されたミオグロビンによって一時的に腎臓が機能不全を起こし、尿中にもれだしたのである。
あれ以来、心拍数を上げすぎるような有酸素運動は控えている。150を超えてしまうことはままあるが、160代にはしないようにしている。健康のために運動をしているのに、身体を壊してしまっては元も子もない。また一つ賢くなった私がいるわけである。「完」
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