フィットネス紀行「しごきと化したリラヨガ-4」
幸いなことに普段の行いが良いせいか、私の願いも何とか通じたようだった。彼女はその男性はめていたイナバウアー強制ギブスをはずすと、私に装着することもなく、スタジオの前のほうに持っていったのである。
さすがは仏教国タイランド、何とか仏様への願いが通じた。私は心の中で大きな声で叫んだ、「コックン・マー・カップ」(タイ語で「どうもありがとう」という意味)。
また、このようなこともあった。着座で足を左右に開脚し、上半身を前屈させて床に近づけるポーズのときであった。私はみんなからの注目を集め、つかの間の「ヒーロー」(?)になったのだ!
このポーズ、ストレッチなどでもよく取り入れられるポーズで、やり慣れたポーズではある。ただ。どのくらい胸が床の方に近づくかは、その日の体調でかなり違ってくる。
ちょっと頑張れば、「おでこくらいは床につけられるかな?」くらい自信(?)はあった。身体もかなり温まっていたし、「しごき」のおかげで、一時的にではあるが「傷み」に対して感覚が麻痺しつつあった。
で、足を開脚し、身体を前屈させていくと、実際におでこは床に付けることはできた。すると、例の「ペタペタ」という恐怖の足音が近づいてきて「slowly, slowly」と言いながら背中をグイグイを床へ押してくるではないか。
「あの、済みませーん。Slowly,slowlyって言っても、速さの問題ではなく柔軟性の問題なのですから、できないものはできませんから。ご理解のほど、宜しくお願いしますよ!」と心の中で訴えてみたが、修行不足で念力も弱く、私の胸は彼女の不必要な助けを借りてだんだんと床の方に近づいていき、めでたく「ご対面!」となったのである。
「んー、胸が床につくなんてめったにあることではない。何だ、俺もやればできるのではないか!」と感心したが、問題は「この後、身体がどんな反応をするか」なのだ。
他の人を見ている余裕などはなかったが、他にできている人はいなかったのだろう。インストラクターがみんなに聞こえるように何かを言っている。きっとこんな内容だったに違いない。「みなさーん、見てください。この人、ほら胸が床についているのよ。最初はおでこしかついていなかったけど、私が助けてあげたんだから!みなさんもガンバって下さいねー!」
他の人たちが私の方を見て「わー、すごいわ!」などといっているのだろう、ざわめきが感じ取られた。まあ、悪い気はしなかったが…。
このようにして「しごき」と化したリラヨガのレッスンも開始されてから何とか50分が経過してくれて、残りの10分はストレッチなどをしてリラックスする時間であったが、身体のあっちこっちが痛くて、とてもリラックスなどできるものではなかった。
そして、何とかタイでの最初のヨガのレッスンは無事(?)終了したが、その後、2,3日は身体の自由が利かなかったことだけは最後に記しておく。
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