Takeda's Report

備忘録的に研究の個人的メモなどをおくようにしています.どんどん忘れやすくなっているので.

WBS2006会議報告

2006年03月06日 | 会議参加記
2/26-28に開かれたWBS2006(IADIS Internatinal Conference on Web-based Community)なる会議に出席した.

WBC2006は今回3回目となる会議だそうだが,私は初めての参加.IADISという学会が主催する会議でこの学会に参加するのも始めてであった.どうやらスペインを中心とする組織のようだ.といっても,この会議そのものは別にスペイン系というわけでもない.事実上の主催者はUniversity of TwenteのPiet Kommersであるらしい.あとでわかったが溝口先生のところに2度滞在していたこともある教育系の先生らしい.

全員で60人ぐらいの小規模の会議であった.Parallel Session3つ,Keynoteは3名.最初の説明および会議録によるとfull paperは約24%であるとのこと.我々のグループからは総研大の沼晃介君が私と共著のfull paperを発表した.彼の発表は出席者には非常に好評でSession Chairおよび出席者から質問が相次いだ.終了後も質問があった.

会議発表者の分野はおおよそ1/3-1/2が教育システム系,1/3が社会学系,1/3が情報システム系ぐらいの割合だと思われる.半分ぐらいの発表でWeb-based Communityの話が直接言及しており,教育,社会学,情報システムそれぞれからWeb-based Communityにアプローチしており,興味深かった.

キーノートはどれも面白かった.Peter Kollockは”How not to build online markets - lessons in the design of trading”とタイトルとしたTalkで,いかにB2B電子マーケットが簡単にできないかということを分析的に述べた.Commondityでないものは論外として,Commondity型の商品でも,実際の取引は人間関係が重要であり,単純に置き換えはできない.実はFavorによって経済はまわっており,これによってリスクを回避している.結局,取引における社会関係とネットワークの重要性,異なるマーケットは異なる社会技術が必要,ということを説いている.


Hermann Maurerは,"THE GROWING IMPORTANCE OF E-COMMUNITIES ON THE WEB"と称してweb上のコミュニケーション活動に関するオーバービューを示した.online dating (700M$, 2005y), Porm (2B$), online gambling (10B$)まで含めているのは面白い.
weblogとwiki, SNSがWBSの方向性だという指摘をしており,我々の研究方向とまさしく同一で,実に心強い.彼もいっているように,これらに技術的に新しいものはほとんどない.むしろシンプルさを保つことが大事.これもまさしく同意.じゃあい今後の方向性としては"Open Space for every WWW page"といっているけど,これはちょっと陳腐.まだ僕の6つの活動モデルのほうがましかな.因みにかれは未来を予見したSF小説を書いているらしい.会議のおまけについてきた...

あとは気になった発表をメモ.

VALUE NETWORKS THE SOURCE OF COLLECTIVE COMMUNITY INTELLIGENCE: ONE CASE STUDY Claudia Fernandes
この中でReferされている
Buchel B. and Raub, S., 2002. Building knowledge ? creating value networks. In European Management Journal, Vol20, No 6, pp 587-596.
も気になる.Value network modelなるものがあるらしい.

FINDING EVIDENCE OF COMMUNITY FROM BLOGGING CO-CITATIONS: A SOCIAL NETWORK ANALYTIC APPROACH
Alvin Chin, Mark Chignell

あととなりの会議(IADIS)でRichard Stallmanが招待講演で聞きに行く.ソフトウエアのフリーダムの話.いつもの話でとくに新しい話はない.長い間をおいたりと,喋り方は宗教がかっている.みんな,シーンとなってきいていた.
質問で,「あなたの話は陰謀があるとか...」という質問に猛烈に反論.陰謀
じゃなくて事実だと.

全般的にいうと思いかけずみっけものの会議だった.この会議はWeb-based Communityと多分名乗る唯一の会議でしょう.実際発表の半分ぐらいはちゃんとWeb-based Communityに言及しており,それなりに求心力があるようだ.まあ,学際的な会議なので普通の意味でのQualityを計る事は難しいが,とりあえずテーマはまさに僕らのやりたいことなので,今後ともこの会議と関わっていくことは有意義であると考えている.

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