Takeda's Report

備忘録的に研究の個人的メモなどをおくようにしています.どんどん忘れやすくなっているので.

セマンティックWebとWeb2.0

2006年04月21日 | 研究
なんと「セマンティックWebとWeb2.0」なんて題目の講演をすることになりました.Interop 2006のコンファレンスの「Web環境の進化で変わる情報検索アーキテクチャ」という中です.僕以外はNTTレゾナントの小澤さん,"Web2.0 Book"の小川浩さん,慶応の松村太郎さんという,大変なものです.一般技術者向けなのでわかりやすいテーマということで,コーディネータの奥さんらと話しているうちに,結局はやりのキーワードをいれることになりました.
しかし,一体,何を話せばいいのだろう.あわてて真剣に:-)Web2.0の情報収集を始めました.でも集めれば集めるほどわけわかんなくなりますね.

まあ,Web2.0に関する”評論”は巷にあふれているわけですが,僕はあくまで研究者(SW研究者?)としての立場として考えていこうと思っています.

現状でわかったこと.
まあO'Reillyの論文は結構分かるし,やっぱりいいポイントをついている.Webの世界がどんなものであるかを肌身でわかっている感じがあり,すごく同意できる.しかし,当たり前だが,この論文は表題の通り,ビジネスモデルやソフトウェアのデザインパターンの対象としてしかWebをみていない.そこが(研究者としては)不満が残るところです.翻って,セマンティックWebはどうなんだ,とみると,これもやっぱりAI技術,情報技術の対象してしかWebをみていない.もっとWebの世界自体を語るべきなんじゃないかと思いました.それが鍵かな.
じゃあ,それはなんのか.そういえば,僕はこんな解説を2002年に書いているわけですが,ここで言いたかったのは今あるWebコンテンツをみていても駄目でその背後にある日常世界をみなければならない,すなわち日常世界としてのWebを考えよう,ということでした.まさにそれがWebとは何かの答えなんじゃないな.
じゃあ,そのようなWebはどんな性質をもち,我々にどんなことをもたらすのか.
それはまた,もうちょっとまとまってから.

ご意見があればどうぞ.
#Web2.0を語るにはWeb2.0的に”参加型”でなければ :-)

モノの圧力

2006年04月20日 | 研究
3月に故あって国立民族学博物館を訪問しました.オントロジーで民博研究者を
支援できないかという話を考えるためです.僕は関西にいたこともありますが,
実は民博は初めてでした.
民博とのからみがどうなるかはまったくわかりませんが,とりあえず博物館で感
じたこと.それは大量のモノからくる圧力です.民博では開館時よりのポリシー
で説明を最少にして,モノ自体を大量に展示するという方式をとってきたそうで
す(最近は展示方法はかわりつつあるそう).太鼓なら太鼓が,さまざまなバリ
エーションで大量に置かれているわけですね.これは圧巻です.僕にはそれは人
間としての本能的な部分に触れるものがあるのではないかと思いました.
人類は古来よりひたすら道具を作ってきたわけです.ホモ・ファーベルとしての
人間の本能というわけです.モノをつくることで生存してきた人類にとってモノ
は不可分な存在なんじゃないでしょうか.本能といっても,もちろん動物として
の本能(media equationで示されたようなもの)のレベルよりは表層的なものだ
とは思いますが.
古来からモノをあつめるという行為は洋の東西を問わず存在してきたわけです
(博物趣味).また,我々も日々コンビニやキオスクの大量のモノでほっとする
ことがあるわけです.あるいはかつての共産圏のモノにはバリエーションなんて
いらないという世界にロジカルでない納得のできない気持ち,さらには旧共産圏
のデパートのわびしさ(僕はソ連から分離してしばらくのエストニアのデパート
にいきましたが,そんな感じでした)もなんかの由来があるのではないでしょう
か(そもそも共産圏の崩壊はこのモノに対する執着心も貢献したのではないのか
な.コカコーラやマルボロ,ベンツといった存在は壁崩壊の内なるモチベーショ
ンか).
このモノに対する特別な関係はかなり深いところにあるのではないかと思う.人
工物工学的にはモノの本質は機能であり,機能が同値であれば物質的な存在の有
無を問わない,だからサービス化が可能という.これはサービス工学の道筋なの
だけど,もし上のようなモノへの執着がかなり深いところにあるのなら,機能と
は別の側面,モノの存在としての意味,も考慮しないといけないじゃないだろう
か.

CAAW-06参加記

2006年04月05日 | 会議参加記
AAAI Spring Symposium on Computational Approaches to Analyzing Weblogs
に出席しました.
http://www.umbriacom.com/aaai2006_weblog_symposium/
かなり盛況で,85名の参加者があったそうです(部屋が満員).
#たぶん実際の参加者もっといたような気がする.

我々のグループからは沼くんがActionLogを発表しました[A Weblog Grounded to
the Real World, Kosuke Numa, et al.].
発表そのものは十分だったとおもいます.
質問はこのようなメタデータのメリットはなにか?というものでした.彼がうま
く質問の意図をとらえられなかったので,ついにフォローしてしまいました.うー
ん.あとフィードバックはという質問がありました.

この会議はcomputationalといっていますが,計算機技術の新規性を発表ではな
くて,いかに分析を行ったかが主眼の発表がほとんどでした.
Sentiment analysisとかgender, age analysisが2/3ぐらいでした.

たとえば,キーワードを使った分析では,年齢分類で10-20代と性別の女性
が似た傾向を示す(内向的,Domenstic)なんて分析でした[A preliminary
investigation into sentiment analysis of informal political discourse,
Tony Mullen and Robert Malouf].
happyを示すキーワードの分析とか [].
market researchなどを考えると確かに魅力的なテーマなんでしょうけど,これ
ほどこの会議に集まっているは意外でした.だって一応AAAIの鍵なのに...
みんな工夫していろいろやっていて,それ自体は勉強になりました.

ちょっと違った発表はMSのSNSであるWallopの分析の話で,英語と中国語のパター
ンの違いを分析していました.英語ユーザにくれべると,中国語ユーザは友人招
待数が多いが,実際にLoginする頻度はかなり低い.発表者は非中国語ユーザだっ
たので,その原因まではわかっていないようでした.これはまさに文化の差でしょ
う.まさに実世界の中国人ネットワークがSNSでも展開されているということで
すよね.

- 24 Hours in the Blogosphere, Matthew Hurst
中国語PowerはWeblogの世界でも大きな影響をもたらしているらしい.
weblogs.comのPingの分析では,台湾と香港からのアクセスが多いことが示され
ている.日本のblogは日本で閉じている傾向があるのでこういうところでみえな
いでしょうね.これも文化の違いか.

- SVMs for the Blogosphere: Blog Identification and Splog Detection,
Pranam Kolari, Tim Finin, and Anupam Joshi
splogとspingの話は面白かった.splogとはSPAM weblogのことであり,spingと
はSPAM pingということ.彼らの推定によると25%のtechnoratiはSplogである
らしい.LiveJournalは低いが,blogspostはひどいらしい.

- Analyzing Iconic Consumer Brand Weblogs, Suresh Sood, Arch G. Woodside
and Ken Miller
Consumer Brand Storiesの話は僕としては初めて聞くの面白い.
why self report blog stories?
これは価値創成の話に関係ありそう.

最後は関連情報.
- TREC Blog
- WWW2006 Ecosystem
- Int. Ccnf. on Weblogs (March 2007, Boulder CO)というのは開かれるらしい.
- Artificial Intelligence Approaches to Beauty and Happinessなんてワーク
ショップがAAAIで開かれるらしい.うーん,AIも随分と遠くへ来たものです.