Takeda's Report

備忘録的に研究の個人的メモなどをおくようにしています.どんどん忘れやすくなっているので.

1st Asia-Pacific Culture Portals Summit参加記

2010年02月03日 | 会議参加記
先々週は台北で開かれた1st Asia-Pacific Portals Culture Summitなるものに出席してきました。Culturemondoの地域版というものです。Culturemondoとは何かというと、各国、各地域のCulture Portalをつくる人たちの集まりらしいです。

追記:
twitterで綴り間違いをしていました。×Culturemonde ○Culturemondo. またこの記事の表題も間違っていました。×1st Asia-Pacific Culture Summit -> ○1st Asia-Pacific Portals Culture Summit.
私の発表資料はこちら(A New Style Of Creativity

この会議そのものは台湾の政府のプロジェクトであるTELDAPというところが招待ベースで開催したものです。TELDAPはDigital Taiwanといって台湾の文化遺産、自然史などをWebで公開することを行っています。
Cultureなどと名打った会議に参加するのは初めです。そもそもなんで僕が呼ばれたというと、去年の上海でのASWCのワークショップの招待講演のときに、この会議の主催者の一人であるIlya氏がいて、僕の話をおもしろがってくれて、この会議にこないかとお誘いがあったというわけです。したがって僕が話した話題はまたニコニコ動画と初音ミク話です。Culture Portalと関係ないじゃなのと不安を覚えつついきました。
会議は台湾の人が多いですが、他にマレーシア、インド、バングラディシュ、韓国、イギリスなどの人が参加していました。日本からは僕だけです。20人ぐらいがRound Table形式で座り、順に話題提供をしていくというものでした。話題の一つは実際に文化情報を提供するサイトの運営に関わるものでしたが、それ以外は多様で、文化的ものとインターネットの関わりについての考察などが発表されていました。
僕の発表は好評だったようです。そもそもニコニコ動画は台湾で結構人気で、参加者の人からも自分の子供がよくみているよ、なんてあとで聞かされました。でも単にニコニコ動画ではなくて、Webの創作活動ということも興味を引いていたようです。実際、サマリープレゼンの中でも新しい方向として言及されていました。はじめて内容的なことを理解してもらえたかと思いました。
会議はどうだったかというとなかなかおもしろかったです。最後に初回参加者は感想を言えといわれたので、以下のような趣旨のことをいいました(こんなに長くないですが)。

文化ポータルの議論というのは、アーカイブ的なもの(DeepなWeb)とコミュニティサイト的なもの(FlatなWeb)が内包されていて、議論もどうしても両方にわかれがちです。ここでも各々の発表はどちらかになっています。しかし、議論を概観していると、今はそれが高いレベルで融合できる状況になってきたという気がします。それはWeb技術の発展とWebコンテンツの大規模化という環境の中で、ユーザ側がかわってきたからだと考えています。知の使い方が変ってきたというべきでしょう。
かつては専門家というのは専門の知識があるとことと思われていました。。そして、専門家しか知り得ないことがたくさんあって、専門外の人がはいる余地がありませんでした。ところがいまそういう情報(全部ではありませんが)が大量に公開されて誰でも入手可能になりました。知識があることは専門家の能力ではなくて、その知識を使いこなすことが能力になったわけです。つまり知の能力が定義が変ってきて、知識があることから知識を使いこなすことになったわけです。
そうなると専門的知識は専門家だけのものということではなくなって、我々の思考の素材の一つとして使われるものというわけです。実際、NIIのCiNiiの使われ方をみてそれは現れていると思います。CiNiiは2年前にGoogleで検索可能になってアクセス数が倍増して、去年システム改良で高速検索などができるようなってまた倍増してきました。CiNiiの古典的ユーザである研究者が倍々で増えるわけではないので、一人あたりのアクセス回数が増えたこともありますが、新しいユーザ、大学外のユーザが明らかに増えてます。我々もこんなに活用されるとは予想していませんでした。ユーザがいわば勝手に使い方を発見してくれているわけです。
専門の知識は専門家のものという時代は終わり、ユーザの思考の素材となったときに、文化ポータルといった深い知識とユーザを結びつける活動は新しい価値をもたらすものとして再評価、再発見されるものだと思います。

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