Takeda's Report

備忘録的に研究の個人的メモなどをおくようにしています.どんどん忘れやすくなっているので.

実名制で中傷防げ???

2005年12月28日 | 社会問題
今月からちょっと立場が代わったので,少しは社会的な問題にもコミットするようにしようと思っています.

まずは練習がてら,今日の読売新聞から.社会面の「ネットと匿名社会」という連載記事がなかなか”刺激的”です.
「実名制で中傷を防げ」とでかでか見出しがでています.
内容は,韓国では,ネット利用登録のときに実名登録が必要となる制度が始まる.これで中傷などが防ぐことが期待されている,という話です.
例として取り上げらている事件が「ソウル市内の地下鉄社内で,若い女性が愛犬のフンをそのままにして下車し...」その「中傷する発言が掲示板やブログにあふれた.」というものだったり,全国民が持つ13けたの住民登録番号が「他人になりすますのに悪用されるケースがめだっていた」,など,つっこみどころの多い話はおいておいたとしても,この記事を書いた記者は,自分のこういう例をもちいて説明して自己矛盾におちいっていることに気づかないというところに驚きがあります.
「中傷によりプラバシーが危機にある」→「実名登録」→「中傷が防げる」という論理ですが,この続きには
「中傷によりプラバシーが危機にある」→「実名登録」→「実名情報が流出」→「プラバシーが危機」
となるわけです.実際,そういう例を挙げているわけで.もっといい例をあげればいいのにね.

まあこの記者の論理は最近の世間の論調の典型例ですけど.なんで,こんな堂々巡りになってしまうのかというと,「実名」vs.「匿名」という二者択一という問題にしているところに根本的な問題があるわけです.この背後には,前提として,「ネット以前の社会は実名社会で安寧であった」があって,それが「匿名をゆるすネット社会の出現」によって「安寧が脅かされている」という論理が裏にあるわけです.

でも「ネット以前の社会は実名社会で安寧であった」ってホント?そこに二つの誤りがあります.一つはそのもも,ネット以前の社会(アナログ社会)でも,多様なレベルが実名‐匿名の間にあり,我々は適宜,それを切り分けて生活しているということです.家にいる自分,会社にいる自分,通勤途上の自分,コンサート会場での自分,全部同じように自分の名前を掲げて生活しているわけではないですよね(自分の名前,IDつきのゼッケンを前後につけて,通勤電車に乗ったり,コンサートにいくことをイメージしてみてください.なにかおかしいでしょ).そういったアイデンティティの多様性は現代の生活では必須なものになっているわけです.そのような多様性を無視して,実名があたかも自然というはおかしな話なわけです.
もう一つ,「実名なら安寧」とういところも怪しい.日本でも,村から町へ,町から大都市になれば匿名性が高くなるわけです.戦後,多くの人が大都市にきて,大都市の匿名性にあるときは戸惑い,あるときは歓迎していたわけです(それがために都市へいくひとも).だから,一概に「実名なら安寧」「匿名なら不安」ということはないわけです.

この意味では,いま起っていることは,アナログ社会で起きていた社会における「実名‐匿名」の多様性がデジタル社会でも起っているに過ぎない.ただし,アナログ社会にくらべ,より多様な方法が提供されるようになった点は大きい.いままで実社会の束縛から離れられる人は少数であったが,いまは誰でもできるようになった.だからいろいろな場面で新しい衝突が起るのはしょうがないでしょう.

ではどんな風にデジタル社会で暮らしていけばいいのか.それはみなさんが現在模索中名わけです.個人レベルではブログがいい例で,ブログは実名で書く人もいれば,まった意味のない匿名だったり,あるいは仲間内でだけでわかるニックネームで書く人もいたりして,多様です.中身においても,微妙なコントロールをしていて,仲間内に知らせたいことは仲間内でしか分からないように符号化されてたりするわけです.あるいは掲示板などはそこでの仲間内での自浄作用みたいのがあったりします.

いずれしろ,「実名vs.匿名」の二者択一論理は危険で,上のようなアイデンティティの多様化は見えなくなってしまいます.

引きこもり研究者からの脱却

2005年12月19日 | 会議参加記
柏に行くようになってから,家と柏,竹橋と基本が三角関係になったうえに,都内に用事があったりすると,移動だけで一日の何割かの時間が食われてしまっています.
いままで,朝NIIについてから夜に帰るまで,食事も含めて昼も夜も建物から一歩もでない日が結構あって,これはこれでぬくぬくと快適だったのですが,なかなかそうはいっていられなくなりました.外にいくにしても,竹橋からだとすっと行ってすっと帰ってくるパターンだったの対して,柏からだと都内の用事は”遠征”で,結構時間のロスがあります.航空母艦から出撃と母国の基地からの長距離爆撃と違いでしょうか(不穏な例えですいません).
そうすると,結果的に街中を徘徊することなって,太陽の下で晒しだされた感じです.なれないとどきどきしますね.なんとなく,引きこもりの気持ちがわからないでもない.まあ,どこにいってもPCをアクセスしているので,実はやっていることはかわらないですけどね.

研究グループ忘年会

2005年12月16日 | 会議参加記
最近コンパをやっていませんでしたが,やっぱり忘年会ぐらいしましょうということで,急遽忘年会をしました.5日前にアナウンスなのにも関わらず,OBも含めて14人もあつまりました.
いやあ,5年前に3,4人ではじめたことを考えると,考え深いものです.
人数は多ければいいわけではありませんが,ここに集まった人はみな研究テーマに賛同して自主的に集ったわけですから,個人的にはとてもうれしく思っています.

2次会ができなかったのが残念.今週続きをやりますか.

ご挨拶

2005年12月07日 | 会議参加記
月曜日に知っている人に着任の挨拶メールを出しました.ぱっと思いついた人に出したので,出してない人はすいません.
すると,何人かの方から返事をいただきました.ありがとうございます.
大学の事情をよくご存知の人からは「忙しくなるね.がんばってね」と励まし?をいただきました.寄付講座というのはやっぱりなかなか重たいものです.
また,何人かの方からは「ご栄転おめでとうございます」とお返事をいただきました.お返事の常套句ですからいいといえばいいのですが,ちょっと複雑な気持ちです.NII教授という立場でそれなりにがんばってきたつもりなんですが,東大教授(客員でも)には勝てないだよね,という感じです.
まあ,どうもいい話なんですけどね.
ともあれ,柏と一ツ橋間をうろうろして,落ち着かない今日この頃です.

東京大学にも所属することになりました...

2005年12月01日 | 会議参加記
12月1日をもって,東京大学人工物工学研究センター価値創造イニティアティブ寄付研究部門の客員教授となることになりました.
センター名も怪しいけど,部門名はもっと怪しいですね :-)
#センター名は私の師匠がつけたのものなので文句はいえませんが...

客員教授と名がついていますが,専任扱いです.
でも,私は併任です(わけがわからないですね).

とはいえ,週に2日は東大の方にいくことになります.東大といっても本郷でも駒場でもなく,柏っていうところがいたいところです.

寄付部門ですので期限付きで,これから予定通りになら,3年4ヶ月この生活が続くことになります(はあぁぁー..)

某経済専門紙にも記事が載っています(うーん,引き下がれないなあ)

中身については,また今度.