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裁量労働制②

2018-02-28 14:13:46 | Library
1998年改正で追加された裁量労働制は、企業の中枢部門において経営・管理に関与するホワイトカラーのための制度であって、「企画業務型裁量労働制」と称される(38条の4)。
この裁量労働制は、「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」(つまりは、本社または本社に類する部門)において、
「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」に、
「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」が、
就く場合にのみ採用できる(38条の4項第1項)。
つまり、前提要件として、「事業場」、「業務」、「労働者」の3つの点で絞りがかけられている。
さらに、このような前提条件を満たしたうえで、次には、事業場の「労使委員会」による決議とその届出という手続的要件を満たさなければならない。

「労使委員会」は、使用者および当該事業場の労働者を代表する者を委員とし、その半数は、当該事業場の労働者の過半数を組織する労働組合、またはそのような組合がない場合には労働者の過半数を代表する者、によって指名されなければならない。
この設置は、所轄労働基準監督署に届け出ることを要し、労使委員会では、対象業務・対象労働者の具体的範囲、みなし労働時間数、対象労働者の健康及び福祉を確保するために使用者が講ずる措置、対象労働者の苦情の処理手続、などを委員の5分の4以上の多数の合意により決議しなければならない。
さらに、労使委員会の決議では、裁量労働制の適用に当たっては労働者本人の同意を得るべきこと、労働者本人の申出による適用除外を認めるべきこと、同意しなかったことを理由に不利益取扱いをすべきでないことなども定めなければならない(38条の4項第1項)。
そしてその決議は、所轄労働基準監督署に届け、作業場の見やすい場所への掲示やホームページへの掲載によって労働者に周知しなくてはならない(106条)。

「企画型業務裁量労働制」の最大の懸念は、同制度下で働く労働者の働き過ぎである。
労使委員会の設置による同制度の厳格な手続き的規制は、主として働き過ぎ防止の目的に発している。
指針でも、裁量労働制をとる労働者についても、使用者は健康配慮義務を免れるものではないとしている。
使用者は、裁量労働制をとる場合でも、出退勤時刻の記録等によって労働者の勤務状況を把握し、労働者の申告や上司による定期的なヒアリング等に基づき対象労働者の健康状況を把握すべきとしている。


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