天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「オールド OLD」@32作目

2021年09月01日 | 映画感想
「オールド OLD」

M・ナイト・シャマラン監督最新作。
し・か・も!メインキャストに私の大大大好き!ガエル・ガルシア・ベルナル君のクレジットがっ!がっ!きゃー!(大歓喜)

あらすじ
バカンスを過ごすため美しいビーチを訪れ、それぞれに楽しいひと時を過ごすキャパ一家。そのうち息子のトレントの姿が見えなくなり、捜してみると彼は6歳の子供から青年(アレックス・ウルフ)へと成長した姿で現れ、11歳の娘マドックスも大人の女性(トーマシン・マッケンジー)に変貌していた。不可解な事態に困惑する一家は、それぞれが急速に年老いていることに気付く。しかしビーチから逃げようとすると意識を失なってしまい、彼らは謎めいた空間から脱出できなくなる。(Yahoo!Movieから丸パク)

本作は予告編を観てからの鑑賞の方が飲み込みが早くていいのかなぁ?自分は少なくとも予告編観て大体の概要が分かった上での鑑賞でしたが。
という訳で、あらすじにも書きましたがあるホテルのプライベートビーチにやって来た数組の家族がこのビーチの異変に気付いたきっかけは「子供の異常な成長の早さ」からだったという…コレさ、劇中でもちょっと話題になってたけどもしこのビーチに居たのが大人だけだったらかなり時間が経つまでこのビーチの謎に気付かなかっただろうなと。
大人の10年と子供の10年は決して同じ時間軸ではないのだな、と改めて気付かされる。
成長仕切った大人が10年掛けて老いて行く事と、小さな子供が10年掛けて成長して行く事、同じ10年でもその「10年の重み・長さ」はまるで違う。
思えば、子供の頃の1年って途方もなく長かったなーと。それに比べてここ10年いや20年の過ぎ去る事の早い事と言ったら(苦笑)

このビーチに辿り着くまでに主人公ファミリーの横顔がそれとなく提示されている。
先ずこのファミリーバカンスは夫婦の離婚前の最後の「家族」としての思い出作りでやって来たものらしい、という事が直ぐに提示される。
後の会話でどうやらこの離婚の原因は妻が不倫した上に病気になった事で「だったらどうせだから好きな人と一緒になりたい」みたいな身勝手な理由らしい。そして私のガエル君はそんな嫁のワガママを何故か諾々と受け入れるつもりでいるらしい(ヘタレ過ぎだろー!お前イケメンなんだからそんな嫁とっとと捨てちまえ!)

ま、他にもてんかんの持病持ちの家族だったり医者ファミリーだったり、このリゾート地で知り合った彼女と離ればなれになってしまって困っているラッパー?ミュージシャンだったり、様々な生い立ちの数組の家族やカップルがこの「異常なスピードで時間が進んでいくビーチ」にやって来た。
やって来た、と言うよりもホテルの人に勧められて連れて来られた、が正解。

で、しばらく観ていて自分は本作の意図をずっと勘違いしてた事に気付いたのな。
てっきり「何故このビーチは異常なスピードで時間が流れていくのか、という理由を探るミステリー」だとばっかり思いながら観ていたんですが、そーではないんだ。
「このビーチは異常なスピードで時間が流れていく」という設定はデフォルト事項であり、問題は「何故この人達はこのビーチに連れて来られたのか」なのです!
実はずっとヒントは提示されてたんだけど、まあそれを察するのはちょっと難しい。でも後に種明かしがあったトコロで「なるほどなー」となる仕掛け。
コレはなかなか良く出来た設定だなーと思いましたよ。なんでも本作はシャマランには珍しく原作があるみたいで(コミックらしいですが)原作も見てみたいなー。

ま、でもミステリーとしては上記の内容なんですが、それよりも本作はこの「異常下における人間の精神状態の変遷と人間ドラマ」が刮目すべき点だろうと。
離婚が決定事項だった夫婦は「妻の腫瘍摘出」という大仕事を経て健康な身体を取り戻すと、憑き物が落ちたように平穏な夫婦の形を取り戻す。
「急速な老い」を目の当たりにして(自分の老親を目の前で喪うという悲劇に直面し)錯乱した医師は理由を他人に求めて発狂する。
子供達は心と身体の成長が明らかにアンバランスになりながら「私達、プロムも体験せずに歳を取ってしまうの」と嘆く。心の思春期を迎えずに性の兆しだけ体験する。
特にこの「プロムも体験せずに~」のくだりは個人的にちょっとしんみりしてしまった。このコロナ禍で修学旅行も体育祭や文化祭も何も青春らしい思い出を体験する事なく中学や高校時代を過ごさなければならない今の学生達の姿とちょっと被りましたね。彼らの心の成長がこの先心配になりました。

まあ、色々ツッコミどころも満載なんですが(例えば死んだ細胞は時間軸に影響されない、的な会話が登場しますが、だったら何故死体が急速に朽ちて行くのか、とかな)
それを補って余りある、なかなか見応えのある作品だったなーと。クライマックス以降の「え、そーだったん!?」からの展開もなかなか気が利いてたし。
映画冒頭からのさりげない会話だったりホテルスタッフの様子、大して意味のなさそうなシーンが全てオチの伏線になっているのは見事でした。
そして…本作のシャマランはいつになくガッツリと重要な役ドコロで登場していましたなー。もうひっそりカメオ出演とか面倒臭くなって来たのか?w

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