天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画】「皮膚を売った男」@50作目

2021年11月25日 | 映画感想
「皮膚を売った男」

チェニジア&フランス&ベルギー&ドイツ&スウェーデン&トルコ&キプロス合作作品。何カ国絡んどんねんw
更には93回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品(チュニジア代表)、なんでこんな沢山の国の合作なのにチュニジア代表なのかな?と思ったら監督さんがチュニジア人らしいからきっとチュニジア主導で他の国は応援参加みたいな形だったのかな?とか勝手に想像してみたり。

あらすじ
難民の男性サム(ヤヤ・マヘイニ)は、偶然出会った現代アートの巨匠から意外なオファーを持ちかけられる。それは大金と自由を手に入れる代わりに、背中にタトゥーを施し彼自身がアート作品になるというものだった。展覧会の度に世界を行き来できると考えた彼は、国境を越え離れ離れになっていた恋人に会うためオファーを受ける。アート作品として美術館に展示され、高額で取引される身となったサムは、やがて精神に異常をきたし始める。(Yahoo!Movieから丸パク)

シリアの首都ラッカで暮らしていたサムが幼馴染みの恋人アビールにプロポーズしてOKを貰った事で、嬉しすぎてその時乗っていた列車の中で「革命だー!云々」と叫んだ事で誤認逮捕されてしまい、更に警察署から脱走した事でお尋ね者に→命からがらレバノンに密出国して難民化、という日本じゃちょっと考えられない展開からスタート。
中東のあの辺りの情勢にイマイチ疎いので…でもコレは多くの日本人がそうだろうと思うのですが(←自分だけがクソバカだと思いたくない悪あがきですw)、なんとなくだけどあそこら辺は年がら年中テロっててISISが外国人ジャーナリストとかとっ捕まえて射殺する動画をSNSにUPしてるイメージしかないんだなぁ。ごめんコレも偏見つーか差別か?
でもまあ、当たらずとも遠からずだろうと思うのは今もシリアからの難民というのはジャンジャン溢れているのが実状だからです。

レバノンに逃げ切った後も恋人アビールの消息を気に掛けていたサムだったけど、なんとアビールは親が持って来た縁談にまんまと乗っかって外交官の男(冴えない小デブ)とアッサリ結婚して夫の赴任地であるベルギー・ブリュッセルに移住した事を知るのです!
…で、↑のあらすじですよ。恋人が他の男と結婚した事を知った上でどうしても恋人に会いたくてたまたま出会ったアーティストの誘いに乗っかって自分の背中にタトゥーを入れる事で「アート作品」という体にして念願のVISAを手に入れてベルギー入国を果たす訳です。なんかこのくだりで「は?」と思ったんですが。
ブリュッセルで5つ星ホテルの部屋に滞在して「生けるアート」として美術館で背中を晒す生活を送りつつスカイプでアビールと連絡を取るサムも「をい頭大丈夫か?」と思ったけど家の中に夫が居ながら堂々とスカイプの動画チャットやってるアビールも「アンタ自分の立場分かってるん?」と脳内はツッコミ入れまくり(苦笑)
コレは「純愛」なのか、それとも単なる「不倫」なのか。個人的には単なる不倫にしか見えなかった訳ですがw

話はこのサムとアビールの恋愛模様を絡めつつ(と言うかもしかしたらコレが本題だったのか?)、シリア難民の窮状…自由に国を行き来出来ない事情やISISによるテロの脅威
や自由な発言が許されない国情等を見せながら、それをあざ笑うかのようにサムという「美術品」に大金を投じるヨーロッパの白人お金持ちの皆様との対比…保険会社がサムに保険設定をするんだけど「たとえ死んだとしてもガンとかなら問題ないです。爆死されると困ります」とかサラッと語ってるくだりとかもうブラックジョークの世界(苦笑)
サムをオークションに掛ける事が人身売買に抵触するのでは、という法解釈についてのくだりもあります。それすらもあくまでもサムに関して「美術品がたまたま人間の身体に描いてあるだけなのにネー」程度の感覚で会話が繰り広げられていて、まるでサムの人格まるっと無視な感じが薄ら寒く感じます。

まーそんな状態で自分がもしサムだったとしたら…例え納得した上で契約書交わして自分が「生けるアート」になったんだとしても…そりゃ病むよなぁー!^^;
で、クライマックス意外な展開が…いや、実は映画冒頭のシーンで「ん!この額が…という事は」とある程度オチは想定した上で「何故この冒頭の状況になったのか」の課程を見せていくという作りだったのでなんとなく「何処かで不慮の何かが起こってこーなるんだろうなー」とは予想はしていた訳ですが、それが「ある意味本当の自由を手に入れたハズのサムなのに!」というタイミングなのが…余りにもお気の毒でちょっと観てるコッチが病みそうな展開だったのですが!

オチのオチがなかなかシャレてましたね。実際にコレを実現しようとするとどれくらいの時間が掛かるのか分かりませんが、まあそこも含めてファンタジーですかね^^
あとどーでもいい事かもしれないですが、美術品化したサムのサポートをしてくれてるマネージャー的な女性が「わーモニカ・ベルッチっぽいエロいねーちゃんだなー」って思いながら観てたんですが、ラストのスタッフロールチェックしてたら本当にモニカ・ベルッチだったからちょっと驚いたわ。こーいう多国合作の小作品でも出るんすね。

---------------------------------------------

ま、映画と直接は関係ないけどさ、自分コロナ禍が始まる直前の2019年のちょうど今頃、本作の舞台になってたベルギーに旅行行ってたんだな。
まあベルギーだけじゃなくてルクセンブルクとかドイツにも行ってたんだけど、旅の最後がベルギーでブリュッセルのホテルに滞在してアチコチ観光してたんだわね。



ブリュッセルの中心地にある「世界で最も美しい広場」と言われている「グラン・プラス」でクリスマスツリーの点灯式に立ち会った時の画像↑
他にもアントワープとかアチコチ観光しまくってね、すっごく楽しかったーん♪…って言いたいトコロなんだが、←ん?

ブリュッセル、めっちゃ治安悪かったわー特にブリュッセル中央駅から正に↑画像のグラン・プラスに到るまでの道、そしてグラン・プラス周辺の小道、酷かったっすわ。
とにかく道の端に乞食がエグい数居座ってる。そーね体感的に「5m毎に1人乞食が座って物乞いしてる」感じ。実際はもっと緊密だったかも?レベルよマジで。
しかもその乞食がさ、例えばだけどもし今日本で何処かの駅前に乞食が座ってビニールコップを自身の前に置いて物乞いしていました、としましょう。
アナタはどんな乞食を想像しますか?…それはきっとボロボロの服とも言えないボロ布をまとった髭ボーボーの痩せ細った老人男性を思い描きませんか?

ブリュッセルの乞食はね、殆どが20~30代とおぼしき若者ばかりでしたよ。中には赤ん坊を抱いた20代前半かな?(もしかしたら10代かも?)という女性も何人かいました。
そして自分の直ぐ前に小銭が少し入ったコップを置き…ではなく、敢えて自分の位置から少し離れた(50cm~1m離れた道の真ん中近く)場所にその「物乞いコップ」を置くんです。
そーするとね、道を歩いている人がうっかりそのコップを蹴飛ばして小銭をばらまいちゃうんですよ。で、蹴っ飛ばした人が「あ、ヤベ…」ってなって乞食と一緒にそのばらまいた小銭を拾ってやるじゃないですか、そーすっと蹴っ飛ばした人が申し訳ない気持ちになって「ごめんね…コレで許してネ」って感じでコインを乞食に渡して行くんですよ。
コレを狙ってその5mおきに座ってる乞食がみんな自分からちょっと離れた場所に物乞いコップを置いて虎視眈々と獲物を狙っている訳です。
まーぶっちゃけますが、自分も最初まんまとひっかかって(苦笑)ブリュッセル到着後早々に2回位コップ蹴っ飛ばして1€ずつ乞食に進呈しましてねw
その後は流石に学習したのでブリュッセル駅周辺を歩く時は下ばっかり見て歩いていましたわね^^;

そんな我が家でしたが、帰国する日にやられましたよブリュッセル中央駅の地下鉄ホーム構内で!
正直「もうあとは帰国するだけだから~」みたいな気持ちに緩みはありましたわね。だからスマホ画面に夢中になってましたわ(ぶっちゃけるとPokemon GOな)
そしたらトントンって肩叩かれて「ん?」と思ったらその人が「アナタのお連れさん(旦那)の上着が汚れてますよ」って教えてくれたんですよ。
で、見たら旦那の着てたダウンコートの後ろがマヨネーズ?みたいな液体がベッタリ付いていて「わー!」ってなって旦那に「ダウンがっ!」ってちょっと騒ぎになって。

旦那が慌ててダウンを脱ぐ為に肩にたすき掛けしてた鞄を肩から外したその瞬間、横から手が出て来てそのショルダーバッグを引ったくって

行こうとする寸前に旦那が「あ、コレよく海外であるって聞く引ったくりの手口だ!」と気付いて自分の鞄を胸に抱きしめたから結局鞄は引ったくられずに済んだのですが。
て言うか、この時旦那の鞄が引ったくられてたら、自分達ガチ出国出来なくなってたよ(私のパスポートも全部旦那に預けてたし)
ま、結局我々は旦那のダウンコートに謎の液体を引っ掛けられただけで事なきを得たから良かったものの、その時に思ったのは「ベルギー人冷たいな」でしたね。
ブリュッセル中央駅の地下鉄駅の朝の通勤ラッシュ時が一段落した辺りのホームでの出来事ですよ。それでも周囲にはこれでもか!と人がいる状況で起こった出来事ですよ。
なのに、誰も犯人2人(例のダウンが汚れてる事を教えてくれた男と引ったくろうとした男2人がグルでした)を捕まえようともしなければ我々に声を掛ける人もいない、駅員を呼ぶ人もいない、でも周囲の人達の視線は痛い程感じました。それは
「あー日本(東洋人)観光客、マヌケだねーまた引っ掛かってんだー」という空気でした。



この話がウソだと思われるのもシャクなので、実際にその時駅構内で撮影した旦那のコートの画像貼っておきますわ。
ま、こんな事が帰国日に起こったので、旦那は当然ですが「もう一生ベルギーには行きたくない。ユーロ圏内の国はいくつか行ったけど最悪な国だった」と言ってます。
私はね、そこまで悪印象はありませんよ。そりゃ日本程治安のいい国なんてある訳ないって分かってるしさ、自分達もちょっと油断してたしてさ。
でもねー「油断してると金取られる国」には確かに自分も住みたくはないよなぁーとはやっぱ思うよねw日本がいつまでも治安のいい国でありますよーに!
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【映画】「リスペクト」@49作目 | トップ | La Grande Table de KITAMURA... »

コメントを投稿

映画感想」カテゴリの最新記事