買い物途中にかわいいカンカン見っけ。
中身はチョコレートとキャンディー。
ホワイトデー用だと思うけど、自分で買って、中身をお薬に入れ替えて、ピルケースとして使うことにした。
カンカンの下に置いてあるのがコースターなので、手のひらに乗るくらいの大きさ。小袋入りの漢方もあるから、ちょうどよかった。
今週初めに、夫が大腸内視鏡でポリープが見つかり切除、1泊入院した。
その病院は数年前に院長先生が代替わりして、今は息子さんが院長先生になっておられる。
夫も、会長先生が院長だったころからここにかかっているが、今は若先生がメインなので、若先生からいろいろ説明を受けて帰ってきた。
夫は「なんかなー、オレは前の先生の方が好きだなー」という。
私もこの病院には前の院長のころから何度もお世話になっていて、若先生になってからはもう数年来、持病のある胃を診てもらっている。前の院長先生は強面で怒られているような気になる先生で、私はちょっと苦手だった。
若先生は普段、ニコリともしないポーカーフェイスだけど、威圧感はなく、説明は簡潔でわかりやすいし、なによりこちらからの疑問など「ちゃんと話を聞いてくれる」ので、私には安心して信頼できる先生だったから、夫の言葉は意外だったけど感じ方は人それぞれなんだなーと思った。
と同時に、ふと、20年も前に亡くなった父のことを思った。
父は、見つかった時にすでに末期だった胃がんから肝臓、肺と転移して亡くなったのだが、そのときの主治医が、私たち家族は嫌いだった。
手術前に、術後の治療や薬の説明を受けた時に「それでどのくらい持ちますか」とか「どんな副作用が出ますか」など聞いても「人それぞれだからわかりません」「数値なら示せますよ、だけどその通りになるかはわかりません」と、まったく取りつく島がない。
私立の病院だったから、母はその主治医に「よろしくお願いします」とお金の入った封筒を渡した。ポーズでも「いやいや、それは・・・」というかと思ったら、「あー、はいはい」という感じで受け取ってさっさと引き出しにしまった。
こんな医者で大丈夫かという気持ちでいっぱいだったが、今ほどガンが治る時代ではなく、最初から「半年持てばいい方」と言われて、私たちは諦めてしまっていたから、病院を変えようとも思わなかった。
だけど、父はその医師を信頼していた。抗がん剤を患部に送り込む機器(?)を身体に埋め込んだ治療法で家で過ごせたので、定期的に通院していたが、あの先生は頼りになる、と言っていた。
結果的に、半年と言われていたものが2年もったが、いよいよとなって入院した亡くなる前日のこと、その医師が回診に来てくれた時の父のホッとした表情は、今も忘れられない。
「どうですか」と声をかけただけで出て行ったその医師に、私は「苦しんでいる患者に、もっと何かないのか」という怒りのような感情を抱き、そのことがずっと気持ちの奥に引っかかっていたのだけど、今回の事で「父は、あれでよかったのかも」と初めて思えた。
私はここ1か月以上、体調不良と不眠で悶々としていて、それぞれの症状の専門を標榜している病院に何度か行ったが、まず話をあまり聞いてもらえない。
循環器に行けば、話を最後まで聞かずに「とにかく検査してみましょう」と検査して「異常なし」
心療内科も、「眠れない」ということだけに薬を出して「こういう体調不良がある」という話は「専門外だから循環器に行って」と途中で遮られる。
なにも良くならないことに悶々として、「専門外」だけども話は聞いてもらえるかも、と院長先生のところに行ったら、ちゃんと話を聞いて、「今のあなたはこういう状態」「いろんな数値は心配するほどのものではない」「こういう薬があるので飲んでみて」と、きっちり、きっぱり説明してくれた。
それだけで、半分以上は良くなった気がした。
循環器や心療内科で出された薬は「どういう薬だろうか、飲んで大丈夫だろうか」と不安ばかりでネットで調べまくったのに、新しく出してもらった薬は「調べるよりまず、言われたとおりに飲んでみよう」と思える。
あの時の父も、こういうことだったのかもしれないと思った。
忘れずに、病室に来てくれる、それだけで、あの時に父には十分だったのかもしれない。信じて命を託したということで、納得できていたのかもしれないなぁと。
1泊の入院から帰ってきた夫は、ちょっと神経質になっている。
「先生はこう言ってたじゃない」と言っても、「そうだけど・・・」とネット検索の手が止まらない。
夫にとっては、若先生はちょっと信頼には足らないみたいだ。
患者にとっての医者は、ただ能力が高いかどうかではないんだなぁと実感する。まあ、相性と言ってしまえばそれまでだけど、それだけじゃなく、やっぱりこちらの不安に寄り添ってほしい、それができる医師であってほしいというのが、患者としては一番望むことなんじゃないかなぁと。
世に医療ドラマが溢れるほどあるのも、そう思う患者の立場になる人が多いからなんだろうなぁ。
そういえば、こないだの「神様のカルテ」もいいドラマだった。
ホンモノのお医者様たちには「あんなのは理想」と苦々しく思われるのかもしれないけど。
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