ひよこまめのEveryday

還暦過ぎたおばさんの日常。

ドラマ、映画、舞台、本、音楽などの感想も。

大阪松竹座の歌舞伎

2024-02-15 14:49:17 | stage

今月は大阪松竹座でも歌舞伎公演が行われています。

先週と一昨日とで、昼夜の公演を観ることができました。

こちらの公演は、成駒屋一門、片岡愛之助、二代目尾上右近、などの主演で名作を揃えた、こちらはこちらでとても見ごたえのある舞台でした。

 

昼の部の「源平布引滝」は愛之助さんが八面六臂の活躍。

「義賢最期」は瀕死の義賢の大立ち回りの迫力がすごい、

「竹生島遊覧」は琵琶湖に漂う船のところに登場人物の一人の小万という女性が波にもまれて流されてくる、という情景を舞台いっぱいに広げた布を使って描写していて、これまたリアルで迫力満点。

小万は大事な「源氏の白旗」を敵に奪われまいと腕に握っているのですが、結局敵方の船に助けられてしまう。

船には平家方と身を偽った、実は源氏方の実盛が乗っていて、敵に白旗を奪われるよりは、と小万の腕を切り落として旗を腕ごと湖に落とす。

その後も「えぇ~( ゚Д゚)」という展開が続くのですが、江戸時代の人たちの発想ってすごいなぁ、面白いなぁと毎回唸ってしまいます。

人形浄瑠璃が元なので、語りは義太夫節。これがまた良いんですよね~。

動きのないセリフばかりの場面なんかだと、話の筋がわかってるとついウトウト・・・ということもあるんだけど、義太夫節をBGMにウトウトするのがまた気持ち良かったりしてね・・・(いや、寝るなよって話だけど

 

夜の部の「新版色読販 ちょいのせ」は、初めて観た演目でした。

これ、こないだ東京で観てきた、大好きな「野崎村」(正式には「新版歌祭文 野崎村」)の続き、みたいな話で「へぇ~」でした。

作品としては別物みたいなのですが、お染久松の心中話というのは当時の実話らしいので、そこからいろいろな話が作られたってことでしょうか。

「ちょいのせ」っていうのは芝居の中で歌祭文(今で言うゴシップ誌みたいなもの)を「お前の頭にちょいのせじゃ」っていうちょっとコミカルな場面があるところから来ているようです。

でも話としては、最後は憎いやつを切り殺して心中する、という凄惨なものなので、なんかその感覚のアンバランスも面白いなーと。

「連獅子」は今回は三代目中村扇雀と息子の虎之介での親獅子・子獅子。

さすが親子だけあって、毛振りの息がぴったり合っていて見事でした。

そして、上方歌舞伎の代表作「曽根崎心中」

優男の平野屋手代・徳兵衛を尾上右近、恋仲の遊女・お初を中村壱太郎、徳兵衛の伯父で平野屋主人の久右衛門を中村雁治郎。

壱太郎くんのお初がとにかく可愛い。

右近くんの徳兵衛がねー、ちょっとカッコよすぎというか、シュッとしすぎというか。

生粋の東京っ子なので上方歌舞伎の粘っこさを出すのにはもう少し時間がかかるのかもしれないけど、もうちょっと弱弱しくあって欲しかったなと。

で、個人的には徳兵衛とお初が思い詰めて逃げていく話にもう一つ気持ちが入らないまま観てたんだけど、雁治郎さんの久右衛門の、徳兵衛を思う芝居でグッときました。

 

今回、外国人のお客さんがいつもより多かったような?

「これぞ歌舞伎!」っていう演目だったから、楽しんでもらえてたらいいんだけどな。

 

 

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感涙の猿若祭と爆笑のオデッサ

2024-02-08 11:20:56 | stage

今月の歌舞伎座は

十八世中村勘三郎十三回忌追善 猿若祭二月大歌舞伎

勘三郎さん、もう十三回忌ですか・・・

亡くなった時のあの絶望感は、12年経った今でも変わりません。

↓ その時のDN

 

慟哭

あってはならないことが起きてしまいました。十八代 中村勘三郎 死去。こんなことはあってはいけないんです。今の日本の演劇界で一番、死んではいけない人が死んでしまった。

DiaryNote

 

時は無常に流れて・・・でも息子さんたちを筆頭に中村屋は元気、なのが救い

今回も、超豪華なキャストで、高級フルーツ全部乗せフルーツパフェ、みたいなラインナップでした。

私が観たのは昼の部。

野崎村と籠釣瓶は、歌舞伎の演目の中でも特に好きなもので、三回忌の日取りが2月3日に決まった時には「やった!歌舞伎座観れる!

ってつい、喜んじゃったけど、もしかしたら母が「ついでに歌舞伎見て帰りなさい」って言ってくれたのかも。

だって、2月3日って、命日ドンピシャの日なんですよ。普通、法要って命日より前にするものでしょう?

でも、私の方は娘のことがあり、弟も仕事の都合があって2月3日になったのでしたから。

 

「野崎村」は田舎娘のお光がいいなずけの久松の帰りをウキウキしながら待つ場面から始まります。

勘三郎さんのお光は、そりゃあもう絶品でした。

それを今回は、勘三郎さんの部屋子だった中村鶴松くんが勤めています。

これがもう、芸としてはそりゃあまだまだでも、とにかくフレッシュ!カワイイ!

まだ若いし、まだまだこれから

対する、商家のお嬢様お染は正統派女形の六代目中村児太郎、と、若手を中心に据えた、これからが楽しみになる舞台でした。

大御所・中村芝翫と中村獅童の踊り「釣女」で笑って肩の力を抜いた後は、中村屋兄弟の「籠釣瓶花街酔醒」。

私はこの作品、初めて見たのは大学生の歌舞伎サークルの自主公演、つまり、素人のそれも大学生が演じた歌舞伎だったのですが、それでもめっちゃ引き込まれて、以来大好きな作品となったものです。

最初の見どころは、花魁の八つ橋が花道の七三でふっと振り返って微笑むところ。

今の時代は坂東玉三郎の八つ橋が頂点で、玉さまの微笑を見てしまっては誰もが佐野次郎兵衛になってしまうような妖艶な笑みなのですが、それを、玉さまの後継と言われている七之助さんがどうするか。

・・・と、観客全員が固唾を飲んで見入っている中での七之助さんのプレッシャーはいかばかりかと思いますが、美しい八つ橋でした。

勘九郎さんはどんどん勘三郎さんに似てきますが、やっぱり勘三郎さんとは違う魅力がある。

中村屋は安泰ですね。これからもますます楽しみ。

 

と、歌舞伎座を楽しんだ3日後の昨日、森ノ宮ピロティホールでの「三谷幸喜作・オデッサ」を観てきました。

三谷作品の舞台、初めて~、と思っていたら、2011年に「ろくでなし啄木」を観てました

どうもその時は「三谷作品だ!」と期待したほどではなかったらしく、それで記憶にあまり残ってなかったようで。

↓ その時の感想DN

 

ろくでなし啄木(ネタバレ)

謎に包まれた歌人石川啄木と、彼に翻弄された男と女の物語。 何が真実で、何が嘘か? 人間の裏表を描く文芸ミステリー 作・演出… 三谷幸喜 出演… 藤原竜也 、 中村勘

DiaryNote

 

でも今回は

これぞ、求めていた三谷幸喜

というもので大満足でした。

こちらはネタバレ厳禁作品なので、これ以上の事は書けませんが、とにかく、開演前から笑かしてくれました。

お昼前に出かけて明るいうちに帰って来られるという、休憩なし1時間45分という尺もいい塩梅でした。

いっぱい笑ってスッキリ

今日は夫の誕生日なので、張り切ってお料理しちゃおうかな

 

 

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今年の観劇初めは

2024-01-08 17:19:50 | stage

落ち着かないお正月も、松の内が明けました。

元旦に初詣に行ったあとは、5日に出かけるまでの間どう過ごしていたのか・・・あまり記憶にないです。

なんとなく気持ちが沈んで、なにをしても楽しめなかったなぁ、という感じ。

で、5日には今年の観劇初め、梅田芸術劇場でミュージカル「LUPIN」に行ってきました。

小池修一郎大先生が、フレンチロックミュージカルの大御所ドーヴ・アチアと一緒に、古川雄大のために作った大作ミュージカル。

先月、帝劇で幕を開けて、新年に大阪に来てくれました。

古川雄大のために作られただけあって、歌舞伎でいえば「お染の七役」ばりの、古川くん(ルパン)七変化な作品。

ただ、それだけのものにとどまらず、ミュージカル作品としてとても面白かったです。

年末に配信で、日本初演のミュージカル「ベートーヴェン」(主演・井上芳雄)を観たのですが、エンタメ性という意味で、私はルパンの方に軍配を上げたいかな。

そしてこの舞台のもう一つの目玉が、元宝塚宙組トップ・真風涼帆が退団後の初舞台だということ。

役としては柚希礼音とダブルなんだけど、やっぱり真風さんが見たいよね~、という人は多かったのではないでしょうか。(私もその一人)

男役時代は、もう男にしか見えないよね、というくらい男っぽかった人なのに、退団後すぐの舞台だというのにとても美しく色っぽく、今後の「女優」としての活躍が楽しみになりました。

舞台はやっぱり、エネルギーをもらえる。

今年も元気で舞台観劇ができたら、もうそれだけで十分だわ、と自分の立ち位置に戻れた感じでした。

 

さて、お正月休み気分も今日まで。

明日からは通常運転、と思うとなんだかちょっとホッとします。

 

 

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今年の観劇納め

2023-12-18 16:31:38 | stage

週末に東京へ、歌舞伎「ルパン三世」を観に行ってきました。

テレビ効果もあったのだと思うのですが、満員御礼だそうです。

本家ルパンも生まれてない時代の話ということでパラドックスもいいとこなんだけど、下手に「タイムスリップもの」にはせずにこの時代の話として押し通したのは、なんでもありの歌舞伎だからできること、と思います。

「ルパン三世」のアイコンをきっちり盛り込んだうえで、伝統的な歌舞伎のお約束事もフルコースのように入れ込んでいて、なんと見事な脚本なんだろうと唸りました。

それでまた、この一見ハチャメチャに見える「新作歌舞伎」が、今だからこそできた、わけではなく、歌舞伎としては王道であることがまたすごいなぁと思うわけです。

つまり、その時代の時事をネタにして観客を思いっきり楽しませる、という。

数年前のワンピースにしろ今回のルパンにしろ、100年200年先に「当時の流行りを元に作られたお芝居」として通用するものを、と作られているというのが本当にすごいなぁと、歌舞伎に携わる人たちの気概や覚悟が感じられる舞台でした。

今週の土曜日、23日に生配信があって、年明けまでアーカイブもあるようなので、お時間のある方はご覧になってはいかがでしょう?

今回はゆっくり遊んでいる時間がなかったので、帰りに銀座から日比谷まで歩いて、クリスマス気分を味わってきました。

東京ミッドタウン日比谷のイルミ。

ここから右方面に行くと・・・東京宝塚劇場があります・・・

切ない・・・

先週は雪組千穐楽の生配信があったのだけど、迷った挙句、観れませんでした。

ホントは見てあげることが応援になるのだとはわかっていても・・・自分としては、わだかまりなく観れるようになるまではダメかもな・・・ダメというのは、観たいな、観ようかな、と思っても実際に見ることができない、という意味で・・・どうしても辛くて見ることが出来なさそうです。

でも、この時は日比谷シャンテの中にあるキャトルレーヴ(ヅカグッズの公式店)に行ったり、小さな会場でしたが衣裳展を見たり、はして、少し気持ちが慰められました。

やっぱり私は、宝塚歌劇が好きです・・・・・

先週末、劇団から、年明けからの公演数の縮小などが発表されたのだけど、散々チケットを売り出しておいてからの日程変更はあんまりなやり方で、少しずつなだめている気持ちがまたざわついてしまいました。

とにかく会社がダメダメだ・・・劇団員のこともファンのことも大事に思っている気がしない。

そういう部分で、先行きに光が見えなくて辛いのです。

この年末は、今まであまり経験したことがない気がする「年が改まることに希望が持てない年末」です・・・

 

 

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舞台「ねじまき鳥クロニクル」

2023-12-03 23:35:00 | stage


大阪梅田アプローズタワーのクリスマスツリー。
今年もこれが見れて幸せ😃💕

シアター・ドラマシティで舞台「ねじまき鳥クロニクル」を観劇。


夏ごろだったかちょうど小説をAudibleで聴き終わったタイミングで舞台のお知らせが来て、あの「壮大な例え話」のような村上春樹の作品をどう可視化するんだろう?という興味で思わず抽選申込したら当たったのでした😃

抽象的観念的なところは予想通りでも、その見せ方は意外で斬新で、演劇って表現なんだな、役者って表現者なんだなと、よく考えれば当たり前の事を思い出したという舞台だった。

役者さんたち全員、底力を見せてもらったって感じ。
特に、例の「皮剥ぎ」を語る間宮中尉役の吹越満の20分になんなんとする一人芝居は圧倒される。
あと、元宝塚花組の音くり寿の、加納マルタ・クレタを1人2役も圧倒的な存在感だった。
首席入団の娘役さんで、その割に手応えのある役が来ないうちに退団した印象だったけど、早めに外に出て正解だったねと思った。
すごく魅力的な役者さんで、いろんな役が見てみたい。
活躍を祈ります。

今月は東京まで歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」を観に行くのと、来年年明けには古川雄大くんの「LUPINルパン~カリオストロ伯爵婦人の秘密」のチケットが取れていて、ルパンで暮れてルパンで明ける年末年始になります。