ひよこまめのEveryday

還暦過ぎたおばさんの日常。

ドラマ、映画、舞台、本、音楽などの感想も。

小説を「聴いて」みた

2022-12-22 09:28:24 | 読書

私は昔から家事をしながら何かしら聴いている人なので、音楽ばかりでなく朗読ももっと普及してくれないかなとずっと思っていました。

アニメ・ゲーム界隈では「ドラマCD」というものがあって、ひと頃はそれを重宝して聴いていましたが、もっと一般的な小説の朗読は出ないものかと願っていたものです。

それが近年「オーディオブック」という形で急速に発展してきていて、嬉しい限りです。

出始めは生の人の声ではなく、AIによる自動読み上げみたいなところから始まって、それはやっぱり発音や抑揚という面で聞くに堪えなかったけど、最近はちゃんと生身の人間による朗読が増えてきた、というか、一般的になってきました。

ただ、いざ使ってみよう、と思ったときに、はたして「ながら聴き」で小説をしっかり聴けるのかな、聞き流してしまうのでは作家にも作品にも申し訳ない、という不安が出てきて、しばらくは「お試し」をちょこちょこ聴くだけでしたが。

今回、Amazonオーディオブック❝audible❞に「これは是非聴きたい!」というものを見つけて、本腰を入れて聴いてみました。

西加奈子さんの直木賞受賞作「サラバ!」という小説。

ナレーターは俳優の松坂桃李。

この作品にはぴったりのキャスティング・・・とは言わないかもだけど、すごく合ってました。

もとからして文庫で上中下の大作、オーディブルでも上:7時間48分、中:7時間18分、下:6時間38分、合計21時間超という長丁場の朗読は、もちろん何日もかけて録ったのでしょうが、それでも、男女問わず登場人物を演じ分けながら一貫性を保って読み続けるというのはとても難しいことなのではないかと想像するので、そのことにも感動しました。

弱点かなと思ったのは、読む-聴くという中では日本独特の「漢字」による表現が難しい事。

今回の「サラバ!」に関しては、主人公の名前が「あくつ」という苗字なんですが、脳内イメージでは「阿久津」さん、でも実際は「圷」さん。

主人公の姉の名前は「タカコ」、それも、私の脳内イメージでは、そのキャラクターからはどの漢字もイメージされずカタカナで「タカコ」だったんだけど、それも実は「貴子」。

内容的に、これらの名前にも作者としてはこだわりがあったんじゃないかなと思われるので、その点では日本語の小説を「聴く」ことにはちょっと限界があるかも、とは思いました。

そして、西加奈子著「サラバ!」について。

中東と大阪、東京を行き来しながら進む物語は、登場人物もバラエティに富んでいてカラフルです。

進行役の歩(あゆむ:主人公一家の息子)の人生を中心に進む物語は、歩の人生が途中まではそうであるように、前半はちょっと冗長にも感じます。

ただ、ラストに向かって大きくうねっていく流れからは、作者の思いの強さも感じられました。

「自分の信じるものを人に決めさせてはならない」というテーマは、今の時代に生きる人にとってはわかっていても難しいことだなと思うけど、それを追求していくのが人生だよ、ということなのでしょう。

 

今は、村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」を聴いています。

語りは俳優:藤木直人。

めっちゃいい声。ソフトな語り口。小難しい村上春樹作品(^_^;)を軽やかに聴かせてくれています。

たくさんの作品が上がっていて、名前の知らないナレーターさんも多いのですが、村上春樹作品は別格のようで、各作品、語り手が木村佳乃、高橋一生、永山瑛太、イッセー尾形、仲野太賀、松山ケンイチなどなど、錚々たるメンツです。

途中で読むのを挫折した「IQ84」も、杏・柄本時生というこれまたすごい二人で出ているので、来年は「オーディブルで村上春樹イヤー」になるかもしれません。

 

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ のんびり暮らしへ
にほんブログ村

 

 


最近読んだ本

2022-12-13 10:03:48 | 読書



◆「ザリガニの鳴くところ」デューリア・オーエンズ
 
映画は、絵的にとても美しく癒しもあり、雰囲気はとても良かったのですが、
ミステリーなのか、恋愛ものなのか、社会問題を訴えているのか、要するに映画の焦点がぼやけているような感じがあってモヤモヤしたので、
原作を読んでみました。
 
読んでみると、原作は純粋に「ミステリー」だなと。
殺人事件を核に、作者の持論が展開されているもの、だと思いました。
 
作者の持論とは、人も自然の一部だ、ということ。
カマキリが交尾の済んだオスを食べてしまうことを、誰も罪だとは言わないでしょ、という。
 
理屈としてはわかるんだけど、共感はできませんでした。
罪悪感、というものを持つからこその人間、なのではないかと。
それこそが「ヒト」という種の特性なのではないかと。
 
でも、読んでみれば疑いもなくミステリーであるこの作品を、あそこまで詩的な映画に仕上げた監督の感性は素晴らしいと思いました。
 
 
◆「無人島のふたりー120日以上生きなくちゃ日記」山本文緒
 
昨年10月に亡くなられた作家山本文緒さんの日記。
突然、膵臓がんステージ4bを宣告され、抗がん剤治療を断念してから亡くなる直前までの日記です。
 
歳が近くて勝手に親近感を持っていた山本さんの突然の逝去は少なからずショックでした。
そして、そういう方が残された、余命宣告を受けた後の心理、というのを知りたいと思いました。
そのため、自分だったら・・・という思いを常に持ちながら読みました。
 
淡々とした文章から、辛くて悲しくて寂しい気持ちがにじみ出ているように感じました。
でもそういった気持ちを持ちながらも日々、やりたいこと、出来ることを探して実行し、興味のある本を購入して読み、そうした日常を
きちんと送っていること、そして、そのような日々の中で、常に人への感謝を忘れずに表現していることに、感服しました。
身近で献身的に動いてくれる夫さんがいらしたことが、どんなにか慰めに、そして最後の生きる力になったことだろうかと思いました。
 
まだまだ書きたいことがたくさんあったであろう作家人生が途中で絶たれたことに、心残りがなかったはずはないのですが、
未練がましいことは表に出さず、こうなったら人生をきっちりしっかり締めくくろう、という意志-気概と言っても過言では
ないのではないかと思えるーが伝わってくる日記でした。
 
還暦を過ぎて、仕事からもリタイアした今、自分のステージは「余命」の段階に入っていると感じることがあります。
具体的な終わりは見えていなくても、この先に必ずある終点を意識してそこまできちんと生きていけるように心がけて
いかねば、と心に刻んだ本でした。
 
 
◆「家 ごはんと野球」亜希
 
亜希さんとは、元プロ野球選手の清原和博氏の奥様だった亜希さん。
離婚した2014年から8年間のインスタ投稿を中心に、ところどころにコラムが挟まれて構成されてます。
 
この方もまた、強い女性。
でも、強く見せることで自分を鼓舞して生きて来られたんだろうな、と思います。
その原動力となったのは、まぎれもなく「母」という立場でしょう。
ここに見えてない部分がたくさんあって、そちらの方が本来の亜希さんで、
私のような一読者が、その部分を支えるほんの僅かな力になれてたらいいな、と思いました。
 
清原氏とはいろいろあったことでしょうが、いま亜希さんは清原氏の個人事務所の代表を務め、清原氏を含めて「うちの家族」と
表現される。
ここまで来られるまでの道のりの険しさを、離婚-復縁、を経験した私は少しわかってあげられる気がする。
野球選手の清原氏を私はずっとずっと応援してきています。
それは、彼の弱さや純粋さが見えるから。
だから、縁あって一度は夫婦になった二人が、今形を変えてまた繋がっていることが嬉しいです。
亜希さんにも、感謝の気持ちが大きいのです。
 
 
さて、今年はこれで読書納めかな・・・もう1冊ぐらい読めるかな・・・
来年に持ち越しの積読本はまだまだたくさんあるのでした
 
 

 


どうにも進まない(^_^;)

2022-08-09 12:11:11 | 読書

毎日暑いですね。

買い物は数日おきにまとめ買いにして、なるべく外に出ない暮らしをしているのですが、若い頃のような「夏バテで食欲が・・・」ということが全くないので、夏太り気味のワタクシでございます。

ワンダーコアぐらいでは焼け石に水(もっと真剣にやれって話?

で、家にこもって何をしてるかと言うと、最近は読書に勤しんでいるのですが・・・

どうも最近は、これもまた若い頃のように、手あたり次第、何を読んでも面白い、というわけにいかなくなってきて。

なんなんでしょうね、この感性の鈍りっぷりは

習い性で、書店に行くとあれもこれも「読んでみたい」と思ってつい買ってしまうのですが、それだけで満足してしまった「積ん読本」がいっぱいです。

手芸用のハギレもですが、これから死ぬまでに消化しきれるか、って感じ

ま、そう思うと「忙しい!時間を無駄にはできない!」と思えて、それもまた良しって感じではあるのですが

 

それで今は、その中から浅田次郎著「蒼穹の昴」を読んでいます。

実は、10月から11月にかけての宝塚歌劇で、これが舞台化されるのです。

友達から「原作、めっちゃ面白いから」との大プッシュがあり、じゃあとばかりに読み始めたのですが、これが・・・

漢字が多いのと(小学生か)、ルビがふってあるのですが、それが中国語読みなので、全然覚えられなくて、全然進まないのです・・・

はじめのうちは、もう自己流で日本語読みで読んじゃおう、と思っていたのですが、途中でふと「舞台では中国語読みでの役名になるんだろうなぁ」と気づき、やはりルビ通りに読まねば、と頑張っているのですが・・・

今、全4冊のうちの2冊目に入ったところなんですが、相変わらず「これ、なんて読むんだっけ・・・」が無くなりません。

なので、ここまでのストーリーも大まかにしか入ってきてなくて・・・

舞台のチケットは現在絶賛発売中なので、観劇が叶うかはまだわかりませんが、せめて配信では観たいのでなんとしても10月が終わるまでには読了しておきたいんだけど・・・

NHKで放送されたドラマも観てないので、配信でそちらを見てからの方がわかりやすいかな、とか、ドラマ見ちゃうと本読む気が無くなっちゃうかな、と迷っております。

こういう長編大河小説、大好きだったんだけどなぁ・・・

 

 

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ のんびり暮らしへ
にほんブログ村


本と出会う喜び

2022-04-27 21:16:53 | 読書

今、この本を読んでいます。

著者の島崎今日子さんのインタビュー集です。

先日行った京都のミニシアターで見つけて、興味を惹かれる方々のお名前が並んでいて思わず買ってしまいました。

今、木皿泉さんまで読んだところです。

お一人お一人の生き様に圧倒されています。

皆さんに共通して思うことは、皆さんそれぞれ、神様から役割を与えられて生まれてきた人たちなのでは、ということです。

私のような凡人からは、その使命ゆえに「大変ないばら道」を歩いているように思える人生ですが、その道を生き生きと歩んでおられる姿からは、「なんという幸福な人生を送っておられるのだろう」という羨望も感じます。

「人の幸福」というものの多様性を感じます。

楽で楽しいだけが幸福ではないんですよね、単純な言い方になっちゃいますが。

険しく苦しいように見える道のりでも、その険しさ苦しさを超えながらその道を歩んで行くことに、その方の幸福があるのだろうと思うのです。

若い人にはすごく刺激になる本なのではないかな。

自分はどう生きたいか、どう生きるべきか、自分にとっての幸福とはなにか、という、人生における命題と向き合うきっかけになる気がします。

すべての人が、この方たちみたいに大きな結果を出す必要はないと思うのです。

自分が納得できる生き方ができるかどうか。

もう若くない私も、自分の今までを振り返りながら、まだ続くこれからを考えてみようと思う本でした。

 

最近は、本を買うのは新聞の書評などを参考にピンポイントで買うことが多くなりました。

たまにあてもなく書店に入っても、「○○賞候補作品」とか「実写化原作」とか「今、話題の本」とか、人気作家の新旧の作品ばかりが山積みされてるとか、いやでも目を惹かれるようなレイアウトになってて、「雑多な中からピンとくるもの見つける」という楽しみが薄れてきたように感じます。

今回のこの本は、そういう昔ながらの「本に出会う喜び」を味わわせてくれた本でもあり、内容も「よくぞ見つけたり」と思える充実したもので、嬉しい一冊になりました。

 

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ のんびり暮らしへ
にほんブログ村


あさのあつこ「弥勒の月」

2021-10-19 12:22:17 | 読書
ワクチン休暇中です(笑)
 
先に2回目を終えた夫と息子が相当しんどかったようで、私が2回目を受けるにあたり「2日間は何にもしなくてよい」とお墨付きを頂いたので、心おきなくのんびりしています。
 
(そんなこと言われなくても、いつも心おきなくのんびりしているんだけど
 
とはいえ昨日は、午前中はブログ書く余裕もあったのに、お昼ごろから急に発熱。
38.8度まで上がったところで解熱剤を飲んだら、割とあっさり楽になりました。
でも、まだ起きるとフラフラするし・・・と、ベッドの中で読書することにしました。
 
「燃えよ剣」の余韻が残っているせいか、時代物が読みたいなーと思って、積読棚から選んだのはこれ。
 


読みやすいのと面白いのとで、3時間ぐらいで読了。
 
これを第1作として、「弥勒シリーズ」としてずっと続いているようです。
 
主人公の同心・木暮信次郎は、若さゆえの角がびんびんに立っている男で、還暦過ぎのオバチャンにはちょっと苦手だったけど、シリーズ化してるとなると登場人物の成長なんかも見られるかもしれない、と思うと気になります。
 
今回の物語は、この時代ならではの切なさ、やるせなさのあるものでした。
 
そして、遠野屋主人・清之介の幸せを切に祈りたい
 
それも気になるから、ここはやっぱりシリーズを読まなくちゃならねぇな