猟盤の日々改めDEADMAN IS ALIVE!

ヴィニル・ジャンキーの猟盤話から死んだ人の話を経て、呑み屋の話になったり、ギターの話になったり。。。

John Updike,J D.Salinger Robert B.Parker R.I.P

2010-02-09 | 訃報
 去年の1月にジョン・アップダイクが亡くなって、何か書こうと思いつつ忘れていた。

「米国の地方に住む中産階級の日常をリアルに生き生きと描いた作品などで知られるピュリツァー賞作家、ジョン・アップダイク氏が27日、肺がんのためマサチューセッツ州内のホスピスで死去した。76歳だった。アップダイク氏の著作の出版元が公表した。

 1932年、ペンシルベニア州生まれ。ハーバード大卒業後、雑誌ニューヨーカーのライターなどをへて59年に「プアハウス・フェア」を発表した。

 バスケットボールの元花形選手でいまは販売員として平凡な生活を送る男性を主人公に、60年からほぼ10年おきに出版された「ウサギ」4部作は時代や社会風俗を巧みに織り込んだ作風が高く評価され、同氏の代表作となった。このうち「金持ちになったウサギ」「さようならウサギ」はピュリツァー賞を受賞した。」(MSN産経ニュース)

 二十歳前後のとき、倉橋由美子のエッセイで「カップルズ」という小説を知った。夫婦のスワッピングの話で、三浦和義のオレンジピープルよりずいぶん前のことだ。それからさかのぼって「走れウサギ」などのいわゆるウサギ4部作や「ケンタウロス」など白水社の彼の本にはずいぶんお世話になった。

Rabbit, Run (Penguin Modern Classics)

Penguin Classics

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 2001年の8月にNew Yorkに仕事で行き、アルゴンキン・ホテルに泊まれることになった時、『ニューヨーカー』誌のライターの溜り場だったそこのレストランで、アップダイクを想った。そこではフィリップ・ロスやスコット・フィッツジェラルドも一緒にラウンドテーブルを囲んで毎晩、議論していたのかもしれないのだ。

 アーサー・ミラーも好んでいたドライマティニで有名な「BLUE BAR」も毎晩通った。ある晩、カウンターに座った一人の男がドライマティニにオリーブの漬かっている汁も入れてシェイクしたものをおいしそうに飲んでいた。それを見ていた僕も真似をして頼んでみたのだが、それはジンの味はいっさい無い、ただのオリーブ・ジュースみたいで本当に不味かった。ちなみにホテルオリジナルの『アルゴンキン・マティニ』はジンは使わずステアではなくシェイクする。レシピは以下。

ウォッカ --- 20ml
ライ・ウイスキー --- 20ml
ドライ・ベルモット --- 10ml
パイナップル・ジュース --- 10ml
マラスキーノ・チェリー

 その翌月の11日、New YorkのWorld Trade Centerはボーイング767が激突して崩壊した。

The Catcher in the Rye

Little, Brown and Company

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 そして、今年になってサリンジャーの死が発表された。

「小説「ライ麦畑でつかまえて」で知られる20世紀米文学を代表する作家、J・D・サリンジャーさんが27日、米北東部ニューハンプシャー州コーニッシュの自宅で死去した。91歳だった。同作を書いて以降、ほとんど作品を発表せず、隠とん生活を送っていたため、生きながらにして伝説の作家になっていた。同氏の長男で俳優のマット・サリンジャー氏が28日、声明を出した。自然死だったという。サリンジャーさんはポーランド系ユダヤ人とアイルランド系の両親のもと、1919年、ニューヨーク・マンハッタンに生まれた。10代で執筆をはじめ、40年、ストーリー誌に掲載された「若者たち」でデビュー。42年に米軍に入隊し、ノルマンディー上陸作戦(44年)にも参加した。

 戦後、ニューヨーカー誌に発表した短編が評判になり、51年の『ライ麦畑でつかまえて』は大ベストセラーになった。成績が悪く高校を追い出された主人公の屈折した感情を、攻撃的な言葉で表現し話題になった。主人公の名「ホールデン・コールフィールド」は、戦後、悩める若者たちの代名詞になるなど社会現象を巻き起こした。しかし、身辺が騒がしくなったことを嫌った同氏は53年、突然、ニューハンプシャー州の田舎町で隠とん生活に入り、メディアに登場することもなくなった。」(AP)

 僕は「ライ麦~」よりも短編集ナインストーリーズの中の“A PERFECT DAY FOR BANANAFISH”『バナナフィシュにうってつけの日』がいちばん好きだ。主人公Seymour GlassはSee More Glass?バナナフィッシュとは何なのか。謎に満ちた不思議な小説。
ちなみに僕の知人は西麻布で「BANANA FISH」というバーを開いている。

http://r.tabelog.com/tokyo/A1307/A130703/13057594/dtlrvwlst/765480/

九つの物語 (集英社文庫)
J.D. サリンジャー
集英社

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Dream Catcher: Reflections on Reclusion

Scribner

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上は娘のMargaret Salingerが書いた伝記本、未読。

Cold Service (Spenser)

Berkley

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そして、さいごは私立探偵スペンサーを主人公としたハードボイルド小説で有名なロバート・B・パーカー。

「ロバート・B・パーカー氏(米作家)19日のAP通信などによると、米マサチューセッツ州ケンブリッジの自宅で18日死去、77歳。死因は不明。32年同州生まれ。ノースイースタン大などで教えるかたわら、73年に私立探偵「スペンサー」を主人公とする「ゴッドウルフの行方」でデビュー。76年発表の「約束の地」で米国推理作家クラブ最優秀長編賞を受賞した。テレビドラマ化もされた「スペンサー」シリーズが人気を博し、ハードボイルド作家としての地位を確立した。」(共同)

この三人の共通点は何か。
それは『村上春樹』が好んだ作家だったということ。文体ほんとに似てる。
それにしても死ぬまで自作を映画化させなかったサリンジャーは偉かった。

風の歌を聴け [DVD]

ジェネオン エンタテインメント

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1979年に出版された村上春樹の「風の歌を聴け」を読んだ僕は1981年公開のATG制作のこの映画をどこかの映画館で観た。大森一樹は苦手な監督だったが、原作は気に入っていたので少しだけ期待していた。でもやはり監督との相性が悪かったのか悲しい出来に思えたのだが、30年経った今、もう一回DVDで観てみようかという気持ちになっている。

 ところで1978年頃つき合っていたガールフレンドと千駄ヶ谷の鳩森神社のそばにあったジャズバーにときどき行っていた。彼女の女友達の自宅が近くだったのだ。そしてその店の静かなマスターはいつもジャズのレコードをかけていた。
 その「ピーターキャット」という店のマスターが村上春樹であることを知ったのはずいぶん経ってからだ。
 
コメント
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