小学生の頃からAKB48が大好きです。きっっかけはドラマ「マジすか学園」のパート1でした。ヤンキーの少女たちが頂点に向かって闘うストーリー。みんなかわいくて演技が上手なので、女優だと思っていました。主人公の前田敦子さんと戦う四天王のひとり、シブヤ役だった板野友美さんがかっこよかった。板野さんについて調べると、アイドルグループのメンバーだったとわかり、そこからAKB48に興味をもちました。
ライブや劇場公演のDVDを見てびっくり。ヤンキー少女の印象が強かったけれど、実際はアイドルそのものでした。テレビではずっとアイドルではなく、女優さんだと思って見ていましたから。ドラマで前田敦子さんはメガネをかけていたので、普段もメガネをしていると思っていました。だから実際は違うとわかったときは驚きました。
その頃はアイドルもドラマもあまり興味がありませんでしたが、AKB48だけは例外。マジすか学園はパート2もパート3も見ました。板野さんに会いたくて握手会にも行きました。まだ小学生だったので、「何歳なの? 若いね」と言って下さいました。ドラマで見た怖いイメージとは正反対。優しくて神対応でした。
AKB48は見ているのは楽しいけれど、入りたいとは思っていませんでした。たまたま母とAKB48の公式アプリを見たときに15期生募集の知らせが載っていました。「15」は私にとって縁のある数字でした。誕生日は15日。その時のバスケ部の背番号が15。「15期生だから受けてみれば」と母に勧められて軽い身持ちで受けました。
審査中に後で同期になるまなみ(市川愛美)とめぐ(谷口めぐ)とわいわい騒いでいて、みずき(土保瑞希)に怒られました。選考が進むにつれてがんばった記憶があります。
ファンの立場で見ていたAKB48と、実際にメンバーとして活動するAKB48はまったく違いました。「こんなに大変だったんだ」と知ったのは公演の早替え。ひとつの曲を終えた後、その次の曲の2番から出ることもあります。短い時間で衣装だけでなく靴も替え、舞台に戻ります。早替えが近づくと、今でも緊張します。
レッスンの振り入れも苦労しました。私たちは最初、振り付けの先生がつきっきりで教えてくれましたが、先輩たちはDVDを見て、鏡を見ながら練習して覚えていました。しかも覚えるスピードが速い。私も今はようやく慣れてきて、踊るのが楽しくなりました。
握手会も多くのファンの方と色々な話題に対応しなくてはなりません。初めての日は目が回って、頭が追いついていけませんでした。実は男の人とはどのように接していいかわかりませんでした。3人姉妹の真ん中。学校でも女の子たちとばかり仲良くしていたせいか、何を話せばいいのかまだつかめなくて。だけど最近は私が出演した「セーラーゾンビ見たよ」「マジすか学園見たよ」と話題をふって下さるので、楽しく話しています。男の人と接するのも慣れてくると思っています。
ファンの方からはSNSの「755」でクールなイメージに見られることがあります。自分では「そうでもないんだけどな」と思っています。そんなに考えずに自然体で書いています。顔文字をつけるときもあれば、サーッと流すように書いているときもあります。その日のテンションが表れているのかもしれません。
MCもまだ苦手です。モバイルメールとかぐぐたすはおもしろいけど、舞台のMCは緊張してるね、と言われます。メンバーにはクールというよりも「うるさい」と言われています。
AKB48に入りたい、という思いしかなかったので、今はまだ夢がはっきりしません。最初の頃は歌手と答えていましたが、研究生時代に先輩の岡田奈々さんの歌を目の前で聴いて、歌唱力のすごさに「私は岡田さんのようにはなれない」とあっさりあきらめました。
AKB48の活動そのものが好きです。特に公演やライブのお仕事が好きです。AKB48劇場は客席との距離が近いので一体感があります。奥の方まで顔が見えるし、声も聞こえます。演技、バラティー番組、歌とダンス。たくさんのことをしなくてはならないので、大変ですが、少しずつ自分のものにしていこうと思っています。
今は私がAKB48に入るきっかけになった「マジすか学園」のパート4に出演しています。決まったときはめちゃうれしかったです。生徒Aでも出演さえできればと願っていましたが、名前のある役をいただけました。役名はゾンビ。カミソリ役の小嶋真子さんとの1年生最強コンビです。ドラマはテレビで見るのと演じるのでは全然違いました。ドラマではけんかの殺陣シーンがありました。稽古で受け身やけり技を覚えました。「じゃねーよ」みたいな言葉は普段、使わないので、勢いでやりました。
主役の宮脇咲良さんと闘うシーンは本格的でした。格闘シーンはダンスのように動きの形が決まっていないので、難しかったです。「(相手に)やられた後の演技が重要だから」と指導を受け、演じきりました。SNSで「カミソリゾンビの最強1年生がむかついた」という投稿を目にして、真子さんと「イエーイ!」と喜びました。「生意気だ」と思ってもらえる演技がしたかったんです。
舞台のお仕事も楽しいです。ドラマはストーリーの前後に関係なく撮影するので、感情を込めるのが難しいですが、舞台はストーリーの順序に沿って進んでいくので、自分の中で気持ちの流れがつくりやすいです。
舞台の「AKB49」では、宮澤佐江さんや俳優の日野陽仁さんの演技が勉強になりました。ひとつひとつのセリフに気持ちがこもっています。宮澤さんは泣くシーンでも毎回、本当に泣いているので、すごいと思いました。演出家の方から、大きい声の出し方や、身ぶり手ぶりの入れ方など、舞台での演技も教わりました。
AKB48の先輩たちの素顔も見ることができます。尊敬するのはたかみな(高橋みなみ)さん。例えば、歌番組の収録で休憩があると、楽屋でメイク直しをしますが、一番早くすませて誰よりも早くスタジオに戻ります。すごい先輩だな、と思います。大人数のリハーサルでも、大きな声でみんなに聞こえるように一人で指揮をしています。
まだ経験も浅く何もわからない時期に「セーラーゾンビ」の主役や選抜メンバーになりました。こうしたチャンスをいただいているので、頑張って実力をつけたいと思っています。
私が今、いちばん落ち着くのは同期の15期生の仲間といる時間です。15期生はひとりひとりがしっかりしていて個性的です。(36枚目の)シングル曲「ラブラドール・レトリバー」では1人だけでしたが、(38枚目の)「希望的リフレイン」ではみーおん(向井地美音)がいたので、安心して力を出せました。大変な仕事があっても、あたたかい居場所があるから何でもできる気がします。みんなで成長していきたいです。
◇
次回はHKT48の秋吉優花(ゆか)さんです。