このあいだのライブで
リクエストがあって使用したムスタングの小話をひとつ。
僕のムスタングベースの最初の所有者の名はヴィクトリア。
なんでかって言うと
フェンダーは当時
その楽器を買ったオーナーの名前を
ケースの一部に刻印していたから。
ムスタングはもともとスチューデントモデルといいて
初心者や女の子にも演奏しやすいように作られたものだ。
1969年製のコレを手に入れたヴィクトリアは
名前からして
きっと当時10代の少女だっただろう。
フェンダーの母国だから多分アメリカ人。
それから40年たった今
ヴィクトリアのものだったムスタングは
海を渡り日本の僕のところで元気にやっている。
少女だったヴィクトリアは
今頃60歳手前のイイおばさんかな?
探偵ナイトスクープかなんかで
このヴィクトリアを探して
会わせてもらえないかな(笑)。
このムスタングに会って
再び手にしたら
その頃の熱い気持ちとか
楽しかった思い出とか
一瞬にして彼女の胸によみがえるだろう。
ヴィンテージの楽器には
それぞれのそんな念が宿っているから
こんなに切なくて深い音がするんだろうな。