+3Kの牛の如く

前に向かってひたすら歩く。
感動し、希望を胸に、明るく楽しく元気に。
大地を踏みしめて歩く。牛の如く。

祖母山、山小屋での出会い

2010年07月25日 | 祖母・傾山系
祖母山頂での記念写真撮影後、九合目小屋に向かった。
15時30分、小屋に着くと行進曲?のような音楽が大音量で流れていた。
私は、入口でリュックを降ろし、濡れたレインウェアを脱ぎながら管理人さんを待った。
私の気配を感じたのか、管理人室から管理人さんが出てきた。
早速宿泊を申し込んだ。聞けば昨夜も6名だったそうで、今日は予約は入ってないと言う。
では、今夜は山小屋を独り占めして、祖母山について管理人さんから色々教えて貰おうと思いながら小屋に入った。
荷物を解いて、水場に行って汗を流した。雪解け水のように冷たい水だったが疲れて火照った身体には心地よかった。
16時過ぎには水を汲んで小屋に戻り、一人、今日の山行を振り返り感慨に耽りながら、持ち上げたビールを口に運んだ。
「黒金尾根の急登で喘いだ分だけ喉越しのビールが美味しかった。」
豚バラを突きながら、管理人さんと登山口の車の駐車状況を話していたら、「今日はもう他に来ないな」という話になった。
ただ、大障子岩コースなら10時間、上畑コースなら11時間位は掛かるから、「18時過ぎに来る人がいるかもしれない」ということも話していた。

そんな話をしながら飲んでいると16時40分頃一人小屋に着いた。
彼もバタバタと濡れたウェアの整理をして、同じテーブルで食事をすることになった。
早速、自己紹介をして旧知の仲のような会話へと移っていった。
彼(岩見氏)は広島から単独で来ていた。昨日、豊栄鉱山跡の九折登山口から入山し、坊主尾根コースを通って傾山に登り、昨夜は九折越小屋に泊まったという。
今朝は6時に小屋を出て、本谷山、古祖母山、障子岳を経て祖母山に登ってきたという。実に11時間近く縦走したことになる。
元々テント泊するつもりだったようで、重いリュックを背負っての縦走が出来る凄い健脚の持ち主である。明日は、大障子岩、前障子岩を経て上畑建男社登山口に下りるという。

17時45分過ぎた頃、更に一人が山小屋に着いた。
彼もまた同じテーブルに加わった。彼(梅野氏)は北九州から来ていた。
彼は、7時に上畑登山口からスタートし、前障子岩、大障子岩を経て山小屋に着いたという。
彼は、明日は九折越小屋まで縦走し、そこで泊まり、翌日傾山から坊主尾根を下りる計画で入山していた。
ただ今日の雨には閉口したらしく、縦走の戦意を失くしているようであった。

それから30分後、18時15分頃更にもう一人小屋に着いた。
彼もまたテーブルに加わり、テーブルの四方が埋まり会話が弾んだ。
彼(阪中氏)は千葉から来ていた。昨日空路大分に入り、レンタカーを借りて九折登山口近くの民宿に一泊し、今朝は上畑の登山口から前障子、大障子岩を経てここまで来たという。
彼の予定も北九州の彼と同じであった。
彼はかなり山慣れしているようであったが、7時30分出発で18時15分着、10時間45分を要した山行を終え、「九州の山がこんなに厳しいとは思わなかった」と感想を言っていた。
また、「山と高原地図」(昭文社発行)の時間表示は「30代の若者の足」ではなかろうか等の話も出てきた。
通って来た者、明日向かう者とそれぞれに登山道の状況、特に鹿の背の渡り方、コースの迷いやすい場所、祖母山からの岩場の下り、ハシゴ場、古祖母の下り等々、今日実感したことが次々飛び出し、臨場感溢れる情報交換をしながらの楽しい食卓が続いた。
規則では21時が消灯時間であったが、今夜だけは管理人さんの好意で22時消灯ということになった。

楽しい会話の後、明日の天気の回復を祈って、それぞれに眠りについた。
「山登りの何がこれ程までに惹きつけるのだろう」「何を求めて登るのだろう」等とあれこれ考えているうちに深い眠りに落ちていた。

翌日、広島の彼は鹿の背の通過を気にしていたが、結局6時過ぎ、大障子岩から上畑目指して出発していった。
私は当初から宮原経由で尾平へと下山予定だあったが、結局北九州の彼も同行することを決めた。
私達は、6時30分過ぎに小屋を後にした。千葉の彼も用意をしていたのでそう遅くない時間に九折越小屋に向けて出発したに違いない。

馬の背を通る頃祖母を振り返っても霧に隠れていた。


馬の背を過ぎて1600mを過ぎた頃から少しずつ天気が回復してきて、縦走路に木漏れ日が注いできた。


宮原の分岐には40分で着いた。漸く木の間から青空が見えてきた。


この分だと、広島の彼も、千葉の彼も昨日のような雨に遭うこともないから、危険も少なく歩けるかもしれない。そんな思いを巡らせながら、尾平へと下った。

1200m近くまで下りた頃、大障子岩尾根方向から鹿の円やかな鳴き声が「ぴぃよーぴぃよー」と聞こえてきた。
我々を見送っているのか、広島の彼を出迎えているのか、そんな思いが頭をよぎった。

また、日差しとともにクマゼミの「ぐぁミーぐぁミーぐぁミー」の重い声が遠くから響いてくる。
身近には「じぇミじぇミじぇミー」のミンミンゼミの声。
時折突然に、身近な木から「ギィッ」とアブラゼミが驚いて鳴いて去っていく。
漸く暑い夏山を歩いている感じになってきた。

予定通りほぼ3時間で吊橋に着いた。

奥岳川の川音も昨日より少し静かになり「ザーザーザー」と流れていた。


無事登山口まで戻った。登山届けに下山の報告を記し、彼を車を置いている旧上畑小学校まで送って行き、今後の健闘を約して別れた。

今回の祖母山は天候には恵まれなかったが、いい出会いがあった。
千葉の彼を除いて3名は、団塊の世代であった。話ではそれぞれにまだ仕事をしているようだった。
「元気が何より」「まだまだ頑張りが足りないな」「まだまだ大丈夫」そんな励ましを受けたような気がした。

そして「健康のバロメーターとして登山に励むのもいいな」と思いながら、山頂の自分の写真を見た。
すると「メタボのお腹を一段と絞らねば」の声が聞こえてきたようだった。
次は少しスリムに見えるようアングルを変えようかな・・・。




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4 コメント

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「麦酒」の味 (山馬鹿)
2010-07-27 21:19:03
楽しく・充実した「一時の様子」が伝わって来ま~す! 得るものが沢山あった山行でしたね♪、自分で担ぎ上げた「麦酒」の味も格別だったことでしょう~(我々は、軟弱なので小屋で購入・・・少々反省!)

大障子方面は、天候が良い時に、、、 やはりしんどいです。決断は、いつも正解だと思います。
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癒されました (+3k)
2010-07-27 23:05:22
山小屋での「麦酒」「語らい」いずれも癒されるものでした。
また元気をいただいて帰りました。
もう少し鍛えて新たなコースに挑戦したいと思っています。
山馬鹿さんも「山&観光&お酒」を堪能されたご様子、お互いいい旅でしたね。
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Unknown (Haru)
2010-07-28 21:49:21
山小屋でのこのような出会い・・・
良いですね~
祖母山・・又、行きたくなりました
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ぜひ再度 (+3k)
2010-07-30 08:19:40
Haruさんご無沙汰です。
いつも訪問していますが足跡を残せなくて
「祖母山でオオヤマレンゲを十年分楽しむツアー」も拝見してました。
私は、祖母初挑戦で足が攣ったのが再チャレンジの動機でした。
でもあれ以来2年半で5回行きました。
やはり祖母山は何度行っても楽しませて貰う山です。
四季折々行ってみたいと思っていますが何せ遠くて・・・。
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