クワガタ~スズメバチ等の覚書

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

9月の山地帯、寒い夜と採集のコツ

2020-09-22 21:41:03 | ブナ帯のクワガタムシ全般

9月も後半になりました。

今回は、昨夜隣県で行ったライトトラップと

ヒメオオクワガタ・アカアシクワガタの採取方法の実際について書いてみました。

 

ヒメオオ・アカアシ採集のコツ

ヒメオオやアカアシなどの振動に敏感な種は、近づくだけでも落下してしまうことがあります。

苦労して見つけた1頭が一瞬で消えてしまう。

私は、そんなことを何度も繰り返してしてきました(今でもたまに)。

ましてやいきなり幹を蹴ったりすると

見えていなかった個体も含め一斉に落下し、全て見失うことさえあります。

ここからは自身の経験から実践している既知の方法の掘り下げで

それを「コツ」としましたが、実践して必ず成果が上がるという保証はありません。

あしからず。

山地帯のヤナギ等でヒメオオやアカアシを見つけたらその木には複数付いている可能性があります。

それらの基本的な捕獲方法は以下の2点です。

①見える個体を網などで静かに捕獲する。

②捕獲できない個体や、見えていない個体を落下させる。

問題は、②の落下させて捕獲する方法です。

幹を叩いたり蹴ったりして衝撃を与え落下させた個体を見つけること。

これが意外と難しいのです。

私は衝撃に強弱をつけて落下した個体を捕獲しています。

最初は軽めに衝撃を与え、落下すれば拾います。

2回目は最初より強く衝撃を与え、落下すれば拾います。

3回目はさらに強く、そして4回目はさらに強く・・・

こんな感じでその時に持つ個々の防衛本能の差異を利用して

その都度、少しずつ数回に分けて落下させるのです。

この方法は、単独行でも複数名でも基本同じです。

↓ 数回に分けて落下させる 2020年9月21日

とはいえ、一連のやり方を文字で見れば

あたかも繊細なコントロールをしているかのように感じるかもしれませんが

実際は簡単で、衝撃を徐々に強くしていけば

数回に分けて落下することがほとんどなんです。

↓ 2020年9月21日 

また、風の強い日は逆にしがみつくこともあるので

衝撃をやや強めにすることで風による揺れではないことを伝え

防衛行動(落下)へと促します。

↓ まずは、見える個体を静かに捕獲する 2020年9月21日

↓ 次は、見えない・捕れない個体を数回に分けて落とす

↕ 2020年9月21日

↓ 着水した個体は水流・水温の影響で体が固まることがある

ルッキング採集を1人で行う時はそれなりの経験とセンスがものを言いますが

複数名での採集は何かにつけて心強いものです。

見えない個体を狙う時は1人が衝撃打担当になり

他の人は枝先真下の林床が見える所まで離れます。

そして、耳を研ぎ澄ませながら広い範囲を漠然と見て

衝撃の合図を交わしながら落下音を頼りに場所を特定します。

どちらかというと、耳で見るみたいな感覚です。

落下場所(付近)が特定出来たらそこに辿り着くまで絶対目を離しません。

離してはいけません。

↓ 気温が下がると動きが緩慢で盛夏よりは発見しやすい

採集当初は落下を目の前にして見失うことがよくありましたが

これを徹底してからは落下した個体がすぐに隠れても

ほとんど探し当てることができるようになりました。

↓ 特定場所から目を離さず一目散!(過去画像)

また、落下場所が深い茂みなどで発見が困難と思われるときは

木々に刺激を与えないよう注意しながら遠回りして茂みに入り合図を交わします。

時には落下途中で茂みに止まることもあるので林床で見つからないときは

茂みを揺すると目の前に落ちてくることもあります。

中にはシートを敷くなどしてストライクを狙う方もいますが

手間暇かけて外れた時・・・えぇ~?

情緒が揺らぐので私は疾うに(とうに)やめました。

また、急な斜面や茂みで地面の状態がわからず嫌な予感が漂う時は

あきらめることが正しい選択です。

↓ 怖いと思う時はあきらめる

天候については、雨やそのあとでも木についていることはありますが

落下が雫に打ち消され発見率が下がることもあります。

↓ 本降り採集(過去画像)

上記の通り、既知の方法を基本として

 1.数回に分けて落下させること

 2.落下場所から目を離さないこと

この二つのことを覚えてからは単独行・複数名にかかわらず

採集当初と比べ捕獲率は格段に上がりました。

↓ 2020年9月

↓ リリース前の記念写真

 

寒い夜のライトトラップ

日時:2020年9月21日 18:45~22:15

標高:約900m

天候:曇りのち晴れ やや風多し

気温:14度±

 

この日はメンバーは6名です。

HID3機とハンディHID1機の計4機で行いました。

山中では夕方までは半袖でも動けば何とかなりましたが

次第に寒い夜へと変わりました。

↓ 両サイドの木をぬって・・・

ここで灯火をするのは初めてですが

同山の標高上下ではオニクワガタの飛来実績があり、季節柄期待していました。

また、ヤママユがよく飛来した付近でもあります。

↓ 前半は前の山を集中照射

↓ シラホシテントウ

↓ Yさん撮影中

ここからの画像は、Yさん提供

↓ おしゃれなクワコ? 蚕の系統? 

↓ おそらくヨツボシモンシデムシ

↓ ハムシの仲間

↓ 小型のゾウムシ

↓ 枝に止まった大きめの蛾を捜索中

昨夜の山中は14度前後にまで気温が下がり灯火の天敵、風も吹きました。

残念ながら飛来した虫は僅かでクワガタも来ませんでしたが

談議に湧き、時間は過ぎていきました。

皆さん、寒い中お疲れ様でした。



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