クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

チャイロマルバネ・18-飼育限界

2022-03-13 01:53:48 | チャイロマルバネ

昨年秋に採卵したチャイロマルバネが2齢幼虫になり

500ccpカップのまとめ飼いが少し窮屈に見えてきたので

今日、個別飼育へと転換しました。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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↓ 500ccpカップに4〜8卵入れて管理してきた

 

今回の個別飼育でストックしていた基マットは使い切りました。

インビタビリス・ブルークツヤ・コツヤなどの飼育にも同じ基マットを使うため

また調達しなければなりません。

 

↓ マットの作成

↓ 2週間ほど小屋で寝かせて馴染ませた

 

掘出しは、pカップ毎に行ない

最初に入れた卵の数と、出てきた幼虫の数を確認しながら進めました。

当初側面から見えていた卵はほとんどが孵化していたので

孵化率自体は高かったと思いますが、出てきた幼虫の数は減っていました。

 

↓ ほとんどが2齢初〜中期

↓ 初齢がたまに混ざる

 

同じpカップから出てきた幼虫でも成長度合いにはばらつきがあり

また、掘出し日が早いから大きくなっているとは言い切れない状態でした。

卵投入数と生存率との関係については、これといった傾向は感じられず

例えば、卵4個→幼虫3頭・卵7個→幼虫5頭・卵7個→幼虫7頭・卵8個→幼虫6頭

‥などそれぞれで、数に変化がなかったpカップは2つだけ(全12カップ)

そのあたりの減少は、「本来多産」ということで折り合いました。

 

↓ 同じ日に掘り出したが成長に大きな差がでる

↓ マットは見た目以上に乾燥していた

↓ 2齢幼虫

↓ マット色の糞は次第に黒くなる

 

幼虫は500ccpカップに1頭ずつ投入していきましたが

途中でマットが足らなくなってしまい、そこからは2頭ずつ投入していきました。

 

↓ 幼虫を基マットで埋め、新しいマットとセパレート状にする

↓ マット不足のため途中から2頭ずつ投入

↓ 最後に霧吹きで水分補給

 

昨年秋に採卵して管理してきた数は76卵で

今日幼虫が確認できた数は62頭(ほとんど2齢)でした。

生存率は81.5%、自分には上出来です。

今回の追加マットには栄養分として市販のカブトマットを少し混ぜたので

最終的な生存率はもっと下がると思いますが

とりあえずでも、棚の一枠が満杯になったことがうれしい反面

他種が暮らす容器の配置変更を余儀なくされました。

 

チャイロマルバネは条件がそろうと1メスで70卵は優に産む多産種ですが

他のマルバネ同様にマットの調達や、スペース確保

そして、他種も含む管理のことなどを考えると

これが「飼育限界かな?」と思いながら作業を終えました。

 

↓ 他種をどけて一筋占領 管理温度は23度前後

 


チャイロマルバネ・17-最後の一粒

2021-11-08 20:40:17 | チャイロマルバネ

チャイロマルバネの採卵を終えました。

掘出しの回数は計7回です。

2回目掘り出しの翌日容器側面と底面に卵が見えました。

順調に産卵していると思っていたところその2日後、卵の位置が変わっており

そこには母虫の通った坑道らしきものがありました。

そのままでは卵が潰されてしまいそうなので少し早めの掘り出しも行いました。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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↓ 10月17日 卵確認

↓ 産座付近には卵がある

↓ 2021年10月20日 14卵(一部マット隠れ)

 

掘出し毎に産卵床のマットを500ccプリンカップに詰めていくため

産卵セットのマット高は当初より5cm程度低くなりましたが

母虫が元気なうちはある程度抑えて詰めておけば産卵します。

ただ、巻頭にも書いたようにマットの量が少なくなると

せっかく産んだ卵を母虫が潰してしまう可能性もあるため

セットから掘出しまでの日数は短めにしました。

 

↓ 2021年10月23日 3日で8卵 1日の産卵指数=2.66個

↓ 卵は日々成長 (10月23日)

↓ 霧吹きで水分補給

↓ 10月23日 

 

掘出し毎の産卵結果は以下のようになりました。

セット期間: 卵数:産卵指数/1日

1回目13日 : 27卵:2.07

2回目06日 : 22卵:3.66

3回目04日 : 14卵:3.50

4回目03日 : 08卵:2.66

5回目07日 : 06卵:0.85

6回目05日 : 01卵:0.20

7回目04日 : 00卵:0.00

  計 42日 :78卵

上記の通り、母虫はセットから3週間ほどの間に産卵ピークを迎え

5回目(10月30日)の掘り出しでは目に見えて産卵数は減り

6回目(11月4日)の掘り出しが最後の1粒となりました。

また、初めのころに掘り出してpカップで保管中の卵は既に孵化しており

幼虫の腹部はマットの色が透けて見えています。

 

↓ 生育中の卵 気門が見てとれる(2021年11月2日)

↓ 孵化直後 大アゴ先端付近は既に色付き(2021年11月2日)

↓ 孵化直後で卵殻が残る(2021年11月2日)

↓ 孵化直後 2021年11月4日

↓ 2021年10月25日 初齢幼虫

↓ 孵化後に卵殻を食べる幼虫

↓ 孵化しない卵 クリーム色部が成長しない

↕ 幼虫生存の痕跡 ↕

 

5回目掘り出し時の母虫の動きは緩慢でその後、マットに潜れなくなっていきました。

種オスは蛹室を脱出し、活動を開始してから37日間生存しました。

母虫は44日間生存しました(管理温度:23度前後厳密でない)。

生涯の産卵数は78卵で、生存期間・産卵数ともに本来の数値であったと考えます。

 

↓ 10月20日 オスの生存期間は活動開始から37日

↓ 11月4日 母虫は脚部や符節の一部が麻痺 

↓ 11月8日 母虫の生存期間は活動開始から44日

↓ 最後の一粒(11月4日掘り出し)

↓ 卵は500ccpカップで保管

 

今年は採卵・幼虫飼育共に

ブルークツヤクワガタがパイロットとなったマットを使用しています。

現在、ブルークツヤは順調に育っており、すべて終齢幼虫になりました。

チャイロマルバネもまたこれと同じように育ってくれればと思います。

 

↓ ブルークツヤクワガタ単独飼育群

↓ ブルークツヤクワガタ 終齢幼虫

↓ ブルークツヤクワガタ参照記事

ブルークツヤクワガタ・4-体内バクテリアは本当に必要か? - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

「カテゴリー」から入ると飼育過程等に繋がります。先々週、ブルークツヤクワガタの単独飼育を開始しました(以下ブルーク)。前記事では初齢~終齢幼...

ブルークツヤクワガタ・4-体内バクテリアは本当に必要か? - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

 

 


チャイロマルバネ・16-産卵指数

2021-10-16 18:00:00 | チャイロマルバネ

チャイロマルバネ2回目の掘り出しを行いました。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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1回目から6日しか経過していませんでしたが産卵モードはアクセル全開のようで

次の掘り出しくらいまで続くのではないかと思います。

↓ オスは符節の欠損が始まった

↓ マット表面付近の卵と産座にいる母虫

↓ 母虫による坑道

 

前回の掘り出し結果は、13日で27個=2.07個/1日、今回は6日で22個=3.66個/1日

これをセット期間(13日+6日)で見てみると一日の産卵指数は2.57個となりました。

特に今日の掘り出しは前回セットから6日間で22個と非常にたくさん産んだことになります。

また、前回の掘り出しでは3回探したので採りこぼしはほぼなかったと思います。

 

↓ 2回目掘り出し

↓ pカップで管理

↓ たくさん孵化しますように・・・

 

掘出しはあと3回くらいできると思いますが産卵ピークは次回までと想像します。

また、中には孵化しない卵や仮に羽化しても幼虫がうまく育つか不明なため

できるだけ多く採卵しておく必要があります。

使用しているマットはパイロットfishならぬブルークツヤクワガタが先導しているマットです。

 

↓ 3回目セット やや硬詰めで、上からマットを少しかぶせるだけ

掘出し後に追い掛けを試みましたが母虫が受け付けず

オスを振り払いマットに潜っていきました。

母虫には蔵卵余力が残っており、オスからの寄与を必要としていないのでしょうか?

 

↓ 産卵余力のある母虫はオスを受け付けないのか?

↓ メスを追って潜っていく

 


チャイロマルバネ・15-パイロットはブルークツヤ

2021-10-10 19:16:13 | チャイロマルバネ

夏に繭ごもりしたチャイロマルバネが10月になっても出てきません。

9月中ごろに一部の蛹室に小窓を開け様子を見たのですが、まだ幼虫の姿でした。

 

↓ 2021年10月10日現在 幼虫(前蛹?)のまま

 

もしかしたら3年目に突入し、最悪死亡するパターンなのか?

これはまずいということで

先日、新たにペアを導入し、産卵セットに入れて様子を見ていました。

 

水先案内はブルークツヤクワガタ

今回採卵に使用したマットはブルークツヤクワガタがパイロットとなった

バクテリアなんか気にしないマットです。

そんなマットでもブルークツヤは産み、幼虫も育つことがわかりました。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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↓ 参照記事

ブルークツヤクワガタ・4-体内バクテリアは本当に必要か? - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

「カテゴリー」から入ると飼育過程等に繋がります。先々週、ブルークツヤクワガタの単独飼育を開始しました(以下ブルーク)。前記事では初齢~終齢幼...

ブルークツヤクワガタ・4-体内バクテリアは本当に必要か? - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

 

↓ 市販品不使用の完全オリジナル(赤枯れも使用)

↓ ブルークツヤが普通に育つマットをチャマル採卵用に使用(2021.9撮影)

↓ 異血導入

↓ 飛翔はお手の物

↓ 最初のうちは異性を認識していない

↓ そういう時はPカップで

↓ この種の交尾時間は15分前後と長め

 

掘出しと再セット

交尾を終えたペアを採卵セットに投入し、今日で13日が経過しました。

母虫はたまにマットから出てきています。

掘り出しです。

 

↓ 13日で複数回の交尾を確認

産卵セットの落ち葉や表面マットを取り除くと

やや硬く詰まった部分に坑道が複数認められました。

これは、おそらく産んでいます。

 

↓ マットには複数の坑道が認められる

 

マットをトレイに移し、慎重に塊をほぐしていくと卵がぽろぽろ落ちてきます。

卵はマットの色と相対的で発見しやすいのですが

取りこぼしは毎回あり、今回も3回探して4個出てきました。

 

↓ 底部付近から発見

 

セットから13日、採れた卵は27個(2個潰し)、1日の産卵指数は2.07個でした。

最初のセットとしては上出来でした。

 

↓ 1回目採卵分は、Pカップにて管理ー温度は23度前後

↓ 乾燥軽減用に油こし紙

⇩ ⇩ 25卵を4カップにわけて管理

↓ 2回目の採卵セット 底部8cmほどはやや硬詰め

↓ 転倒防止・表面霧吹き・一応ゼリーも入れておく

↓ 多回交尾をさせるためオスも放し飼い

 

南国の茶色いマルバネ、今年も採卵はできましたが問題はこれからです。

私のところでは幼虫が羽化までいく確率が低く一向に改善できません。

今年はマットのパイロットにブルークツヤクワガタがいます。

パイロットの生存率は92%で、今も順調に育っています。

同じマットでチャイロマルバネが育ってくれることを願いながら

2回目のセットを組みました。

 

↓ 繭ごもり群の年内羽化はあるのか?

 


チャイロマルバネ・14-産卵

2019-10-23 01:10:04 | チャイロマルバネ

最初のチャイロマルバネの産卵セットを組んでから今日で2週間がたちました。

その間、母虫はほとんど潜っていたのですが、数日毎に出てきてもいました。

恐らく産んでいるだろうと思い今夜掘り出してみたところ、卵の確認ができました。

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

↓ 計11個

 

今夜が初回の掘出しでしたが、卵が見つかった場所は集中しており

他の場所は全く潜った形跡がありませんでした。

もしかすると、マットを硬く詰めていたので母虫が潜りにくかったのかもしれません。

2回目のセットは初回よりやや弱く詰め

木の枝も少し埋め気味で潜るきっかけを作ってみました。

 

↓ 枝を少し埋めてみた

↓ 落ち葉で転倒防止

 

メスの栄養源は何か?

チャイロマルバネは後食をしなくても産卵できる種です。

しかしながら、本当に幼虫期にため込んだ(?)栄養分だけで

数十〜3桁に及ぶ卵を産めるとしたならそれは脅威です。

 

 

 

昨年5月の「コルリクワガタ」の記事にも少し書きましたが

クワガタムシの中にはコルリクワガタのように複数のオスと多回交尾する種や

交尾時間の長い種がいます。

そもそも1回の交尾で受精するのに必要な精子の数は十分足りていると思えますが

昆虫は最後に交尾したオスの遺伝子が多く残されるため

オスは本能に突き動かされます。

これを受け入れ、多回交尾するメス(種)や交尾時間の長い種の中には

交尾を通してオスから卵育成のための栄養寄与があるのではないかと

勝手な想像を私はしています。

 

↓ コルリクワガタは多回交尾タイプ

 

例えば、チャイロマルバネの飼育観察をしていると

産卵のためマットに潜ったメスがある期間を過ぎると

地上に出てきて静止・徘徊することがあります。

一般的にはクワガタのこういった行動は新たな産卵場所を求めているとか

卵の成長に必要な栄養を補給に出てきたと考えられています。

確かにそういった事情らしきことはありますがチャイロマルバネの場合

本来後食に消極な種であり後食なしでも数十個の産卵ができるには

それなりの”からくり”があるのでは?

・・・そんな気がします。

 

↓ 交尾時間約30分

 

羽化不全のメス

今年採卵を予定しているもう1頭のメスは羽化不全です。

↓ あえて喧嘩をさせ、メスと気づかせる

↓ 羽化から1か月のメスにようやくオスが反応

↓ 腹板をオスに傷つけられないよう注意!

↓ 無事に交尾を終えセット中

 

今年も何とか採卵はできましたが その後の幼虫の生存率が極めて低いという

大きな課題を残したままです。

 help !!

 


チャイロマルバネ・13-羽化

2019-10-08 22:00:41 | チャイロマルバネ

*タイトルに№がある記事は  

「カテゴリー」から入ると飼育・観察過程等が繋がります。

 

チャイロマルバネの羽化

昨年は野外個体・飼育個体ともに市場流通の少なかったチャイロマルバネですが

 今年は9月の初めころからぼちぼちお目見えするようになりました。

私の小屋でも2017年に採卵したチャイロマルバネを

年通15度前後~24度前後で管理してきました。

そして、先週には新成虫がマット上に現れたため

タイミングを見計らって産卵セットを組みました。

 

 

今回は、10月上旬に飼育下発生したので野外と近い感じで羽化したものと思われます。

↓ 2017年生まれ(2018年10月の記事画像)


↓ 羽化当日 2019年9月13日(2年1化)

↓ 深夜から翌日にかけて羽化

↓ 羽化二日後

↓ 羽化から21日目に蛹室脱出 羽化不全

↓ 蛹室内で死亡している個体もあり

↓ 他個体の羽化も確認 2019年9月29日

↓ 明るいと飛ぼうとする

↓ メスがまだ若いせいかオスは反応なし

↑ すぐに喧嘩する

↓ 2~3日は個別に保管

 

産卵セット

今年は2メスで採卵します。

そして、産卵用マットは昨年使用したものを加水して使います。

水分量はギュッと握って塊ができすぐには潰れない程度にしました。

 

 

↓ 交尾時間は20分ほど 

↓ ゆっくり交尾器を格納してメスから降りる

↓ 交尾を終えたメスは足早に去る    

↓ 産卵セット 底部8cmほどは硬詰め


↓ 転倒防止と保水のためミズゴケ使用


↓ 50㎝x30cmx20㎝ほどの容器

↓ 念のためゼリーも

 

さあ、これでひとまずは1セット完了です。

もう1メスは後日交尾〜セットになります。

セットから1週間ほどして潜りっぱなしなら、産んでいるサイン・・・


チャイロマルバネ・12-次の環境へ

2019-03-31 22:54:39 | チャイロマルバネ

4月を明日に迎え緩やかな気温上昇とともに

クワガタムシに接する時間も増えてきました。


チャイロマルバネ餌追加

話は少しさかのぼり3月17日のこと、チャイロマルバネの掘り出しと餌追加をしました。

*タイトルにNo.がある記事はカテゴリから入ると飼育過程等が繋がります

*マットの作り方は、記事「難関種マットの作り方」をご参照ください


*光の加減でマット等は、実色とは異なります。

去年の秋から産卵マットをそのまま餌にしていたのですが

このままでは餌がいきわたらなくなるため次の餌を追加しました。


掘出し

管理していた幼虫はプラケース中2個・小1個・2Lブロー容器1個

計4個にそれぞれ14~20頭を入れていました。

温室管理では乾燥が気になっていたため、たまに霧吹きをして注意はしていたのですが

プラケース管理のものは思いのほか乾燥気味で内部全体にまでは行き届いていなかったようです。

オキナワマルバネのときと同じような状況でした。

↓ ほどんどパサパサ状態

↓ 下部2㎝ほどの硬詰め部に幼虫が

↓ 加齢直後(2齢)



掘出し結果

各容器の生存率は以下のようになりました。

中ケース1=18頭→14頭=77.7%(つぶし1)



中ケース2=20頭→15頭=75.0%


小ケース =18頭→14頭=77.7%


2Lブロー =14頭→14頭=100%





平均生存率=81.4% なんとも微妙な結果でしたが

2Lブロー容器のマットはほどよく湿っており生存率は100%であったため

今回の結果はマットの水分が大きく影響したものと思われました。





次の環境へ

掘出しを終え、再び産卵マットを3㎝ほど硬く詰め

そこに穴をあけ、幼虫を投入したのち、次のマットを乗せる感じで10㎝ほど入れました。

追加したマットはそれまでの産卵マットとは質が異なり、昨年12月に作っておいたものです。

↓ シイ赤枯れ40% カブトマット40% 終齢幼虫食べかす20%

↓ 水分あり!

↓ 底部3㎝ほどは基マット



幼虫は、臭いや加圧などを感じて新たなマットの存在を知るはずです。

拒絶することなく、そのマットを食べてくれればよいのですが・・・






マットを追加してから約2週間経過した今日現在、追加したマットを食べている個体や

基マットと追加したマットを行き来しながら過ごしている個体が複数います。

どうやら食べているようで安心しました。





それにしてもチエックするたびに数が減るのは痛いですね。


おまけ

ストックしていた赤枯れがもうすぐなくなりそうなので

今日は、馴染みのところでいただいてもきました。




↓ この倒木1本でつなぐ


↓ 塊を数個

↓ 金槌で粉砕

↓ 1時間ほどかけて粉砕

↓ この赤枯れからやっと見つけたコメツキ虫成虫






チャイロマルバネ・11-幼虫掘出し

2019-01-14 22:13:24 | チャイロマルバネ

新年 あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

昨年最後の記事で少し書きましたが

チャイロマルバネの幼虫が窮屈そうになってきたので

この連休を利用して掘り出すことにしました。

*タイトルにNoがある記事は
「カテゴリ」から入ると飼育過程等がつながります。

*マットの作り方は、記事「難関種マットの作り方」をご参照ください



 


生存率

最初のころの採卵群、84卵(小ケース入り)からは61頭(4つぶし)の幼虫が出てきました。

成長ステージは、ほとんどが2齢でした。生存率=72.6%

↓ ここに84卵





その次の採卵群32卵(2Lブロー容器入り)からは14頭の初・2齢が出てきました。

生存率=41.1%

↓ 2Lブロー容器



そして、「最後の二粒」など7卵を入れたpカップからは幼虫は出てきませんでした。

生存率=0%

全体では123卵から幼虫75頭得られ、生存率=60.0%となりました。
注)1頭の母虫より採卵

この数値は決して高くはありませんが、分母が大きかったので救われました。

前期のテスト~失敗経験等は生かされたと思っています。




少しの考察

上記の結果では初期の卵ほど孵化~生存率が高く

最後の採卵群では0%にまで下がりました。

もちろんマットの質・管理場所等は全て同じです。

*参考画像


後に産まれた卵ほど羽化率が低いのか

それとも羽化後の異変なのかは定かではありませんが

おそらく前者のほうではないかと考えています。

*参考画像


仮にそうであるとしたなら可能な限り追い掛けを継続することで

卵~生存率を上げることができるのかもしれません。




最後に

今日は、幼虫をいったん取り出し狭すぎない程度の容器に振り分けましたが

マットはそのまま使いました。





このマットは羽化まで適合しているものと考えていますが

いきわたるだけの量がなく、また、さほど大きくはならないと思われるため

今後の成長を見ながら一部の群で質の異なるマットへの移行を試します。



↑ ↓ マット少な目



チャイロマルバネ・10-最後の二粒

2018-11-23 20:25:59 | チャイロマルバネ

最後の二粒

*カテゴリから入ると記事がつながります。

*マットをはじめとする画像は光の加減で実色とは異なります。


2018年11月18日、4回目の掘り出しを終えました。



今回はこれまでみたいな坑道やはっきりしたホール(産座)は見当たらず

ここかな? 程度のくぼみが現れるだけでした。

↓ マットの中から発見


マット中で見つかった母虫は生きてはいるものの、ほとんど動けない状態でした。

そして、出てきた卵の数は2個でした。




↓ 一つ目

↓ 二つ目


今回は16日間で2卵だけです。

1日の産卵指数は、0.12卵になりました。

延べセット期間46日で126卵、最終的な一日の産卵指数は3.65卵となり

セット期間中は、ほぼ潜っていました。

↓ ゼリーをどうぞ


2018年11月21日、たくさんの卵を産んだ母虫が力付きました。

蛹室自力脱出から58日目でした。

念のためマットを掘り返しましたが卵は見当たらず、18日の二粒が最後となりました。

それにしてもよく産んでくれました。



これでチャイロマルバネの産卵に関する今年の記事はおしまいです。

*記事「チャイロマルバネ・8-産卵能力」に結果を追記


チャイロマルバネ・9-採卵と孵化

2018-11-10 23:55:40 | チャイロマルバネ

*カテゴリから入ると記事がつながります。

*マットをはじめとする画像は光の加減で実色とは異なります。


採卵

2018年11月10日、前回の掘り出しから13日が過ぎ

チャイロマルバネ3回目の掘り出しをしました。



3回目のセットからはオスも一緒に入れ、自然な行動ができるようにしていました。

↓ オスも放し飼い


掘り出しは前回同様ほぐれたマットを丁寧に取り除き

固まり部と区別して卵の有無を見ました。

↓ 硬い部分で発見 左:オス 右:メス

↓ オス:死亡

↓ メスは生存中

↓ 左:オス死亡 右:メス生存中

↓ 上翅が黒く変色している




ほぐれたマットを取り除いていくと、硬い部分でいくつもの産座(ホール)が出てきます。

これは自宅飼育下でのチャイロマルバネの産卵スタイルで

そのあたりに卵があるということです。

↓ 産座(ホール)
 

ホールのついたマットの塊を少しづつほぐしていくと、ぽろぽろと卵が落ちてきます。

出てくる卵を用意したプリンカップに一つずつ置いていき

1時間ほどかけて掘り出しを終えました。

出てきた卵は32個、よく産んでいました。

↓ 3回目の掘り出しは32卵


これで母虫が産んだ卵の数は、124卵になりました。

3回目のセット期間は13日で一日の産卵指数は2.46卵でした。

前回より1.72卵少なくなりましたが延べセット日数35日から算出すると

一日の産卵指数は3.45卵となります。

前記事ではチャイロマルバネの産卵能力について中間的に書きましたが

産卵数は今回で3桁に突入し、チャイロマルバネは、他の大型マルバネ同等の

産卵能力を持つことがわかりました。

そして、自然下でもその能力は大差ないと思われ

生存率の低いことが推察できました。

↓ 卵は2Lブロー容器で保管(左側)



母虫は、蛹室から自力で脱出して今日で48日になります。

前脚を伸ばして威嚇はするものの符節と後脚の動きはぎこちなく

前回(10月28日)より明らかに衰弱していました。

この状態で思うようにマットに潜れるかわかりませんが

次のセットを作り、静かに戻しました。




孵化

1・2回目で掘り出した卵の孵化も始まりました。

飼育容器側面から見える限りでは一日に3~4頭の孵化が確認でき

産卵指数とほぼ一致します。

温室にて22度前後で管理した場合、卵は大方3週間強で孵化しています。

↓ 2卵接近、上の孵化幼虫は上方に、下は下方に進む


卵管理に使用したマットは、基マット(産卵)です。

水分量は、強く握って手のひらに水気が残る程度。

11月10日現在、側壁に見えたいた24卵のうち、21卵の孵化を確認しました。

↓ 孵化したて(2018年11月7日)








今のところ良い孵化率ですが、問題は初齢幼虫の生存率です。

去年の経験を生かすと、しばらくは余計なことをせず、そのまま・・・

来春までおあずけということになります。




おまけ

今日は、去年採卵した幼虫の餌追加もしました。

餌追加は3か月ぶりです。

↓ 800ccクリアーで1頭ずつ管理

↓ 目減りと乾燥で上部に隙間

↓ 終齢幼虫の体重は大方4g台



↓ 取り出しても丸くならない

↓ ついでに来春に使うマット作成



チャイロマルバネ・8-産卵能力

2018-10-28 23:28:16 | チャイロマルバネ

はじめに

日本にはたくさんのクワガタムシが生息しており

自然下では毎年繁殖が繰り返されています。

そして、種によって産卵する場所や数は異なり様々な産卵スタイルが存在します。

そんな日本産クワガタムシの中で最も多く産卵すると思われる種は

おそらくオキナワマルバネや、ヤエヤママルバネなどの

大型のマルバネ属ではないかと思います。



これらの種は1.5か月ほどの寿命の中で100卵以上産むこともあり

短命種のアクセル全開はものすごい爆産につながります。



一方、人気のオオクワガタは数年生きることはできますが

大型マルバネのように短期間で100卵も産むことはまずありません。

オオクワガタの場合、生涯通しても100卵には満たないのが普通のように思います。


チャイロマルバネの産卵能力

*マットをはじめとする画像は光の加減で実色とは異なります

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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*産卵結果を追記(2018年11月23日)




チャイロマルバネの寿命は大方国産大型マルバネと同じです。

昨年のマットテストで産卵能力に関して感じたことは

マット・温度・湿度等が適した範囲であれば本来50~70卵くらいは産む種なのではないか?

ということでした。



今年は採卵だけでなく、数も意識して昨年より大きめの容器でセットしました。

また、マットも1回目は昨年の使い回しでしたが

2回目からは新鮮なマットに切り替えました。

セット期間も1回目は5日間でしたが、産卵確認ができたので2回目は17日間放置しました。

↓ 2018年10月9日(母虫)


1回目の掘り出しでは、つぶし1卵を含む8卵採れました。

2回目は17日間とかなり長く置きましたが、その間母虫はほぼ潜りっぱなしの状態で

容器側面には複数のトンネルが見て取れました。

↓ 2回目は今年作ったマットで再セット(底部は必ず硬詰め)

↓ マットの陥没=産卵してる目安(中央上付近)

↓ 容器底部に描かれた曲線は母虫によるもの

↓ 底部には卵が見える


二回目の掘り出し(10月28日)では、母虫によりほぐされたマットを取り除き

底部に固まっている部分と区別して発見できる卵の数を見ました。

その結果、柔らかくほぐれた部分から出てくる卵は少なく

固まった状態の部分からは次々と卵が出てきました。

↓ ほぐれたマットを取り除いた状態



↓ マットから出てきた





↓ 母虫がすっぽり入るくらいの穴

↑ ↓ この塊(ピンポン玉程度)からは3卵


掘り出しは、取りこぼしと数え間違えのないよう慎重に入念に行いました。

その結果、本日出てきた卵の数は、84個でした(つぶし2)

ある程度多く産んでいそうな予感はしていましたが

ここまで産んでいるとは思いませんでした。

↓ 10月28日の採卵


延べセット期間22日、掘り出し2回で、計92卵確認できました。

1日の産卵指数は4.18卵になり、今回の環境はチャイロマルバネが好む産卵条件の

中央値に近いものと推察しています。

掘り出し後は3回目のセットを行いました。

母虫は蛹室から自力脱出して今日で35日になります。

思いのほか力強くマットに潜っていきましたが

体力の限界はさほど遠くないと思われるため

今後の産卵数は低下していくものと想像します。



今回の採卵からみた種としてのチャイロマルバネの産卵能力は

100卵前後ではないかと今のところ思っています。

↓ 卵回収後、再び潜っていった

↓ 管理温度はだいたい22度前後


*追記(2018年11月23日)

 延べセット期間46日で126卵

 最終的な一日の産卵指数は3.65卵

 母虫生存期間は蛹室自力脱出から58日


卵の管理

昨年は初齢の段階でたくさん落としてしまい課題を残しました。

今年の卵~若齢幼虫の管理は昨年のテストや、ブログを通して知り合った

あらさんからの経験談などを参考にプラケースに基マットを敷き詰め

小穴に全て投入しました。

このまま上手に育ってくれることを祈ります。






おまけ 

↓ 昨年生まれの終齢は、広目の空間を作り暮しています


チャイロマルバネ・7-産卵までの期間

2018-10-08 20:33:02 | チャイロマルバネ

一年がたつのは早いもので今年もチャイロマルバネの季節がやってきました。

野外個体の発生はまだ聞きませんが、飼育品の流通は始りました。

↓ 飼育個体(石垣島産)


↓ どちらも蛹室から自力脱出


このペアで今年の採卵は始まりました。

産卵用マットは昨年の使い回しです。

昨年いろいろ試したなかで一番扱いやすく、二番目によく産んだマットです。

一番産んだマットは、卵の取出しに苦労したため今回は避けました。

↓ 産卵セットの様子 (W26xD35xH18)

↑ 底から5cmほどはやや硬詰め




チャイロマルバネの交尾時間は15分前後で、総体的にオキナワマルバネより長く感じます。

また、交尾後もオスはメスに付いていますが暫くするとおとなしく離れ

あからさまなメス攻撃は見ていません。


↓ 交尾終了



最初の交尾を終えたメスはマットに潜りましたが

マット内で動いた形跡がなく、約5日間そこに留まっていたと思われました。

この個体は、蛹室から自力で脱出したそうですが

どうやら本格的な活動には至ってなかったようです。

当然のことながら産卵は確認できませんでした。

10月6日、メスは蛹室脱出から13日が経過しました。

その間、交尾は数日に分けて複数回行ない交尾直後の精嚢排出も確認しましたが

容器底部や側面には卵らしきものは見当たりません。


↓ 2回目の交尾で精嚢排出


昨年の使い回しマットが悪かったのか?

それともまだ性成熟していないのか?

或いはオスが悪いのか?

その時点ではわかりませんでした。



翌10月7日、メスの潜ったあたりをスプーンで掘っていくと白いものを発見!



やっと産みはじめました。

どうやら使い回しマットに問題はなかったようです。

産まなかったのは恐らく産卵までの待機期間だったのでしょう。

昨年と今回だけの経験で判断すると(n4)

チャイロマルバネは蛹室から脱出後10~14日前後で

産卵可能な状態にありました。

ただし、こういうものには個体差が付き物で一つの例として、数値を示しました。



今現在も母虫はマットに潜っているため産卵継続に期待しています。

そして、今後の採卵で節目を迎えたら次の覚え書きをします。


おまけ

今年は、去年出来なかったオキナワマルバネの採卵ができました。

チャイロマルバネもそれなりに産んで欲しいと思うと

物置にあるマットの量が心細くなり、昼からは「シイの森」に行ってきました。



 
↓ チャマル産卵用は10Lほどできました


チャイロマルバネ・6-単独飼育

2018-07-01 18:12:02 | チャイロマルバネ

昨年採卵したチャイロマルバネ幼虫の単独飼育を開始しました。

*タイトルに№がある記事は
 「カテゴリー」から入ると飼育・観察過程等が繋がります。


↓ 西表島野外個体

↓ 左:西表島野外個体 右:石垣島飼育個体




7月最初の日

まとめ飼いしていた容器をひっくり返すと殆どが終齢になっていました。



↓ 終齢初期


↓ 一部は2齢後期



単独飼育に使用したマットは市販のカブトマットと、幼虫が食べていた基マットです。

新たに赤枯れは入れてません。

カブトマットはふるいにかけ少しだけ加水しました。

↓ カブトマットのふるいがけ



単独飼育の容器は800ccほどのクリアーボトルで

底から三分の一ほどは幼虫が食べていたマットを入れ

その上に配合したマット(カブトマット7:基マット3程度)を

強く詰め込まない程度に入れました。


作成したマットの質はオキナワマルバネ用と大差なく

水分量はそれより少なくしました。

年間の温度管理は温室でだいたい15~27度の範囲です。

↓ 緑線は基マット



このまま様子を見ながら途中で餌追加をし

来年の夏~に羽化すればよいと思っています。

↓ 石垣島飼育個体



昨年は沢山の採卵は出来ましたが初齢幼虫のマットテストで多くを失い

「してはいけないこと」が少しわかったつもりです。

昨年やり残した採卵~初齢管理のテストは今年もしますが

冒険的な試みは終わったので今季は昨年より幼虫の生存率が高くなるはず・・・



↓ 35㎜クラス(飼育)


チャイロマルバネ・5ー孵化と若齢

2018-02-14 23:21:10 | チャイロマルバネ

昨年はチャイロマルバネの採卵テストを繰り返えし

特殊な生態を見ることが出来ました。


↓ よく潜ったメス

↓ 前脚符節麻痺、寿命は近い

↓ 産卵を終え、マットの中で死亡 



今日は、昨年11~12月内に採卵したチャイロマルバネの幼虫確認をしました。

幼虫の餌は、オキナワマルバネ用のカブトマット+シイ赤枯れ+マルバネ食べかすで

特別に作ったわけではありません。

また、質も不安定なものだと思います。

採卵した卵は500ccのプリンカップに5~9個入れ

18~22度くらいの温度で管理を続けました。

卵は3~4週間程度で孵化しましたが

1か月以上たっても孵化しないものは

大方腐敗していきました。

↓ 500ccのプリンカップに5~9卵投入

↓ 孵化せずに腐敗していく卵




マットの水分は、少し変化を持たせフカフカに近い状態や

プリンカップに水滴が付くくらいまでの差をつけて管理してきました。

水分多目とは、オキナワマルバネでも多めの水分といった感じです。

結果は水分を多めにしたマットからは殆ど幼虫が出てきません。

どのカップにも最低でも5卵は投入していたはずです。

入念に探すと初齢幼虫の頭部だけが見つかるものがあり

これらは比較的早い段階で死亡したものと思います。

逆に少し乾燥気味のマットからは幼虫の出てくる確率が高く

11月上旬に採卵したものは2齢になっている個体もいました。

↓ 初齢

↓ 2齢が混ざる

↓ 卵のまま出てきた~孵化しない



何分チャイロマルバネを卵~飼育するのは初めてなため

卵~初齢飼育を出来るだけいろんな条件で試してみたのですが

多水分マットでは殆ど幼虫が回収できませんでした。

これは、とても残念なことですがそういった試みによって

してはいけないこと、意外なことも少しわかりました。

↓ あるものは想定外のものを食べていた

↑ 成長も悪くはない




最終的に何頭の成虫が得られるのだろうか?

そんな思いがよぎります。

”飼育するのに十分な数”を保つために極端なテストはこれで終了します。


チャイロマルバネに迫る・4

2017-12-03 16:16:19 | チャイロマルバネ

チャイロマルバネに迫る

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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この記事には昆虫の腹部を切開した画像が含まれます。
*閲覧には注意してください。


今年はチャイロマルバネ採卵にテストを重ねた結果

検証した個体すべてが産卵し(n=4)、飼育するのに十分な数が得られました。





中でも野生の個体が産卵したことは私にとって特別で

一連の産卵ラッシュは偶然ではなかったと理解しています。


↓ 西表野外個体

↓ 西表島野外個体から(11月25日)

↓ 西表野外個体、同年11月28日死亡

↑ の野外個体は

10月31日に樹上で採集された発生初期の個体で

採集日から4週間ほど生存したことになりますが

死亡の5日前にテストした産卵床でやっと産みはじめ

2日で7卵、その後の異なる産卵床でも3日で4卵産んだ後、☆になりました。


↓ 11月28日 西表 掘り出し途中(1日の指数2.2)



茶色であること

クワガタムシ(生物)は、温度・湿度・光・同種異種等

外部環境の影響を受けて生存しています。

とりわけチャイロマルバネは昼行性が強いとされ

その体色からも昼間の活動家であることがわかります。


↓ 周囲に溶け込むことで生き延びる

↓ 上翅は薄く透けて見える




チャイロマルバネの上翅の厚みは薄く、羽を閉じたときの色彩は

上翅・後翅・腹部背面が相まっていることがわかりました。

また、チャイロマルバネは国産種の中で最も遅い時期に発生します。

もしかしたら発生時期と飛翔頻度はこの薄い上翅と関係しており

強い日差しの連続は苦手なのかもしれません。

また、光(日長)と産卵の関係を意識した環境テストも

1週間行いましたがこれに関しては何もわかりませんでした。





腹部切開

私はクワガタムシの産卵に関して特に気になった種の場合は

死亡確認後に腹部切開をしてきました。


切開は、まず4枚の羽を広げ、臓器に注意しながら

背中の被膜だけを切り取らなければならないのですが

わたし、失敗しないので。



☆ ↓ 一部内臓が見えるため閲覧注意!
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今回最も知りたかったことは

西表の野外個体が蔵卵したまま死亡に至ったのかどうか?

それによって思うことが異なります。

仮に、蔵卵したまま死亡翌日に切開した場合体内には卵が見てとれます。

それは、誰が見てもわかります。


↓ チャイロマルバネの体内 

↓参考:カズヒサツヤクワガタ(2003年)



結果は画像の通り、内臓の状態は新鮮ですが

卵は認められず、一区切りしたものと判断しました。

・・・合掌


孵化

採卵した卵は順調に孵化し、幼虫は少し古い自作のマットを食べています。


↓ 孵化近し

↓ 3~4週間で孵化(管理温度21度前後)




最後に

チャイロマルバネの寿命はおおよそ1か月前後です。

時間の余裕はありません。

セットから2日経過しても産んでいないときは産卵床不適合と判断し

迷わず次のセットに切り替え適合範囲の中央を探しているところです。




↓ 高粘土は卵の取出しが難しかったので1回で終了

↓ 9日間で18卵(1日の指数2.0)12月2日掘出し


↓ 寿命が近づくにつれ産卵数は減っていく

↑ 7日で8卵(1日の指数1.1)12月2日掘出し

↓ 10日で24卵(1日の指数2.4)12月3日掘出し




仮に、今回の採卵テストで得た実際が真に迫るもので

安定したブリードに繋がるなら、さらに詳しい生態を知るチャンスがやってきます。

そして、野外個体の需要が、一人分減ります。