クワガタ~スズメバチ等の覚書

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

アカマダラハナムグリ・3-産卵

2017-06-21 23:40:41 | アカマダラ

昨年羽化したアカマダラハナムグリが産卵しました。

産卵セットは、4月上旬に組んでいたのですが

5月16日の掘り出しでは

幼虫や卵らしきものは発見できませんでした。


↓ 昨年羽化した成虫(2017年4月)



この時期なら産んでいてもおかしくないと思っていたので

少し焦り、急きょマットの質を変えて見ました。

アカマダラは大型鳥類の巣から発見されることが珍しくないため

ツバメの糞を少々マットに混ぜてみたのです。


↓ ツバメの糞

↓ カブトマットにツバメの糞を少々



6月17日、容器側面に小さな幼虫らしきものが見えました。

おっ! 幼虫!

なんとか産んでくれたようです


↓ 幼虫



6月21日、掘り出してみました。

幼虫はマットの上部から底部付近にまでまんべんなく発見できました。


↓ 点在する穴は幼虫の仕業

↓ 卵




掘り出しでは卵から終齢幼虫まで各ステージを見ることが出来ました。


↓ 初齢~終齢まで



先月16日の掘り出しでは 

幼虫はおろか、卵さえ見つからなかったので

もしかしたらツバメ糞が産卵誘発したのかもしれません(確証なし)


掘り出しでは卵3個と幼虫12頭で

これが多いのか少ないのかはわかりません。

とりあえ産んでくれたのでひと安心です。

得られた卵・幼虫を別の容器に移し、今日からまとめ飼いを始めました。

管理場所は物置です。


↓ すぐに潜っていく



アカマダラの幼虫は

一般に、動物質を食べると早くよく育つといわれているため

フイルムを剥がした昆虫ゼリーをマット上部に

逆さ向けて数個置いておきました。


↓ 逆さゼリー
 


一方、親虫は産卵継続中だと思われたので

基マットとともに容器に戻しました。


アカマダラハナムグリ・2-羽化

2016-08-15 18:04:13 | アカマダラ

2016年5月に孵化したアカマダラ(購入)が羽化しました。

孵化から成虫になるまでの期間は2か月ちょっとで

これまで得ていた情報の通り

本当に短い幼虫期間です。







しかしながら、他のハナムグリがどれだけの期間を得て

羽化するのか判りませんので

それが特別なものかどうかは知るところにありません。


三つの繭玉

3つの蛹室をそれぞれ暴いてみると

一つ目は既に羽化していました。


↓中央の変色部が蛹室






↓まだ触覚が綺麗な朱~赤色


二つ目はまだ蛹で、羽化の様子が観察できそうです。




三つ目も蛹。

↓蓋のすぐ近くで蛹室






羽化

アカマダラは、オレンジと黒の文様が綺麗で

とても個性的な種です。

アカマダラは果たしてどのような体色で羽化し

色付いていくのか?

興味のあるところでした。


2016年8月14~15日にかけて

1頭の蛹が羽化しました。


↓メスのように思う



↓羽化当日

↓頭部・胸部・脚部は既に色着き

↓羽化最中





羽化したてのアカマダラの羽は白く

黒い文様は肩のあたりにらしきものが

うっすら見える程度でした。


↓腹面



羽化から約6時間経過した新成虫の羽は

薄めとはいえ既にオレンジで

通常の成虫に近い状態になっていました。


↓羽化から約6時間後







羽化して間もない新成虫の体からも

かすかながらもあの独特な匂いを感じとることが出来ました。





考察

アカマダラの幼虫期間は2か月強と短く

ものすごいスピードで成長して行きます。

大型鳥類の巣から幼虫が発見されることが

珍しくないとされることを重ねると

それらの鳥類の成長期間に同調したかのような生育速度です。

また、情報通り

今季羽化した個体は翌年に産卵するのであれば

冬季にアカマダラの幼虫は存在しない可能性があり

管理されなくなった鳥類の巣との関連性も気になるところです。


今回は運よくアカマダラの羽化を観ることが出来ました。

羽化したてのアカマダラの羽は透き通るように白く

大変綺麗なものでした。

そして、羽化から数時間で羽も本来の色合いに近づき

更に時間の経過を経て色は濃くなり

より成熟していくものと思います。





↓野外個体



今回の観察からアカマダラハナムグリ

テネラルが短いということも感じました。


今後も引き続き新成虫の様子や

今年6月に採集された野外個体の観察を通して

アカマダラの世界を覗いてみたいと思います。


アカマダラハナムグリ・1

2016-07-18 20:15:15 | アカマダラ

久しぶりにアカマダラハナムグリの飼育を始めました。

アカマダラは、以前にも近隣の友人により採集された

個体1頭(雌雄不明)を飼育したのですが採集年度(7月)に死亡してしまいました。

もちろん? 採卵はできませんでした。

↓当時の写真


機会があれば観察をしてみたいと思い続けていたアカマダラハナムグリ。

本来なら自己採集といきたかったのですが私の暮す地域ではアカマダラは非常に珍しいため

今後も発見できる保証はありません。

少ないチャンスを逃がすわけにはいかず今回は野外品2頭と飼育幼虫3頭を入手しました。



↑関東産野外個体
↓関西産飼育個体


アカマダラは、日本に広く浅く分布するハナムグリで

その生態は未知るな部分が多いとされることもあるようですが実際に検索などしてみると

思いのほか多くの情報が得られます。



*成虫は樹液を吸汁し、初夏と晩夏に発見される傾向が強い

*幼虫は、鳥類の巣から発見されることが珍しくない

*新成虫は、翌年の春~初夏に産卵すると考えるのが一般的

*成虫は複数年生きるものがいる

*幼虫は成長が早い

‥など参考になるURLがいくつか見つかり

興味深い生態の一面が伺えます。

体の特徴

成虫の大きさは15~20mm程度でカナブンより二回りほど小さく

背面はオレンジに黒の模様が入りるハイカラものです。




↑↓樹皮やマットなどとよくなじむ色合い

↓腹面は、黒と一部オレンジ


アカマダラは他に似た種が見当たらず、同定には困らないとてもえらい虫です。

また、アカマダラ何かにニッキを混ぜたような独特の匂いを放ちます。



その匂いは、以前オオバヤシャブシの前を通った時や、別の場所でも嗅いだ記憶のある

自然界に存在する匂いなのですがそれを文字で説明するのが難しいので

無理に例えて・・・八つ橋(菓子)やスズムシ等の匂い枠です。

アカマダラは、この匂いで同種多種に情報を与えているものと思います。

観察開始・成虫

飼育するにあたってその個体がオスか或いはメスかを知る必要があります。

メスの場合は腹節末端部(お尻の部分)が山のように突起し

オスはそれより平らになります。

小さいほうがオス、大きいほうがメスと行きたいところなのですが

2頭の大きさが異なるせいか私には判別が困難でした。

もしかしたら2頭とも同性かもしれません。




↓小さい方



↑大きい方

観察は、最初の4日間は200ccほどのプリンカップに2頭を入れ様子を見ることにしました。









観察では昼夜問わずゼリーを食べたていることが多く、時々徘徊し、飛翔を試みていました。

また、摂食中も含め2頭が争うような場面は見られませんでした。

↓4日間で2頭が食した量





  
4日の観察を終え、今度は通常の飼育セットに移し替えます。

飼育のセットは、越冬~産卵を見込んだものになるため2Lのブロー容器を使いました。

マットは市販のカブトマットでいけるそうですが手持ち量が十分でなかったため

マルバネ終齢用を流用し、容器底部から3㎝ほどは硬めに詰め

その上から軽く手で押さえる程度に7分目くらいまで入れました。

そして、転倒防止の樹皮とゼリーを加えてセットの完了です。


↑観察しやすいクリアー円筒形




容器に投入して二日ほどは昼夜問わず潜ったり摂食したり、飛翔するなどを繰り返していましたが

徐々にその姿を見かけなくなってきました。


↑飛翔直前

飛翔直前には触覚を広げ、頭を小刻みに振り上翅はそのままで後翅を広げ、飛びます。

*アカマダラは野外で肉食することも考えられますので

高タンパクとされているゼリーを使用しました。

幼虫飼育

幼虫は、背面移動し、とても素早くマットに潜ります。

この系統は私の苦手なタイプです。


↓2016.5 孵化 恐らく終齢

↓頭幅は5㎟程度


飼育の方法は、500ccほどのプリンカップにカブトマットを半分くらいまでやや硬めに詰め

その上から軽く押さえる程度にマットを追加しました。

最後に幼虫を投入するとものすごいスピードでマットに消えてしまいました。


↓このまま羽化まで


幼虫は年内羽化、成虫は翌年産卵これらをもとに数を増やし

その生態を覗いてみたいと思います。



主な参考URL:
アカマダラコガネ(アカマダラハナムグリ)
http://www.geocities.jp/conservation7area/akamadara/akamadara.htm

兵庫県立 人と自然の博物館
http://www.hitohaku.jp/blog_old/2009/06/post_327/

大阪自然
http://www.geocities.jp/conservation7area/akamadara/akamadara.htm

アカマダラコガネー謎の多いコガネムシ
http://www.k2.dion.ne.jp/~kurose64/shiiku-akanadara.html