クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

ブルークツヤクワガタ・8-飼育終了

2022-11-05 00:46:05 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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ブルークツヤクワガタの羽化が終わりました。

もっとも大きく見えた最後の幼虫は他個体より2か月遅れて蛹室入場したため

長歯型を期待したのですが43㎜あたりの短歯型になりました。

 注)むし社の企画、飼育レコードとは関係ありません

↓ これが最大

 

この個体は一番大きかった幼虫で、容器底部の広い範囲を縄張りとしていました。

当初はこういうやつが長歯型になるのではないかとも思ったのですが

そうではありませんでした。

クワガタムシの大アゴ出現型については前蛹期の温度説がありますが

その限りでもないと思える種もいるため、本当のことはよくわかりません。

 

↓ 2022年10月11〜12日にかけて最後の1頭が羽化

 

ブルークツヤクワガタの飼育を通して感じたことは

他のツヤクワガタやマルバネクワガタの幼虫でも見られるように

ある範囲のスペースの壁に糞を塗り、特別な空間を作るため

そこから取り出したり、頻繁に環境を変えることは好ましくないということ。

作り出された空間は、成長に必要な窒素と関係するのではないかと思っています。

これは、チャイロマルバネの幼虫に起こりがちな私の飼育下での事象

「取り出すたびに落ちてゆく」にも通じることのように思います。

 

↓ 2022年6月24日 羽化中に死亡したメス

↓ 2022年8月14日 短歯型ばかり

↓ 幼虫期の糞の匂いなのか? やはりカナブン系の匂いがする

↓ 短歯はペンチと同じ、戦いで凶器と化する 短いから不利というわけではない

↓ 食べないゼリーは早めに取り除く 新成虫は雑菌に弱いようだ

↓ 菌に侵された新成虫 オス

↓ 最後の1頭はそれなりに大きかった

 

2021年1月からブルークツヤクワガタ飼育を開始して1年と9ヶ月

幼虫24頭の育成結果は以下の通りになりました。

 2頭=幼虫の段階で死亡・消失 

 5頭=終齢幼虫で譲渡

 2頭=羽化・蛹時に死亡

 15頭=無事に羽化(4頭は羽化後ボーベリア(?)に侵される)  

以上、これをもってブルークツヤクワガタの飼育を終了します。


ブルークツヤクワガタ・7-羽化までの概要

2022-06-08 20:45:17 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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ブルークツヤクワガタのオスが羽化しました(以下ブルークツヤ)

今回は羽化までのあらすじを簡単にまとめました(画像多し)

 

今回羽化したのは800ccボトルで単独飼育していた小さな短歯型グループです。

7頭まとめ飼いしている容器にはまだ幼虫がおり

それらの羽化はもう少し先になりそうです。

また、この他にも昨年終齢幼虫5頭を手放したのですが

その後他者に渡ったため、足取りはつかめなくなりました。

 

↓ 短歯3頭

↓ まとめ飼いの中にはまだ幼虫がおり、居住空間にはペレット状の糞が大量にある

 ↑ 広いテリトリーを確保したオスが長歯になるのか?(2022.6.8)

 

幼虫の顔

ブルークツヤの幼虫頭部の画像はあまり見かけないので少し多めに掲載します。

 

↓ 腹が重く移動は苦手、気性が荒く攻撃的 オス終齢後期(2022.3.7)

↓ 大アゴは強く湾曲

↓ 刺毛は長い

 

居住空間と蛹化・羽化

蛹化が近づくと蛹室周辺の空洞を整備し、蛹室を作成します。

蛹室は出入りしながら作成し、最後に蛹室内から出入口を塞ぎます。

蛹室入場直前の幼虫は成長ピーク時と比べ小さくなっています。

オスの場合、蛹室入場(4.16)から20日後(5.6)には蛹化しているのを確認し

それから30日で羽化(6.5)しました。

 

↓ 蛹室入場前に空洞を整備する 羽脱時の残土スペースの役割も果たす

↓ 体内内容物はほとんど見えず、前蛹に向て出来上がりつつある

↓ 蛹室入場近し

↓ 空洞だらけの容器 管理温度20度前後(2022.1.16)

↓ 新成虫の頭部は空洞方向(出口)を向く(2022.2.20) メス

↓ *ボーベリヤ菌に侵されたのか? メス(2022.2.20)

↓ 2022年2月23日 撮影

↓ メスの後食開始は羽化から5ヶ月前後(2022.4.17)

↓ 2022年5月3日撮影 羽化したメス

↓ 成虫も*ボーベリアに侵された

*ボーベリア菌は大気中に広く存在し、植物の病害虫駆除にも応用されている菌

 

↓ オス短歯型 4月16日蛹室入場→5月11日撮影

↓ 大アゴが先画像の個体よりほんの少し発達した個体

↓ 羽化後は、蛹室そばの空洞部に脱出する⇒

↓ 羽化前日のオス短歯型(2022.6.4)

↓ 羽化 2022年6月5日 出てしまった!

↓ 交尾器露出

↓ 羽化翌日 

↓ 撮影のため蛹室から取り出す

↓ 羽化から1週間後

 

羽化までの概要

管理温度:20~26度(アバウト)

卵から羽化までの期間:オス15か月前後〜・メス9か月前後

マット:カブトマット・完熟系・知名度抜群の高額マットでも

発酵の余地があるマットを主体に赤枯れMIXで作成すると

産卵しなかったり、最悪の場合幼虫は死亡する可能性があります。

簡単に言うと、コバエが湧く腐食度合いのマットはリスクが高く

植物由来のマットを分解する系統のバクテリア云々に

あまり惑わされないほうが良いかもしれません。

これはチャイロマルバネや、コツヤなど一部の他種にも言えると感じています。

 

↓ 窒素固定菌に頼るところが多いと思われる

 

手元にはまだいくつかの幼虫と蛹がいます。

それらすべてが羽化したらもう一度記事に上げ、このカテゴリーを終了します。

 


ブルークツヤクワガタ・6-メスの羽化

2021-11-26 23:24:03 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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ブルークツヤクワガタのメスが羽化しました(以下ブルーク)

 

ブルークのメスが卵から羽化までにかかった期間はセットから逆算すると

長くて10か月、短くて7か月くらいだと思います。

オスらしき幼虫はまだ蛹室に入っていないためメスのそれより長くなります。

 

↓ 2021年11月24日 21時

↓ 11月24日 22時 わずか1時間で体表の色が変化

↓ 11月25日 12時半 蛹殻水分が抜けてきた

↓ 2021年11月25日 夕方〜羽化 蛹室からはみ出し

↓ 無事蛹室に収まりました 

↓ 11月25日 22時30分頃 上翅会合線に模様が出始める

↓ 11月26日 22時30分頃 

↓ 蛹室から出ないようにティッシュで蓋をする

 

今週は、蛹室に入る個体が増えてきました。

おそらくメスかと思われますが

そのうちオスも蛹室入場して、その歯型を見せてくれるものと考えます。

 

 

おまけ

2種の菌床を買いました。

菌床といってもクワガタ用ではありません。

人が食べる分です。

一つはシイタケ、もう一つはマイタケ

シイタケは室内管理で、表面が乾燥しないように適宜霧吹きします。

↓ 森産業のシイタケ(オガタイプ) うまくすれば3回収穫できるそうだ

 

マイタケは原木で、プランターにて屋外栽培します。

赤玉土中目で菌床を埋め込んで水を与えます。

こちらの収穫は来年の秋になりそうですが

直射日光を当てず、雨にあてながら収穫を待ちます。

 

↓ マイタケ   隣の鉢は野生のワサビ

↓ 原木は産卵木L程度のサイズが2本結束してある

 


ブルークツヤクワガタ・5-蛹化

2021-11-18 22:02:41 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

ブルークツヤクワガタ(以下ブルーク)が一部蛹化しました。

蛹化したメスの幼虫期間は、産卵から含めると7〜10か月です。

昨日掘出したのはこの1ボトルだけですが

他にも蛹化している個体はいるかもしれません。

頭部の大きさからオスと思える幼虫の中には

年内に蛹化してもおかしくないような熟度の個体も見受けられます。

 

↓ 蛹化のサイン=マットに出来た空洞(2021.10.12)

↓ メスの蛹 既に複眼は黒くなっている(2021年11月17日)

 

ブルークの幼虫は容器底部あたりで部屋を作り

内壁マットを食べながら育ちます。

そのため一旦部屋を作ったらそこを拠点にさほど移動しません。

そして、蛹化時には蛹室を隔てて空洞を作るので

餌となるマットの範囲は限られており

800ccボトルのマット約半分は乾燥防止には役立ったものの

餌としての利用がほとんどありませんでした。

餌追加の手間を考えると、飼育という点では楽な部類かもしれません。

 

↓ 終齢幼虫 気門の周りは白いまま(2021.10.12)

↓ ツヤクワガタ幼虫の腹部は太く、体重バランスは悪い(2021.10.12)

↓ 頭色は薄いオレンジ(2021.10.12) 

↓ おそらくオス、終齢幼虫 頭幅8㎜前後(2021.10.12)

↓ 多頭飼育の終齢中期幼虫(同一個体:おそらくオス・2021.10.20)

 

採卵から蛹化までを通して感じたことは

ブルークはインビタビリスツヤやチャイロマルバネなどと似たような生態をしており

幼虫部屋は外部からの影響を受けにくいエサ付きのシェルターみたいなものです。

シェルター内の幼虫を取り出すと危険がいっぱいで

マットの質次第では、若齢の場合は生死にかかわります。

これは、チャイロマルバネやインビタビリスにも同じことがいえ

幼虫部屋のような特殊な環境を作り出す種はできるだけそっとしておくのが

良い結果を生むのではないかと感じています。

 

↓ まとめ飼い放置 終齢中後期の幼虫 管理温度21〜26度

 


ブルークツヤクワガタ・4-体内バクテリアは本当に必要か?

2021-09-18 20:51:48 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

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先々週、ブルークツヤクワガタの単独飼育を開始しました(以下ブルーク)。

前記事では初齢~終齢幼虫まで確認しましたが

今では半分以上が終齢になっており、中ケースでは少し窮屈になりました。

↓ 24頭が22頭になっていた

↓ 終齢幼虫

↓ 終齢初期

↓ 終齢初期

↓ 2齢中期

↓ 2021年7月3日 母虫死亡確認(野外個体入手から約半年生存)

 

共生酵母菌類は本当に必要か?

クワガタムシ幼虫の体内には

母虫から伝搬された酵母菌類(以下バクテリア)が住んでおり

それらバクテリアは「菌嚢」と呼ばれる器官で育成されています。

マメクワガタやオオクワガタなど多くの種の幼虫は

キノコやその他の菌類等によって朽ちた木を食べ

母虫から伝搬されたバクテリアの力を借りて消化〜栄養吸収して成長します。

↓ マダラクワガタ幼虫は赤枯れ朽ち木を好む

幼虫の排泄物には同類のバクテリアが含まれ

周辺の環境を整える役割も果たしています。

そして、これらの幼虫は自ら排出した糞を再び食べることもあります。

また、幼虫から排泄された糞はしだいにマットと融合し

その原型をとどめなくなることは珍しくありません。

ところがカブトムシやハナムグリの幼虫の糞は

ペレット状のまま一向にマットと馴染まず、分離した状態が続きます。

これと同じようにブルークやインビタビリス、マルバネ系の幼虫の糞も

マットに馴染まず分離した状態が続くため

もしかしたらマットを分解するような微生物が

好まない物質になっているのかもしれません。

↓ペレット状のままマットと分離した状態が続く(オオチャイロハナムグリ幼虫の糞)

↓ インビタビリス幼虫の部屋内壁に蓄積された黒い糞

↓ チャイロマルバネ幼虫の糞、簡単に取り出せる(黒い部分)

↓ 左:オオチャイロハナムグリの糞 右:チャイロマルバネの糞

そもそもツヤクワガタやマルバネ等の幼虫は

土化したような植物由来の腐食物を好んで食べます。

こういった腐食物はある程度水分を含んでいても少しの歳月では見た目の変化が感じられず

木としての分解の終盤にあることと、栄養値の低いことが推察できます。

また、それらの幼虫(特に若齢)に一見して木質とわかるような腐食度合いのマットを与えると

次第に衰弱し、息絶えることは珍しくありません。

現在ブルークの幼虫は順調に育っています。

ブルーク幼虫は、既にキノコやバクテリアなどによりほとんど分解を終えたようなフレークや

鉱物を含む土壌に溶解した植物由来の養分を吸収するために

オオクワガタ等とは異なる何ものかを利用しているのではないかと考えます。

↓ ブルークのマット作成(栄養のなさそうなマットに赤枯れを45%ほどMIX)

↓ 黒い部分は残留する糞

↓ ブルークの残留する糞

↓ 実際の糞は黒っぽく、マットと分離した状態が続く

↓ 内壁に分解されにくい糞を塗った部屋で暮らすブルーク終齢幼虫

↓ ブルークの初〜終齢幼虫 この系統は成長とともにお尻にかけて太くなる

クワカブ飼育では「バクテリアが大事」、誰もが知るところです。

しかしながら先述のようにハナムグリやマルバネ・小型ツヤなどを飼育していると

なにか引っかかるんです。

ブルークツヤクワガタ・「体内バクテリアは本当に必要か?」

その食性・生態・糞の状態等からして

オオクワガタなどと同類のバクテリア依存はほぼないと私は妄想しており

それとは少し違った系統の何ものかに頼っているのではないかと考えます。

私の飼育経験種で共生酵母菌類への依存度が高いと思われる系統から順に並べると

オオクワガタ系・マメクワガタ系・ルリクワガタ系等

 ⇩

ミヤマクワガタ系

 ⇩

ネブトクワガタ系

 ⇩

大型マルバネ・ツヤクワガタ系

 ⇩

小型マルバネ・小型ツヤクワガタ系

大雑把に並べるとこんな感じで

ネブトクワガタあたりから幼虫の腹部が大きい系統になります。

そして、こういった食性のクワガタムシは条件が良いと多産する傾向にあり

本来、繊細で生存率が低いことを推察させます。

↓ チャイロマルバネ終齢幼虫

 

最後に

今回はブルーク幼虫の飼育過程で大筋でまとまりかけたこれまでの妄想を文字にしました。

よって、この記事は間違いだらけのでたらめかもしれませんので

ご承知おきください・・・悪しからず。

↓ 左:オオチャイロハナムグリ幼虫糞  右:チャイロマルバネ幼虫糞

↓ 窒素固定菌の役割は大きい

↓ 800ccボトルで単独飼育の開始(管理温度は22〜25度程度)

↑ 白線より上は追加したマット

↓ 一部は元の容器で飼育 追加マットはかぶせおく程度

↓ 妄想したマットで育った終齢中期のブルーク幼虫(2021.9.7)


ブルークツヤクワガタ・3-掘り出し

2021-06-12 20:45:59 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)。

今年の1月21日にブルークツヤクワガタの(以下ブルーク)

産卵セットを組んで5か月以上経過しました。

産卵自体は早い時期に確認していましたが

ブルークもまたインビタビリスツヤクワガタ同様に

容器側壁などからは幼虫の姿が見えにくいため

たまに霧吹きなどしながら様子をうかがってきました。

 

↓ 2021年2月22日 産卵床のメス

 ↓ 二日間ほど食らいつき、蔵卵に繋げる

 

↓ マット内上層部で卵発見! ばらまいたのか?(2021年5月24日) 

そして、先週半ばに産卵床らしき部分で

ようやく幼虫の姿が見えたので本日掘り出してみました。

 

↓ 管理温度は23〜26度くらい

トレイにマットを移すと塊の割れ目から幼虫がちらほら

ホットする一瞬です。

 

↓ 幼虫発見!

↓ 2齢初期

↓ 団子状産卵床

↓ 産卵床の中身 (2頭出てくることもあり)

↓ インビタビリスと似たような暮らしぶり

↓ 初齢初期〜終齢初期(?)まで存在

掘り出しで発見できた幼虫は24頭で、初齢初期〜終齢ではないかと思えました。

また、卵の発見はありませんでしたが幼虫のステージばらつきからすると

産卵は中期に渡り行われていることが推察できました。

 

↓ かなり若く小さな初齢幼虫  緑色は「やわらかピンセット」

一旦回収した幼虫ですが現状で大方順調に育っているようなので

別容器には移さず、もとの条件下で更に育つのを待つことにしました。

 

↓ 幼虫は産卵セットに戻す

掘り出し時にはマットから母虫も出てきました。

母虫は軽くなってはいるものの比較的元気そうで

もしかしたらまだ産卵できるのかもしれませんが

既に飼育するには十分な数の幼虫が採れたため

別容器で休ませることにしました。

 

↓ 母虫の新居

 

今日の掘り出しで出てきた幼虫の体内には餌がしっかり詰まっており

今のところ飼育環境に大きな問題はないと判断しましたが

羽化まで育て切ることができるかどうかはこれからの課題です。

 

↓ オスは既にサンプル

↓ オス胸部腹面は脚基部にかけて盛り上がり突き出る

 


ブルークツヤクワガタ・2-産卵

2021-02-19 00:26:30 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

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2月16日の朝、飼育容器を覗くとマットの上で何やらうごめく白いものがいました。

ふたを開けて覗いてみると孵化したてと思われる幼虫が・・・?

↓ 2021年2月16日7:40 マット上で幼虫発見!

ブルークはインビタビリスツヤクワガタと同じように

マットを団子状にしてそこに産卵するらしいのですが

母虫がマットに潜ったときに卵を掘り起こしてしまったのかもしれません。

産卵セットを組んだのは1月21日で、それから26日目の出来事でした。

因みに管理温度は24度ほどです。

産卵から孵化までの日数は、長くて26日ということになり

思いのほか早く産卵をはじめたようです。

↓ 産卵床らしき痕跡もいくつか見えてきた

現在、母虫はほとんどマットに潜ったままで

その姿は見えませんが継続して産卵していることを願い

しばらくそのままにしておきます。

実際に産卵セットを掘り出すのは数か月後であり

その間の産卵セット内の実情は知ることができないため

発見した幼虫を小さなプリンカップに入れ観察することで

それをうかがい知ろうと思います。

 

↓ プリンカップに入れ、様子をみることに

↓ 孵化24時間以上経過しても頭部は白く半透明

↓ 孵化二日後、脚部もまだ白く透明

2月18日、プリンカップの幼虫の体内にはマットと同じ色の内容物が見えます。

今のところ拒食はしていないようで、幼虫は元気な様子です。

このまま幼虫部屋を作り上げ、うまく成長してくれたなら

数か月後の産卵セット掘り出しに期待が持てます。

 

↓ 体内にはマットを食べた形跡がほんの少し見える

それにしてもこんな早く産卵し、孵化に至るとは思っていなかっただけに

マット上でうごめく幼虫を発見した時は目を疑いました。

 

おまけ

↓ オスはメスを傷つけるかもしれないので注意が必要(実際に経験済)

↓ オスの内歯は意外と強靭

↓ 雌雄ともにクワガタナカセ(ダニ)付着

↓ オスは2月10日に死亡確認〜乾燥中


ブルークツヤクワガタ

2021-01-21 21:40:52 | ブルークツヤ(Borneo)

*カテゴリーから入ると産卵〜羽化〜考察につながります(8記事)。

ブルークツヤクワガタ

Odontolabis brookeana

体長:オス29.6~52.9㎜ メス24.9~29.4㎜

分布:スマトラ・タナマサ島・ボルネオ

よく似た種にゾンメルツヤクワガタ Odontolabis sommeri がいます。

↓ ブルークツヤクワガタ

 

2回目の飼育

ブルークツヤクワガタの飼育は2回目です(以下ブルーク)。

前回(2018年)は産卵せずに終わりを迎えましたが

メスは飼育開始から3か月ほど生存した記憶があります。

今回は産卵セットを周到に準備して生体を迎えました。

↓ South kalimantan 産野外個体

↓ 腹面 雌雄ともにきれい

↓ オス体長約47㎜(今回飼育個体) 長歯型 


↓ 2018年に飼育した個体 オス体長約42㎜ 

↓ 大あご基部に三角形状の内歯がある(ゾンメルツヤクワガタにはない)

↓ 微毛が密生



飼育するブルークメスの上翅の模様は

ボルネオ北部等に分布するゾンメルツヤクワガタの亜種

Odontolabis sommeri loweiに似ていますが

水沼哲郎・永井信二著1994.「世界のクワガタムシ大図鑑」にも

同じような上翅模様のW  kalimantan産ブルークメスが図示されています。

↓ ブルークのメス26㎜ ゾンメルツヤクワガタ ボルネオ亜種と似たような黒い柄




オスは、軽く刺激を与えると脚を使って体を機敏に上下させ、何かをアピールします。

雌雄ともに符節(爪)は鋭いので古い個体ではないようです。


 

多くのクワガタムシ(オス)では

大あごの出現型(短歯〜長歯型)は体長に影響されますが

ブルークのオスの大あご出現型は必ずしも体長と歯型が一致しないようなので

出現型にはパプアヒラタのように遺伝によるところもあるのではないかと私は考えます。


↓ パプアヒラタクワガタ野外個体

↓ 似たような大あごを持つツヤクワガタは多い




産卵セット

一般にブルークの飼育繁殖は難しいといわれていますが

西山保典著「世界のクワガタG」によると

ブルークツヤクワガタは「低山地から中山地域に生息する普通種。

ココヤシの花や、樹液に集まり、日中容易に採集できる」とあります。

また、藤田宏著「世界のクワガタムシ大図鑑(6)」では

「平地から標高1500m以上の高標高地まで広く分布しているが

標高500〜1000m付近に多い、灯火にもよく集まる。」とあります。

どうやらブルークは現地では珍しくはないようなので

繁殖できる環境は限られてはいるものの

そういった環境が広範囲にあると思え(例えば土中)

今回は、インビタビリスツヤクワガタや

チャイロマルバネの産卵に通用したマットを使い

水分多めでセットを組みました。

↓ 乾燥させたいマット類は、土嚢袋に入れておくとうまく乾燥でき、保管もしやすい

↓ 基マット約55%シイ赤枯れ約45%で配合

↓ 底から10㎝ほどはやや硬詰め・粘土はやや高め

 

産卵セットに投入する前に何度もハンドペアリングを試みたのですが

オスに交尾欲が見られませんでした。

野外活動していたメスであれば大方交尾は済ませているので

とりあえずは持ち腹に期待し

飼育下未交尾のままメスを産卵セットに投入しました。

あとは準備したマットで産卵してくれることを願うだけです。

↓ オスの反応が悪い!  

↓ 性成熟していることを前提に・・・

鈴木智之・福家武晃.2002.  「世界のクワガタムシ生態と飼育」によると

スマトラではブルークは3~4月に出現するようです。

そして、棲息地は15~25度とありますので

小屋内22度程度の場所で飼育を開始しました。

↓ 管理温度は22度くらい

参考・引用文献:

 水沼哲郎・永井信二,1994.世界のクワガタムシ大図鑑.むし社. 

 鈴木智之・福家武晃.2002.  世界のクワガタムシ生態と飼育.

             株式会社環境調査研究所.

 鈴木智之,2005 .クワガタ・カブトムシ飼育大図鑑. 世界文化社.

 藤田宏,2010.世界のクワガタムシ大図鑑6.むし社.