クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

インビタビリスツヤクワガタ・2ー産卵と幼虫の暮らし

2020-09-26 23:56:18 | インビタビリスツヤ

*マットの作り方は記事「難関種マットの作り方」をご参照ください

 

難関種マットの作り方 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに現在、ヤエヤママルバネやオキナワマルバネ等の国産大型マルバネの飼育方法はほぼ確立されており、愛好家に広く知れ渡っています。一方で小型種であるチャイロマル...

goo blog

 

 

昨年11月にあらさんから終齢幼虫でいただいた

インビタビリスツヤクワガタ(以下インビタ)が次世代を残しました。

 

↓ 2020年1月19日 繭玉

↓ 幼虫5頭は、2020年4月までにすべて羽化

↓ オス

 

羽化から約1か月半が過ぎ

後食を始めた雌雄から順次同居させ3月末に産卵セットを組みました。

インビタの採卵に使用したマットは

チャイロマルバネがよく産んだマットにシイの赤枯れを追加したものです。

水分は、ギュッと握って団子がつぶれない程度にしました。

管理温度は他種との関係で22度前後です。

 

↓ 底部5cmほどはやや硬く詰め、2セット完了

↑ 2オス3メスで組み合わせた

↓ こちらは2メス体制

 

その後、メスがマットに潜ったり出てきたりを繰り返すので

「もしや?」と思い、4月末に掘り出してみましたが卵は見つかりませんでした。

あらさんから聞いていた通り、性成熟していなかったようです。

 

↓ 体表はマットだらけ オスもマットに潜る

 

5か月ぶりの掘り出し

2020年9月26日、最初の掘り出しから5か月が過ぎました。

ふたを開けるとマットの上には力尽きた成虫が見えています。

 

↓ 2020年9月26日掘り出し直前 親虫は6~8月にすべて死亡

 

容器側面や底面からは幼虫の姿やそれらしき痕跡が全く見えないため

「やっぱり産んでいないのか」と思いながら容器を逆さにしてマットをトレイに移しました。

とその瞬間、幼虫が現れました!

マットの塊が割れ、そこから幼虫が見えたのです。

 

↓ 気門のまだ白い幼虫

↓ 他の塊からも幼虫は出てきた

↓ 食べたマットが透けて見える

 

インビタは団子状になったマットの中から幼虫が出てきます。

団子が先か?産卵が先か?

このからくりは不明です。

カズヒサツヤクワガタも同じ産卵形態でした。

 

↓ 団子の中に幼虫 2齢と思える

 

幼虫の暮らし

インビタは野生でも木の根元付近の土中から発見されると聞きます。

今回の掘り出しで団子の中から出てくる幼虫を見て

「なるほどこんな感じか」と思う傍ら

過去に何度も失敗したカズヒサツヤクワガタのことを思い出しました。

なんかインビタも似たような感です。

「こういう種はあまりいじらないほうが良い」

少しおじけづいた部分もあり途中で掘り出しを止めました。

もう一つの容器は手を付けずしばらく放置することにしました。

 

↓ もう一つの容器に暮らしの痕跡?

↑ 期待できそうな部分と ⇑母虫の作った坑道

 

インビタの産卵セットを組んで5か月。

容器側面・底面からは幼虫の気配が伝わらないまま今日の掘り出しに至りました。

結果、団子状の塊内から順調に成長していると思える幼虫が出てきました。

そして、同様の塊はいくつかあったのでそこにも幼虫が入っているものと信じます。

 

インビタの幼虫は硬く分厚い砦の中で適度な空間を作り

その内壁を食べながら成長しているようです。

そのため容器の側壁や底面からは暮らしの痕跡を窺い知ることができませんでした。

 

↑ ↓ 母虫による坑道と団子

↓ 団子を割ってみる

↓ ↓

↓ 蛹室のような部屋から出てくる

↓ もうしばらく放置することに

 

最後に既知の知見と重なりますが飼育下で私がみたインビタの生態を

簡単にまとめてみました(n=5)

*成虫の寿命:羽化日から4~6か月( 2か月ほどのばらつきあり)

↓ 2020年9月26日 掘り出し前のマット表面にて

 

*性成熟期間:メスは羽化日から2か月半以上(実際の産卵開始時期は不明)

*幼虫の生態:蛹室のような部屋で成長(マ ルバネクワガタと類似)

(この手の種は栄養吸収に有益な菌類を母虫から受け継がないと思う)

 

今日の掘り出しでは半分諦めていた幼虫が確認でき

また、作成したマットを食べ加齢していることもわかったので

今後の掘り出しと、成長に期待を持ちました。

 

おまけのブルークツヤ

一昨年、ブルークツヤクワガタ野外個体のブリードを試みましたが

産まないまま死亡しました。

機会があれば今回のインビタに使ったマットでもう一度トライしたい種です。


↓ オス42㎜  メス25㎜

オスは、脚を使って体を機敏に上下させ何かをアピールします。

↓ 小〜中型のツヤクワガタのブリードは相対的に難しい


↓ 腹面がきれい






オスの大あご出現型は必ずしも大きさに比例しないため

パプアヒラタみたいに遺伝によるところがありそう。

 



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あら)
2020-10-08 21:40:09
ご無沙汰しております。インビタビリスは良かったですね。ウチはセット後は触らず待っております。前回の幼虫は三齢になると普通にマルバネの餌で問題なく食べてました。
ブルークツヤもいけるかと思います。ウチで採卵したものは結局、雌一頭のみ羽化し、最近後食がはじまっており、ワイルドの雄が入手出来なければ、また初めからです。インビタビリスよりブルークツヤの方が幼虫は変化に弱い印象でした。機会があれば是非チャレンジしてみて下さい。
返信する
Unknown (こよみ)
2020-10-08 22:22:24
こんばんは
インビタ産んでくれて本当に良かったです。
暫くは乾燥に注意しながら、このまま触らずにおこうと思います。

もしブルークを手にする機会があれば同じマットでやってみますね!
最近は、アジア系のクワガタの輸入が減ってきてますので残念です。




返信する

コメントを投稿