クワガタ~スズメバチ等の覚書

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朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

オオチャイロハナムグリ・3-羽化

2022-06-20 00:05:32 | オオチャイロ(兵庫)

2022年6月16日

屋外軒下で管理しているオオチャイロハナムグリの容器ふたを開けると

新成虫がたくさん出てきていました(以下オオチャイロ)。



私のところでは飼育を開始したころは1年1化の個体は珍しくありませんでしたが

今ではほとんどが2年1化で羽化するようになりました。


↓ 3ケースで得られた新成虫は100頭以上 上翅の茶色い個体が多い



冬季のオオチャイロの幼虫は、容器底部周辺で接近した状態で越冬しており

集団で身を守るためなのか、単に一番過ごしやすい場所なのかはわかりませんが

カブトムシの場合、近づいた幼虫に発音で自分の存在を知らせ

それを感知した幼虫はしばらくの間フリーズするといった習性があるようです。

もしかしたら、オオチャイロの幼虫もカブトムシのように情報を発信し

それの繰り返しが、接近した状態につながるのかもしれません。

 

↓ 右端は前蛹(2018年11月4日撮影)

 

オオチャイロの飼育保管場所は物置の北側軒下で

自宅敷地内では日当たりが悪く、温度の比較的低い場所ですが

夏期は温度計計測で30度を超える日があります。

成虫にはゼリーを与える程度で

特別な世話はしませんが、毎年よく繫殖しています。

 

↓ 屋外物置軒下保管

↓ 今年は大型がちらほら クワガタ幼虫食べかすが良かったのか?

↓ 新成虫の選別ー最大・最小・最茶色

↓ 一番茶色かった個体(オス)

↓ 緑多めの大型オス

⇩ 腹面

↓ 最大個体と最小個体(どちらもオス)

↓ 卵も発見

↓ 繭玉内で待機する群が20ほど

 

掘出しでは卵〜新成虫まで出てきましたが、終齢幼虫は少なかったので

来年の新成虫も少なくなるかもしれません。

 

↓ 容器内には卵〜新成虫まで認められた

↓ 終齢幼虫は少なかった

 

オオチャイロは、ブナ帯の限られた環境下でのみ生存するイメージが強いのですが

平地の自然温度下で飼育してもよく繁殖し、代を重ねます。

また、コルリクワガタ等のように飛びまくり

遺伝子交流する部類とは思えないので、近親繁殖にも強いのかもしれません。

 

↓ 中央はメス


オオチャイロハナムグリの産卵

2018-06-09 19:44:38 | オオチャイロ(兵庫)

5月20日にオオチャイロハナムグリの産卵セットを組んで19日が経ちました。


*「カテゴリー」から入ると、飼育過程等が繋がります。


先週の初めころには容器底部で白い卵らしきものが確認できていたため

今日、掘り出してみました。


↓ 2ペアでセット


↓ セットの様子



セットを組んだ当初は雌雄ともに地上に出てきたりしていましたが

しだいにメスは出てこなくなりました。

殆ど潜りっぱなしです。


↓ ゼリーを食べる(オス)



また、地表のオスは殆ど喧嘩をしませんが

たまに前脚を伸ばしたような体制をとったり、頭を下げて威嚇しあうことがありました。





産卵

卵の発見できる場所は、底部周辺の硬く詰めたところからのみで

ふんわりしたところには産んでいませんでした。


↓ マットはマルバネ幼虫食べかす



自然下でも樹洞のフレーク溜まり底部に好んで産卵することが推察できます。


↓ 生息地はブナ帯、樹洞


↓ 卵座は卵の成長に合わせたゆとりの空間


↓ 成長した卵は結構大きい


↓ 大小合わせて28個


↓ 卵はプリンカップで一時管理



セット期間19日で一日の産卵指数は1メスあたり約0.7個でした。

オオチャイロハナムグリが羽化後どのくらいで繁殖可能かは

羽化日不明のためわかりませんが

まだ元気が良いので産卵は続けるものと思われます。


↓ オス



今日の掘り出しでは押し固めた部分からのみ卵が確認できたので

前回より硬詰め部を多くして再び2ペアを投入しました。


↓ 匂いが漂う ~ ~ 


オオチャイロハナムグリ

2018-05-20 23:04:21 | オオチャイロ(兵庫)

今日は、大ベテランさんからオオチャイロハナムグリをもらってきました。

貴重な種をありがとうございます。

↓ 兵庫県産飼育個体



オオチャイロハナムグリ

Osmoderma opicum Lewis, 1887
体長:26~36mm前後
分布:四国・九州・一部の県と島を除く本土・韓国など
  (地理的変異が認められるとされ、特に屋久島の個体群は違うらしい)
発生期:おおよそ7~9月上旬





オオチャイロハナムグリは、独特の匂いを放つ国産最大ハナムグリで

山地の巨木・古木などの樹洞を主な生活場所としています。

稀にミズナラの樹液やイワガラミの花に集まることがあり

また、灯火への飛来例もあるようです。




そして、オオチャイロハナムグリは特殊な環境下で生活するせいか

個体数は多くないとされています。





このオオチャイロハナムグリを県下山地帯で何度か探したことがあります。

ブナの古木洞に溜まったフレーク内で

本種のものではないかと思われる大き目の糞(幼虫の)を見つけたことはありますが

それ以上確証の得られるものは出てきませんでした。

↓ オス:前胸背板中央に明瞭な溝

↓ メス:溝は浅く不明瞭


また、以前飼育したオオチャイロハナムグリは小型でぜんぜん大チャではなかったので

せめてそれから放つ匂いだけでも記憶できたらと思いましたが

それらしき匂いはわからないままでした。

今思えば、市場に流通する「外国種」だったのかもしれません。

しかしながら、今回はなるほど大茶色で漂う匂いも十分です。


↓ アカマダラとは全く異なる匂い


ブリードは、クワガタの廃マットを使い、ほぼ放置した状態との事でしたが

どれも大きく育っていました。


↓ 威嚇中

↓ これで手でも長ければ、今頃は採集禁止でしょう!

 

産卵セット

頂いた2ペアは一つの容器でまとま飼いされていたものです。

そして、自力で蛹室脱出した個体であるため既に交尾を済ませている可能性があります。

↓ まとめ飼いされていた




自宅に帰り、早速に産卵セットを作ります。

オオチャイロハナムグリは樹洞生活者であるため

産卵用にはマルバネ幼虫の食べたマットを利用しました。

水分は低めで、フカフカに近い感じです。




↓ 底部5cmほどは硬詰め


これで産んでくれるかどうかはわかりませんが

帰り際に幼虫用のマットももらったので準備だけは万端です。



スマホに写る4頭はどれも大きく、日当たりでは茶色と緑が渋く光りました。



参考文献:

  岡島秀二・荒谷邦雄 監修,2012.日本産コガネムシ上科標準図鑑.
               株式会社学研教育出版.