クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

キンキコルリ・6-発生時期について

2024-05-12 15:48:51 | キンキコルリ(兵庫県中部)

はじめに

兵庫県でのキンキコルリとニシコルリの分布境界調査について

中部地方で発見したコルリクワガタ種群は

便宜上「キンキコルリ」のカテゴリーで覚書しています。

カテゴリー「キンキコルリ」から入ると一連の調査につながります。

下図は調査した場所の略図で、初調査日時順にA〜Hです。

(青=ニシコルリ・緑=キンキコルリ・グレー=未検・背景色なし=発見できなかった)

鶯色三角型は、位置関係をわかりやすくするためのもので深い意味はありません。

今回は早春ということもあり、GエリアとHエリアの分布調査と同時に

中部地方のコルリクワガタ種群の発生時期を知るチャンスでもありました。

よって記事構成は、調査日時順になっています。

↓ 新たにG・Hの二カ所を調査

 

Gエリア

日時:2024年4月13日 9:45~10:40

場所:兵庫県中部(Fエリアから南方向に直線で1.9㎞・Bエリアまで南方向に直線で約1.5㎞)

標高:910m前後

天候:晴 気温:16℃前後

結果:発見なし

調査した場所は日当たりがよく、林床はやや乾燥気味でした。

林床を1時間ほど探しましたが、産卵痕すら発見できず

また、スイーピングもしましたが成果はありませんでした。

ここは斜面が急であったりして探せる範囲が限られました。

↓ 極一部の木のみ芽吹き

 

Bエリア:キンキコルリの発生状況

日時:2024年4月13日 11:00~14:30

場所:兵庫県中部Bエリア

標高:930m前後

天候:晴 気温:22℃前後

結果:未発生と判断

Bエリアは既に調査済みで、キンキコルリが分布しています。

背の高い広葉樹の樹冠付近は膨らんでいましたが

林全体で見ると、新芽が、ひこばえが、どうのこうのいう状態ではありませんでした。

春はも少し先のようです。

林床には蛹室で待機する新成虫の姿があり

4月13日現在、発生には至っていないと判断しました。

↓4月13日、新成虫は蛹室で待機していた 

↓ 待機中のメス

↓ メス腹面色調(胸の色は黒〜褐色で個体差有)

↓ メスによる誘因トラップ(成果無し)

 

Hエリア

日時:2024年5月11日 14:45~16:20

場所:兵庫県中部(Fエリアから南方向に直線で約2.2㎞・Bエリアまで西南方向に直線で約1.5㎞)

標高:735m前後

天候:晴 気温:19℃前後 半袖で寒い

↓ 沢沿いで、標高のわりに気温が低い

キンキコルリがいるBエリアまでは直線距離で約1.5㎞

標高はBエリアより200mほど下がりますが、ひんやり肌寒い沢沿いでした。

とはいえ、5月の11日にもなるとコルリクワガタが好んで潜り込むような

所謂「ひこばえ」みたいな樹木の状態はほぼ過ぎており

周囲の木々は新緑に染まっていました。

↓ 5月11日現在、新緑全開!

探し始めて30分ほどで産卵痕の付いた朽ち木を発見。

毎度のことながらそこから生体は出てきませんが

この谷にもコルリクワガタがいることはわかりました。

↓ 古い産卵痕発見

↓ これも古い産卵痕

少し急な斜面で見つけた半埋木を抜き出してみると

産座周辺に真新しい木屑が付いていました。

それは、かなり新しい産卵痕です。

↓ 齧り屑の付く真新しい産卵痕!

スマホの撮影を止め、朽ち木表面をチェックすると産卵途中のメスがいました。

コルリクワガタは警戒心が少なく、飼育下でも産卵の様子を簡単に観察できます。

このメスも直接触れるまでは材を齧っていました。

↓ 朽木を齧る正体発見! オスの姿はなし

 

中部地方の発生時期について

4月13日に蛹室内にとどまる新成虫を複数見たこと、空の蛹室を見なかったこと

5月11日にはHエリアで産卵中のメスが単独でいたこと

更には周辺木々から感じとれた季節感なども合わせて推察すると

兵庫県中部地方におけるコルリクワガタ種群の今年の発生は

4月中旬頃から始まり、5月12日現在は終盤を迎えていると判断します。

これは、今年の北部のニシコルリと似たようなタイミングであったと考えます。

Hエリアで採集したコルリクワガタのメスは材とともに飼育下において

今年の冬には種の同定に繋げたいと思います。

↓ メスの腹面色調

↓ メスと材を持ち帰り飼育


キンキコルリ・5-苦戦したCエリア

2024-04-09 22:15:31 | キンキコルリ(兵庫県中部)

苦戦続きのCエリアでやっとコルリクワガタ成虫を採りました!

*カテゴリーから入ると一連の調査過程に繋がります。

Cエリアは、過去に神戸のSさんがコルリクワガタの分布を確認している場所ですが

オスの交尾器は未検でした。

このエリアは地図を標高500㎜で色付けすると独立した山塊になるため

絶対に外せない場所ですが、昨年に何度か調査するも不発に終わっていました。

今年は、新成虫が野外活動を始める前に何とか見つけたいと思い

先日、単独で現地に向かいました。

↓ 調査場所概略図

Cエリア

日時:2024年4月6日 12:00~14:40

場所:兵庫県中部(Bエリアから北東方向に直線で約17㎞・Dエリアから東方向に直線で約17㎞)

標高:550m前後

天候:晴 気温:15℃前後

↓ ある程度まとまった二次林 ブナは見当たらない

↓ 一部の樹木で芽吹き 

小さな沢の両斜面に積もった落ち葉をかき分け、黒く朽ちた細い材を探します。

かき分けて湿り気があれば期待が持てます。

また、緑色に朽ちた材から出てくることもたまにあります。

仮に、おいしそうな材が見つかっても

コメツキムシの幼虫が出てきたら高い確率でコルリはいません。

多くは天敵に捕食されてしまうようです。

↓ 落ち葉をかき分け、土壌菌で黒く腐食した朽ち木を探す

↓ 指ほどの太さ、産卵マークはあったがハズレ!

よさそうな材はある程度見つかるのですが、成虫はおろか幼虫すら出てきません。

やはりここは苦戦する場所です。

斜面にへばりつき、ひたすら落ち葉をかき分ける

こんな地味な作業を1時間もすれば緊張の糸は途切れ、嫌気もさします。

ため息交じりで斜面を登り、また落ち葉をかき分けます。

ちょっと太めのよく朽ちた材を見つけました。

直径は500円硬貨程度で、長さ10㎝ほどの良く湿った黒枯れです。

手でボロボロと崩していくと、蛹室からメスの新成虫が出てきました!

「おった!」思わず独り言。

最終的にこの朽ち木からオス3頭・メス2頭・終齢幼虫1頭の計6頭が出てきて

その後は何も見つけることができませんでした。

↓ ついにメスが出た!

↓ 続いてオス

↓ 北部のブナ帯で見るような色合いのメス

↓ 幼虫も同居(終齢)

↓ 容器にストック

↓ 現地自然光で撮影 金色できれい

↓ メス腹面

交尾器調査の結果

交尾器の調査は今回も瓢箪坊主さんにお願いしました。

いつもありがとうございます。

Cエリアから持ち帰ったコルリクワガタはニシコルリの特徴を有していました。

これで最も気になっていたエリアの一つが埋まりました。

↓ ニシコルリ(調査・画像提供:瓢箪坊主さん)

↓ Cエリアにはニシコルリが分布していた

↓ きれいな輝きのニシコルリ

最後に

今回もニシコルリを採集してしまいました!

カテゴリーは「キンキコルリ」ですが、事実上は「ニシコルリクワガタ」ですね!

兵庫県のニシコルリは思っていた以上に南の方にまで分布しており

今まさに、複雑なファウナを見ています。

↓ ニシコルリ


キンキコルリ・4-まさかのニシコルリ

2024-04-04 23:23:43 | キンキコルリ(兵庫県中部)

神戸のSさんと兵庫県のキンキコルリ北限調査に行ってきました。

今回入った場所は、下図のEとFエリアです。

↓ 調査場所概略図

*カテゴリーから入ると一連の分布調査に繋がります。

↓ 前記事 

 

キンキコルリクワタ・3-ついにニシコルリ現る - クワガタ~スズメバチ等の覚書

令和6年能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い安心をお祈りいたします。今年最初の記事は、昨年からの続きで、キンキコルリクワガタ関...

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Eエリア

日時:2024年3月30日 10:20~11:00

場所:兵庫県中部(前記事のDエリアから南方向に直線で約3㎞)

標高:650m前後

天候:晴 気温:13℃前後

このEエリアは標高650m前後ですが、北の山塊と南の山塊をつなぐ最も標高の高いところです。

エリア内の殆どは植林されており、二次林が申し訳程度に点在していました。

小規模な二次林を囲む杉林が風雪を受け止めているのか

林床にはコルリの好むような黒く朽ちた枝片はほとんど見当たらず

また、落ち葉の層も浅く感じました。

↓ 落ち葉に埋もれた細い黒系腐食木を探す

調査の結果は、産卵マークすら発見できませんでした。 

「この空白エリアこそがキンキコルリとニシコルリの分布境界なのでは?」

と、この時は思いました。

 

Fエリア

日時:2024年3月30日 12:20~16:00

場所:兵庫県中部(Eエリアから南方向に直線で約1.5㎞)

標高:840m前後

天候:晴 気温:13℃前後

 

↓ 樹冠は芽吹きが始まっている

Fエリアは、先のEエリアから南方へ直線で約1.5㎞の場所になり

この記事でいうところの南の山塊になります。

ここでは探し始めてまもなく産卵マークが見つかり

終齢幼虫20頭以上、オスの新成虫3頭、メスの新成虫3頭を確保できました。

↓ 早々に産卵マーク発見!

採集できたオスの体色は緑系ですが、その中に極々僅かな青を感じとれた個体がおり

一瞬「ニシコルリ?」がよぎりましたが

Eエリアの状況からして、ここはキンキコルリだろうと思い、容器に納めました。

↓ 極々わずかに青が感じ取れた個体

↓ 瓢箪坊主さんに発送準備

交尾器の調査は、Sさんが1オス・瓢箪坊主さんが2オス実施してくださり

結果は、予想に反して3オス全てニシコルリの特徴を有していました。

因みに、3オスはそれぞれ異なる朽ち木から採集しました。

↓ Fエリアはニシコルリの分布域だった!(交尾器の調査及び画像提供:瓢箪坊主さん)

↓ 終齢幼虫おそらく秋に羽化するやつ

↓ 樹皮下の終齢幼虫

↓ マークはあるが・・・

↓ オス発見!

↓ メスも発見、撮影後に林床に落として見失ってしまった

↓ またメス発見

↓ 毎回出てくる系統

↓ 持ち帰った終齢幼虫とハナムグリ幼虫

コルリ系の幼虫は比較的穏やかなので、まとめ飼いして来季の誘因作戦等に使用します。

 

これまでのまとめ

下図は、成虫が採れなかったポイントCも含め、6ヵ所の大まかな位置関係を記したものです。

調査した順にA・B・C〜と表記しました。

A=キンキコルリ:起点

B=キンキコルリ:Aから北方向に直線で約1㎞

C=コルリ種群分布有(未検):Bから北東方向へ直線で約17㎞

D=ニシコルリ :Bから北方向へ直線で約7.5㎞(Cから西方向に直線で約17㎞) 

E=発見できず:Dからで南方向へ直線で約3㎞

F=ニシコルリ:Eから南方向へ直線で約1.5㎞

今回の調査でEエリアが空白となり

正にここがキンキコルリとニシコルリの分かれ目かと思ったですが

まさかの展開にSさんともども驚いています。

最後になりましたが、今回も瓢箪坊主さんにはお世話になり、ありがとうございました。

Sさん、お疲れ様でした


キンキコルリクワガタ・3-ついにニシコルリ現る

2024-01-02 14:05:06 | キンキコルリ(兵庫県中部)

令和6年能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い安心をお祈りいたします。

 

今年最初の記事は、昨年からの続きで、キンキコルリクワガタ関連です。

今年もよろしくお願いいたします。

ついにニシコルリ現る

昨年末、神戸のSさんとコルリクワガタを求めて前回より北に位置する山に入りました。

*カテゴリーから入ると、一連の流れにつながります。

 

キンキコルリクワガタ・兵庫県中部個体群 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめにトウカイコルリクワガタの北陸近畿亜種とされるキンキコルリクワガタを兵庫県中部で採集しました(以下キンキコルリ)。これにより県下で17種のクワガタムシを確認...

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キンキコルリ・2-兵庫の北限を求めて - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

前記事のキンキコルリクワガタ採集地から直線で1㎞ほど北上した広葉樹の林の床材からコルリクワガタを見つけました。前回採集した場所と今回採集した場所は同じ山塊ですがそ...

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今回訪れたのは、前回より7㎞以上北に位置するCエリアとDエリアの二か所です。

Cエリア

日時:2023年12月29日 10:30~14:10

場所:兵庫県中部(前記事のBエリアから北東方向に直線で約17㎞)

標高:545〜700m(Sさんの過去調査にて550m前後でも分布確認済)

天候:晴時々曇り 気温:6℃前後

↓ おそらくコルリクワガタ

Cエリアでは、谷筋でよい林を見つけたのですがそこからは何も得られず

少し離れた別の斜面で、コルリクワガタと思われる終齢幼虫を得るに終わりました。

ここではだいぶ苦戦しました、次の機会に再チャレンジします。 

Dエリア

日時:2023年12月29日 15:00〜16:30

場所:Cエリアから西方向に直線で約17㎞・Bエリアから北方向に直線で約7.5㎞

標高:960m前後

天候:晴時々曇り 気温:6度前後

↓ 落ち葉をかき分け、朽ち木を探す

↓ Sさん幼虫発見!

↓ おっ!

↓ やっとオス発見!

結果

Cエリアでは、コルリ種群と思われる幼虫は採集できましたが、成虫は採れませんでした。

Dエリアでは、何とかオスの新成虫と、幼虫を採集することができました。

↓ Dエリアのコルリクワガタ

Dエリアで得た新成虫を瓢箪坊主さんに送り、交尾器を調査していただいた結果

ニシコルリの特徴を有することがわかりました。

瓢箪坊主さん、ありがとうございました。

↓ Dエリアにはニシコルリが分布していた(調査撮影:瓢箪坊主さん)

↓ エリアA・B・C・Dの大まかな位置関係

A=キンキコルリ:起点

B=キンキコルリ:Aから北へ直線で約1㎞地点

C=未検    :Bから北東方向へ直線で約17㎞地点

D=ニシコルリ :Bから北へ直線で約7.5㎞地点(Cから西方向に直線で約17㎞地点) 

結果=A・Bにはキンキコルリが、Dにはニシコルリが分布することがわかり

両種の分布境界に一歩近づくことができました。

今回は気温も高く、天候に恵まれた一日でした。

Sさん、お疲れ様でした。

     


キンキコルリ・2-兵庫の北限を求めて

2023-12-23 14:04:00 | キンキコルリ(兵庫県中部)

前記事のキンキコルリクワガタ採集地から

直線で1㎞ほど北上した広葉樹の林の床材からコルリクワガタを見つけました。

前回採集した場所と今回採集した場所は同じ山塊ですが

その間(直線約1㎞)の殆どは針葉樹の植林であり

新芽時期にコルリクワガタが行き来しているとは考えにくい条件にあるため

「もしかして?」という思いで

採集したオスをを瓢箪坊主さんに送り、交尾器の調査をお願いしたところ

当地のコルリも「キンキコルリクワガタ」の特徴を有することがわかりました。

瓢箪坊主さん、ありがとうございました。

↓ キンキコルリクワガタ (調査撮影:瓢箪坊主さん)

↓ 前記事 キンキコルリクワガタ

 

キンキコルリクワガタ・兵庫県中部個体群 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめにトウカイコルリクワガタの北陸近畿亜種とされるキンキコルリクワガタを兵庫県中部で採集しました(以下キンキコルリ)。これにより県下で17種のクワガタムシを確認...

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兵庫の北限を求めて

日時:2023年12月17日 12:00〜14:30

場所:兵庫県中部(前記事から北方へ約1㎞)標高:950m前後

天候:曇り時々晴れと雪 気温:-3度くらい

当日は、前回同様とても寒い日となりました。

今回探した場所も植林の合間にある小規模な広葉樹の林で

北部のようなブナは見当たりません。

↓ 雪と落ち葉をかき分け、朽ち木を探す

↓ 細い材で産卵マーク発見

↓ 終齢幼虫発見

↓ 落ち葉に深く埋もれた細い材にて

↓ メスの新成虫

↓ オスの新成虫

↓ 緑色腐食でもコルリが見つかることがある

↓ 雪のあるところは未捜索

↓ 終日凍結

自宅にて

材の一部は持ち帰えり、自宅で割り出し(崩し)を行いました。

下画像でわかるようにほとんどが指ほどの太さの黒枯れ朽ち木です。

このくらいの太さの朽ち木からは

中〜大型のコメツキムシの幼虫がさほど出てこないので

コルリクワガタの生存につながっているように感じます。

↓ コメツキムシ幼虫

↓ オスの成虫も出ました

自宅での割り出し含め、今回採集できたのは

成虫オス3頭、メス1頭、終齢幼虫10頭の計14頭でした。

↓ 背面は、どの角度から見ても緑が勝つ

↓ 終齢幼虫10頭(すべて休眠状態)

↓ 現地材を産卵一番で埋め込み幼虫飼育

最後に

今回採集した場所のコルリクワガタも

「キンキコルリクワガタ」だということがわかりました。

「ニシコルリクワガタ」と出会うまで北上は続きます。


キンキコルリクワガタ・兵庫県中部個体群

2023-11-23 15:43:29 | キンキコルリ(兵庫県中部)

はじめに

トウカイコルリクワガタの北陸近畿亜種とされる

キンキコルリクワガタを兵庫県中部で採集しました(以下キンキコルリ)。

これにより県下で17種のクワガタムシを確認しました。

キンキコルリの採集に当たっては、神戸のSさんに現地を案内していただき

瓢箪坊主さんには交尾器の調査及び画像提供をいただきました。

この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。

Platycerus属の分類に関しては、研究者の考えが統一していないことに加え

提唱される和名にまで混乱することがあるため

今回から、むし社製作「2023年カレンダー」を踏襲します。

そして、当blog記事のカテゴリー「コルリクワガタ」を

「ニシコルリクワガタ」と「キンキコルリクワガタ」の二つに改めました。

因みに兵庫県北部には

ニシコルリクワガタ Platycerus viridicuprus viridicuprus が分布しており 

中部には、キンキコルリクワガタ Platycerus takakuwai akitai  が分布しています。

両種の分布境界付近と思い採集したこのコルリはキンキコルリでした。

日時:2023年11月14日 10:00〜14:30

場所:兵庫県中部 標高:約1000〜1030m

天候:吹雪〜時々晴れ 気温:-2度くらい(氷柱ができる温度)

↓ この日だけ真冬並みの寒気 さすが雨男!

訪れた山含め、見える周囲の山々は広範囲に植林され

ところどころに自然林(二次林?)があります。

今回キンキコルリを採集した場所も杉林の中にポツンと残る狭い自然林からでした。

↓ 植林の合間に残る自然林

↓ 植林や伐採で分断された場所もありそう

↓ 日当たりの悪そうな斜面で雪と落ち葉をかき分け探す

↓ (・)があってもほとんどはハズレ!

↓ Sさん、幼虫発見

↓ これは?

↓ これは?

⇩ 取り出してみるとオスの新成虫

↓ こちらは残念ながら☆に

↓ 成・幼虫が出てきた細い朽ち木(中央3本) 

この山は、北部で見るようなブナ帯ではなく

植林された針葉樹帯にミズナラを主とした広葉樹の林がところどころ残るような場所です。

成虫・幼虫は、湿度のありそうな斜面の黒く朽ちた広葉樹細材から出てきました。

↓ コブヤハヅカミキリの幼虫

 

同定の決め手

採集したオス成虫を瓢箪坊主さんに送り、交尾器の調査をしていただいた結果

キンキコルリの特徴を有することがわかりました。

↓ 左:中部採集個体キンキコルリ 右:北部のニシコルリ(瓢箪坊主さん提供画像)

↓ 上:北部のニシコルリ 下:中部採集個体キンキコルリ(瓢箪坊主さん提供画像) 

↓ キンキコルリ 兵庫県中部産

↓ 左(上):キンキコルリ 右(下):ニシコルリ 

これにより兵庫県で17種目のクワガタムシを確認したので

記事「兵庫県のクワガタムシーガチ概説」を更新しました。

 

兵庫県のクワガタムシーガチ概説 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめに(*投稿2022.10.9更新:2023.11.11)私のクワガタ採集は県下に分布するクワガタムシ全種の居場所を突き止めることを目標にしてきました。きっかけは1986年、南西部...

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今回の採集結果は、二人合わせてオス成虫2頭(1潰し)

本種と思える幼虫6頭(1潰し)計8頭でした。

吹雪の中、思うように身動きが取れない場面もありましたが

Sさんの案内で目的であったコルリクワガタを見つけることができました。

Sさん、寒いなか、お疲れ様でした。