クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

PC版テンプレート画像は
朽木屑を運ぶオレゴンルリクワガタ♂

マダラクワガタの覚え書き

2017-05-18 00:07:37 | マダラクワガタ

マダラクワガタ Aesalus asiaticus は体長5㎟前後の小さなクワガタムシで

関西地方では標高約800m~の山地帯に分布します。

メスの頭部はオスより小さく、後脚脛節末端部付近の広がりが大きくなりますが

基本的にはオスメス似たような形態をしています。

↓ 参考画像 兵庫県産(標高約1000mで採集)


成虫はおおよそ5月中~9月に出現し、幼虫は(成虫も)赤枯れから発見されます。

兵庫県では1960年氷ノ山の記録が一番古く、他にも宍粟郡や美方郡での記録があります。

また、私がこれまで採集したのは標高約850m以上の山地帯でした。

2017年5月14日14時頃、県北部の標高400mにも満たない川原で

同行していたKさんが流木の上を歩くマダラクワガタを1頭発見しました。

念のため、コブスジコガネの仲間ではないかとも思い調べてみましたが

間違えるような種は見当たらず、Kさんが発見したのはマダラクワガタと同定しました。

↓ 流木上のマダラクワガタ



↓ 持ち帰り自宅で撮影




今回の発見は上流からの流木由来で突発的なものか

或いはそれ以前から分布していたものかは不明ですが

私が県下で確認したマダラクワガタ分布の最低標高になりますので、ここに覚え書きします。

種類:マダラクワガタ1頭 
(後脚脛節の広がりからメスではないかと思われる)
日時:2017年5月14日14時ころ
場所:兵庫県北部の山中河原
標高:約380m
天候:曇り時々晴れ 
気温:22~23度
状況:太さ約35cm長さ約100cmの広葉樹流木上を歩行中





参考文献:
きべりはむし 第28巻 第1号.兵庫県のクワガタムシ(1),2000年5月,兵庫昆虫同好会.
日本産コガネムシ上科標準図鑑
 岡島秀冶・荒谷邦雄監修,松原典発行人:2012年6月26日発行.株式会社学研教育出版.


マダラクワガタ・3

2015-09-22 13:10:18 | マダラクワガタ

一昨日、県北部の山でマダラクワガタを採ってきました。



↓ 直径50cm近くあるブナの倒木赤枯れより採集



目的は飼育観察するためです。

これまでは放置飼育しかしていなかったのですが

今年から少し観察をしてみようと思います。

採集場所は、一昨日に行った山の標高1000m付近になります。

これまでに生息確認をしていた場所より

60~100mほど高いところの個体群です。


株の根元にはミヤマクワガタ メスの死骸
画像中央部ミズゴケの中 ↓


↓ この辺りにミヤマも産卵したのかもしれません


↓ 飛び散った赤枯れ片から出てきたマダラクワガタ






↓ とても小さな個体も出てきました(隣は煙草)




私の割り出し方

持ち帰った赤枯れ片内に本当に成虫がいるか確認をします。

幼虫の場合は白いのですぐ判るのですが

成虫となると小さく地味色なため

見つけるのは結構大変です。

そこで私は次のような方法でマダラクワガタを確認しています。

日当たりのよい場所で白い紙などを広げ

その上で破片や砕いた材を細かく崩していきます。

マダラクワガタは、日光と高温を嫌う傾向にあるので

成虫が破片外にいれば動き出すため

すぐに見つけることができます。


↓ あわてて動き出します


↓ 左はメス 右はオス 


動き出したら直ちに容器に入れるなどして

高温から避けてあげます




また、マダラクワガタはほんの小さな材中にも入っていることがあるので

最新の注意で丁寧に慎重に材を崩します。


飛翔

マダラクワガタは、飛翔するイメージがあまりなかったのですが

日光下で体を逆さにすると素早く羽を広げて飛ぼうとしました。

野外でも案外飛ぶのかもしれません。


↓ 逆さ向いたメスは何度も飛翔を試みました


↓ 透明で、観察しやすい円中の2Lブロー容器




↓ 左の容器は同定できなかった不明幼虫の飼育検証



今回持ち帰った赤枯れ片は全て崩したわけではありませんので

全部で何頭いるのか判りませんが

最低でも3頭を確認しました。

マダラクガタは、非常に小さな種なので

どこまで踏み込んだ観察ができるか判りませんが

暫くこれと付き合ってみます。


マダラクワガタのこと

2015-04-26 12:49:14 | マダラクワガタ

画像は、昨年10月4日に採取したマダラクワガタ入り赤枯れです。




大きさ(量)は煙草の箱くらいです。

発見当日は、そのかたまりに1頭の幼虫を確認してから持ち帰ったので

実際に穿孔している個体数は不明でした。


あれから半年、保管していた容器を開けると

朽ち木の隅に緑青色の”粒”が見えました。

カビの生えたマダラクワガタ成虫です。

マダラクワガタは小さく地味色なので発見しづらいのですが

カビの生えたマダラは妙に色のコントラストがよく

すぐに発見できました。





容器内の風通しがよくなかったのかもしれません。

がっかりしながら他にいないか朽ち木に期待をかけます。

いました! 終齢幼虫が1頭!






もう少し朽ち木を崩して探したい気持ちになりましたが

制御、制御!! 容器に戻します。





これまでにマダラクワガタの飼育は数回しましたが

放置飼育ばかりで殆ど観察しませんでした。


*ここからの画像はアナログ写真からです



↓1メモリ=1mm





マダラクワガタは超小型で地味な種のせいか人気がありません。

未知なる部分が多い種は、実は面白かったりします。

今年は少し観察してみます。


珍品キノコとマダラクワガタ

2014-10-05 13:08:30 | マダラクワガタ

昨日 兵庫県北部に高山性クワガタムシを探しに行ってきました。

今シーズン2回目で、今回も大阪の友人と二人です。




気になっていた天気の方は 

曇り~小雨~霧が出たり隠れたり

ロンT一枚では厳しい一日 冷え冷えでした。




11時過ぎに現地到着し

準備をしていたら軽トラがやってきて

「測量ですか?」と声をかけられ

思わず「はい!」と答えそうになるも

「いいえ、クワガタムシ探しです」

トラックの荷台には見たことのないキノコが竹籠に一杯!。




そのキノコは滝の岩場で採れる清流派で

早く鮮度が落ちることから地元では

「アシバヤキノコ(?)」と呼ばれている珍品で

そのため 店頭や料亭などにも出回ることはまずないそうです。

「少ないけど持って帰り」と沢山頂きました。

ありがとうございました。

(翌日の試食結果=味噌汁・焼く・佃煮=マイタケとナメタケの中間みたいな感じで美味しい)



↓この時期はキノコが沢山見られます(種不明)





さて クワガタムシの方はというと

今回は、標高850mあたりから林道最上部の1000mまで

兵庫県~鳥取県をまたぐほとんどの距離を歩いてみました。

ヤナギや、オオバヤシャブシなどいつもより入念に探します。

ヒメオオクワガタやアカカシクワガタは

少々の雨なら問題ないのですが

やはり 気温の低下は致命的でした。




ふもとの気温が17度前後なので

そこから1000m上がると4~5度下がることになります。

恐らく14度前後の世界、寒い!




歩いて歩いて、急斜面も滑るように下って

それでも見つけることはできませんでした。

仕方ないのでルッキングをあきらめ 

新ポイント下見と朽ち木調査を始めます。

鳥取県側の林道で半埋没した水分の多い朽木から

オニクワガタと思われる終齢幼虫2頭、

初齢幼虫2頭を見つけました(要飼育検証)


兵庫県側では、赤枯れからマダラクワガタの幼虫複数と

成虫2頭を発見。


↓マダラクワガタのいた朽ち木 



↑↓マダラクワガタの終齢幼虫 



マダラクワガタは、クワガタムシのなかでも最も小さい種で

大きさは5mmほど

ノコギリクワガタの触覚ほどしかありません。

うっかり見逃してしまう大きさです。




この辺りは以前からマダラクワガタが確認できていた場所で

存続確認ができて良かったです。




現在、マダラクワガタの仲間は5つのグループに分けられており

その分布はヨーロッパからアジア、南米まで広範囲に及びます。


林道沿いではコルリ系を探しましたが今回はx 

この時期なら朽ち木内で新成虫が見られるのですが・・・  





そして、毎回必ず探すツヤハダクワガタ。

この種は古いタイプの種で

西日本の広い地域で分布が空白、見つかっていない種です。

結構頑張って探したのですが 

残念ながら今回も見つかりませんでした。


10月6日には台風が近づく予報も出ています。

高山性クワガタムシの野外活動もそろそろ終わりかな 

と感じながら下山しました。